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タイトル女流名人戦五番勝負第2局
記事No1435
投稿日: 2021/01/24(Sun) 17:15
投稿者丹善人
12連覇を目指す里見香奈女流名人が先勝した、女流名人戦五番勝負第2局が行われ、
153手で先手の里見香奈が勝ち、連覇に王手をかけました。

先手里見香奈、先手番ゴキゲン中飛車美濃に、後手加藤桃子は居飛穴とします。後手が
金銀4枚と角でがっちりと組むと、先手は飛車を上げて7七の角頭を守り、後手が伸ばした
6筋に飛車を回すと後手も飛車を6筋に回して向かいます。この飛車を狙って先手は
角を9五に。いったん飛車を浮かせてから、後手は角狙いに9筋の歩を突くと、先手は
角を8四に回します。

先手は角をいつでも引ける態勢に。後手も角を使おうと動かします。両者歩の突き合いで
お互い1歩を手持ちに。先手が伸ばした2筋の歩の裏に後手は歩を貼って後手玉頭を
脅かし、続いて守りのためにあえて穴熊の蓋である銀を上げて冷めに活用。空いた
場所にもう1枚の銀が入って守りを強化します。

後手は1筋の歩の交換から銀が出て直接先手玉頭を攻める構え。先手はあえて誰もいない
左からの攻めを狙います。後手は1筋の香車を釣り上げた後、攻め駒を作るために飛車交換を
要求。先手はこれに応じました。先手は1筋の香車を釣り上げ、玉も釣り上げて穴熊を潰しに
かかります。

先手里見香奈は飛車の打ち込みから飛車成りで後手玉を正面と横から攻めます。対する後手
加藤桃子は1筋から先手玉目指して一点突破。お互いが攻めを優先させていきます。先手は
桂馬貼りの王手で守りの銀をうわずらせての、龍がいきなり玉裏に攻めかかります。
守りの金がタダで、取られると一気に寄ってしまうのも構わず、ここでも後手は攻めを優先。

先手玉に歩以外の合駒が亡いことを見越して香車打ち込みで銀と交換。一手隙を狙って、
飛車の打ち込み場所を作ろうとします。先手は詰めろをかける手番が回ってきません。
しかし、ここで後手の攻めに緩手が出て、先手玉への連続攻撃がストップ。その隙に
先手は待望の詰めろ。後手は一気に寄せるタイミングを失い、先手玉が逃げ切る態勢を
見せます。自玉に詰めろが「かかっているので受けるしかないけれども、受けきれるのか、
残り時間がない中、じっくり読みを入れます。

後手は守りに龍当たりの銀打ちで、先手は龍が逃げながら角を取りました。いったん詰めろが
消えたので、後手も先手玉の逃げ道封鎖に金を上げて先手玉に詰めろを掛けることが
できました。早逃げをしようという先手。そうはさせじと、逃げる先に飛車を打ちもこむ後手。
これを金寄せでふせぐ先手に、後手は攻めている龍当てに、取られそうな銀を逃がしつつ
当てていきます。

後手は龍を逃がしながら、先手玉逃げ道封鎖になっている金に龍を当てます。駒を尽くして
追いかけようという後手は使えなくなった飛車と金の交換で持ち駒を増やし、挟撃態勢で
先手玉にとりあえず詰めろをかけます。逃げ切れば駒得の先手がかち。詰めろをかけ続ける
ことができれば後手に勝機が訪れるという微妙な戦いになりました。

後手加藤桃子、必死の食いつきで竜取りの手が出ました。龍が逃げれば駒数ぴったりで
先手玉が詰みます。先手里見香奈としては、詰めろがかけられているこのうちに、後手玉を
詰ますしかなくなりました。粘る先手の怪しげな手に、逃げ間違えれば詰みそうな状況に
後手は、考える余裕も無く、ここで1分将棋に入ってしまいました。

残り少ない持ち駒を有効に使っての里見香奈の攻めは的確で、さすがにこれは逃げ切れない。
あと一歩の所まで追い詰めていた加藤桃子でしたが、ここで無念の投了となってしまいました。


【第47期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負】

里見 香奈 ○  ● 加藤 桃子

+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    |  氏  名   | 第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|女流名人|里見 香奈女流四冠|  ○  | 先○  |     |  先  |     |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者 |加藤 桃子女流三段|  先● |  ●  |  先  |     |     |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    |         | 90手|153手|   手|   手|   手|
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+

第1局 1月17日(日)  神奈川県箱根町・岡田美術館開化亭
第2局 1月24日(日)  鳥取県出雲市・出雲文化伝承館
第3局 2月 7日(日) 千葉県野田市・関根名人記念館
第4局 2月15日(月)  東京都渋谷区「東京・将棋会館」
第5局 3月 8日(月)   大阪府大阪市・関西将棋会館


÷  丹善人  ÷