２勝２敗のタイで、決着が最終局までもつれこんだ、女流王座戦五番勝負第５局は、
１５８手で後手の西山朋佳が大逆点で初防衛を果たしました。里見香奈は自身２度目の
挑戦失敗。いずれも相手は西山朋佳となっています。

あらためて振り駒となり、先手を取った挑戦者里見香奈は伝家の宝刀先手番ゴキゲン中飛車。
対する後手西山朋佳は３間飛車。９素の歩を突き合った後、後手が一手損角替わりに。
後手が向かい飛車に振り直すと、先手も向かい飛車に移行します。お互い飛車先の歩を伸ばし、
銀で守ると、後手は飛車の援護に左銀が上がります。

先手は８筋で負の交換後飛車が最下段に下がります。後手も２筋の歩の交換後、こちらは
四段目に飛車を据えます。お互い銀が守りに上がっているので、玉は３八と７二に。
後手が銀を前進させたので、先手も銀を上げて銀交換。先手は角貼りで、後手の飛車が
動けば角を進出させる構えを見せます。

後手は１筋の歩を上げ、飛車を３筋に回して先手があえて来た銀に対抗します。
１筋の歩を突き捨て、銀を攻めて１五の歩を浮かせて、角貼りからその歩を取り、先手玉
正面に駒を集めます。先手が銀を引き守りを固めるところ、後手はあえて先手の香車を
上げて角当たりになったところで角の切り捨て。香車が成り込んで横からも狙いをつけます。

ここは先手もチャンス。奪った角を打ち込んで角成りが攻防に利きます。後手は桂馬を取って、
即角銀両当たりの割り打ち。先手は構わずに書くの紐付きで飛車当たりに銀が前進。後手は
馬当たりに香車を貼り、ここは交換必至。先手は勢いを付けて銀がさらに前進。しかし
後手玉が遠いので、後手は構わずに先手玉めがけて攻めかかります。先手もまだまだ守りは
十分と上がった銀が金も奪い取って優勢を築きます。

後手西山朋佳は駒を尽くして攻めかかりますが、先手里見香奈は裸玉に成りながら、相手の
攻めが切れるのを待ちます。後がない後手は大駒も小駒もなく攻めかかるしか手がありません。
先手も駒の出し惜しみはせず、攻めるのに必要な駒だけ残して受けきり、攻めが切れた
ところで最後の寄せに入ります。

西山朋佳も最後まであきらめない。先手玉を攻めながら、なんとかして先手の攻め駒を
抜けないか考え続ける。対する里見香奈も攻め駒を抜かれないぎりぎりの受け。一つでも
間違えると逆転があるだけに厳しい終盤戦となる。

後手西山朋佳は先手攻め駒の龍の移動を狙っての攻防の香車打ち。龍が横に移動すると、
攻め駒に利くことに。続けて銀寄りから成り込んだ龍が戻っての王手。これは読み筋なのか、
先手里見香奈はひらりと体を交わします。しかし後手のうまい攻めで、先手からの寄せも
見つかりません。どちらが勝ってもおかしくない終盤戦となりました。

とんでもないことになりました。攻めをしのげば勝ちと読んでいた先手でしたが、後手からの
攻めが途切れることなく続き、ついに先手玉は追い詰められることに。守りに有効な駒は
交換されると途端に最強の攻め駒となり、後手からの攻めが切れることなく、ついに先手玉を
追い詰めてしまいました。


【第１０期リコー杯女流王座戦五番勝負】女流王座：西山　朋佳

里見　香奈　●　　○　西山　朋佳

+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|　　　　|　氏　　名　| 第１局 | 第２局 | 第３局 | 第４局 | 第５局 |
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|女流王座| 西山　朋佳 |　 ○　 |　先●　| 　●　 |　先○  |　 ○　 |
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者　| 里見　香奈 |　先●　|　 ○　 |　先○  | 　●　 |　先●　|
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|　　　　|　　　　　　|１２４手|１１０手|　９７手|１２９手|１５８手|
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+

３勝２敗で西山朋佳が初防衛！

第１局　１０月２８日（水）　東京都文京区「ホテル椿山荘東京」
第２局　１１月１０日（火）　東京都港区「明治記念館」
第３局　１２月　１日（火）　神奈川県秦野市「元湯 陣屋」
第４局　１２月　９日（水）　東京都　渋谷区　「東京将棋会館」
第５局　１２月１４日（月）　東京都　渋谷区　「東京将棋会館」


÷  丹善人  ÷