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タイトル女流王座戦五番勝負第3局
記事No1358
投稿日: 2020/12/01(Tue) 18:08
投稿者丹善人
対戦成績を1勝1敗の五分に戻して出直しとなった女流王座戦五番勝負第3局は、97手で
先手の里見香奈が勝ち、女流王座奪還に王手をかけました。

先手挑戦者里見香奈、ゴキゲン中飛車に、後手西山朋佳女流王座は三間飛車。後手が玉を
美濃に移行させると、先手は後手玉頭を目標に7〜9筋の歩を上げていきます。8五歩と
伸ばした後、角を6六に据えて、向かい飛車に移行。直接後手玉を狙いに行きます。
後手は危険と知りつつ、守りを固めるために、あえて玉を美濃に入ります。先手は8筋で
歩の交換。飛車を1段目まで下げます。

先手は続いて桂馬を上げて端攻撃。歩の突き捨てから歩を打ち込み、後手は9三に利かせて
いる先手の角をとりあえず下げさせてから桂交換。先手は6筋の歩を突き捨てて軽くしてから
9筋の香車を釣り上げて桂馬打ち。後手は銀で守り、桂香交換。飛車が玉正面に突入します。
銀冠を完成させる後手に、先手は9筋に飛車を回します。

後手は玉も上がって守りを固めますが、先手はこれを逆利用。歩を突いて玉のこびんを開けて
から端狙い。5五歩と打ちますが、これを取ると角の突入から飛車の成り込みが成立します。
なので後手は角道を止める桂馬打ち。これがちょうど飛車当たりにもなって、手番が
奪えます。

後手西山朋佳はもう1枚の桂馬を貼って、先手の飛車の動きを完全にストップさせました。
なので、先手里見香奈は別の箇所からの攻めに切り替えます。しかし後手は角道を遠し、
桂馬の紐が切れてしまった先手角を狙い目にします。誘いに乗る先手。後手は角交換で
奪った角をさっそく打ち込み、飛車取りに。先手はこれを相手にせずに、こちらも角の
打ち込みで王手とし、手番を取ります。

先手は玉頭を守る金に角の紐付きで直接香車貼りの田楽刺し。後手はこれを放置しての
先手玉側に銀当てに打った歩がそのまま銀取りで成り込んで、先手玉にプレッシャーを
かけます。しかし今度は先手が攻める番。玉をうわずらせての飛車の突入。角が利いて
いるため合駒は出来ず、逃げるしか手がありません。

後手陣の守り駒を飛車1枚だけにしての飛車の成り込み。先に打ち込んだ角がよく利いて
いるため、後手玉は逃げ場がありません。後手は攻防の香車打ち。しかし先手は落ち着いて
後手玉に詰めろを掛けました。必死で逃げようとする後手でしたが、攻めは十分。
落ち着いた指し回しで先手里見香奈が貴重な星を手にしました。


【第10期リコー杯女流王座戦五番勝負】女流王座:西山 朋佳

里見 香奈 ○  ● 西山 朋佳

+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    | 氏  名 | 第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 |
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|女流王座| 西山 朋佳 |  ○  | 先● |  ●  |  先  |    |
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者 | 里見 香奈 | 先● |  ○  | 先○  |    |    |
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    |      |124手|110手| 97手|   手|   手|
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+

第1局 10月28日(水) 東京都文京区「ホテル椿山荘東京」
第2局 11月10日(火) 東京都港区「明治記念館」
第3局 12月 1日(火) 神奈川県秦野市「元湯 陣屋」
第4局 12月 9日(水) 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
第5局 12月14日(月) 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」


÷  丹善人  ÷