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タイトル女流名人戦五番勝負第1局
記事No1427
投稿日: 2021/01/17(Sun) 15:36
投稿者丹善人
12連覇を目指す里見香奈女流名人に加藤桃子女流三段が挑戦する、第47期岡田美術館杯
女流名人戦五番勝負第1局は、90手で後手の里見香奈が先勝しました。

女流名人獲得以降、負け知らずで今期勝てば12連覇となり、獲得タイトル数も、現在トップの
清水市代と並ぶ43期となることもあり、体調不良で数々のタイトルを失冠したときにも
絶対譲らなかったタイトルだけにひといちばい愛着のある女流名人杯だけは落としたくない
里見香奈に対し、奨励会員時代に女流タイトル8期獲得、女流棋士ならば女流五段の資格を
得ながらも、奨励会初段で退会したことにより、女流棋士規定では女流初段になるという
矛盾克服のため、あえて女流三段で女流棋士となった加藤桃子。当然ながら、タイトルを
獲得すれば、タイトル獲得9期となって、遠慮無く昇段規定に合致するはずなので、
こちらも負けられない一戦となっています。

畚まで先手となった加藤桃子、居飛車の出だしに、後手里見香奈はいきなり伝家の宝刀
ゴキゲン中飛車に出ます。なので先手は超速銀でこれを迎え、後手も銀上がりで構えます。
お互いの玉が7筋に移動し、後手が右桂馬と左銀を上げたところで、中央から駒がぶつかり
ます。

後手の飛車が5六には知ったところで、先手は桂馬を飛ばし、後手角を移動させてから
先手は金上がりと5五歩打ちで飛車を閉じ込めます。飛車を取られる前に、後手は
角切りで飛車の逃げ道を作り、そのまま成り込みます。

先手も後手の銀を上げてから角を打ち込み、さらに後手の金を上げて2筋に飛車が成り
込んで金当たりと、先手先手で攻め立てます。後手も成り込んだ飛車を拠点に、桂馬貼り、
香車貼りで正面から後手陣を揺さぶります。

先手は後手龍の横利きを止めようとしますが、後手は腑を打ち込んで守り駒の金を攻め、
さらに離れ駒となった金取りに龍を移動させますが、先手はこれを放置。角成りで馬を
引いて攻めを優先させます。ならば堂々と金を奪い、守り駒の金で当てられると
逃げた先が馬取りとなって手番を取りながら攻め立てます。

後手里見香奈は歩成りで次々と敵陣を揺さぶります。金銀両当たりになっているにも
関わらず、これもまた先手加藤桃子は放置。攻め駒の龍が敵陣奥に入り込んで下からの
攻めに。一手違いを目指す後手は攻めを優先。カナ駒1枚あれば後手玉は寄るだけに
駒を渡さない攻めでつないでいきます。

後がない先手は駒1枚あれば詰みの段階まで後手玉を追い詰めて手を渡します。
これは実質上形作り。後手は先手に隙を与えない攻めで落ち着いて先手玉を寄せきり
ました。


【第47期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負】

加藤 桃子 ●  ○ 里見 香奈

+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    |  氏  名   | 第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|女流名人|里見 香奈女流四冠|  ○  |  先  |     |  先  |     |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者 |加藤 桃子女流三段|  先● |     |  先  |     |     |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    |         | 90手|   手|   手|   手|   手|
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+

第1局 1月17日(日)  神奈川県箱根町・岡田美術館開化亭
第2局 1月24日(日)  鳥取県出雲市・出雲文化伝承館
第3局 2月 7日(日) 千葉県野田市・関根名人記念館
第4局 2月15日(月)  東京都渋谷区「東京・将棋会館」
第5局 3月 8日(月)   大阪府大阪市・関西将棋会館


÷  丹善人  ÷