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タイトルマイナビ五番勝負第1局
記事No1520
投稿日: 2021/04/06(Tue) 18:00
投稿者丹善人
この4月1日に、女流棋士一本に転向した西山朋佳女王に伊藤沙恵が挑戦する、
マイナビ女子オープン五番勝負第1局は、152手で後手の伊藤沙恵が先勝し、
初タイトル奪取に向かって踏み出しました。

これが女流棋士としてのデビュー戦であり、同時に防衛戦というのは史上初めての
出来事となる、先手西山朋佳。対するは、タイトル戦出場8度目となり、常連の
ままではいたくない、後手伊藤沙恵。後手は中飛車を見せながら、先手が3間飛車に
振った瞬間に、一手損角替わりを選びます。続けて角貼りで、2七と6七に角成りを
見せますが、先手も、後手が5四に歩を上げているので、6三に守りが利かない
ことを見ての6三成りと6七を守りを見せる角打ち。これを歩を上げて角成りを
催促。成った事で守りが外れて、再び両成りが見える状況で、先手は角交換を
迫ります。ここはおとなしく角成りで、両者馬を作ります。

6筋が開いたことで、後手は飛車を6筋に回します。ここはしっかり守る先手。
馬を後手飛車の筋に入れて牽制しますが、後手は金を上げて馬の侵入を許しません。
後手は馬も引きつけ、金銀が上がって馬と飛車の4枚で攻めの構え。序盤から
激しい攻防が繰り広げられます。

積極的に攻めの体制を築く後手に対し、先手は防戦一方。後手は1筋で香車交換。
奪った香車を攻めに追加します。先手は守り駒の銀を上げて、後手の馬を牽制に出ます。
準備を終えた後手は攻撃開始。香車で銀を奪うと、歩の成り込みから銀が前進。
先手は香車を張り替えして守り、飛車先を止めてしまった桂馬を飛ばして、飛車先を
軽くします。後手も先手の攻め筋を事前に受けて、簡単には逆襲を許しません。

攻め口をこじ開けようとする先手。今度は先手からの攻めが始まりました。
一転受けに回る後手。先手が後手からの6筋の攻めを封じ込めると、今度は2筋に
転換。2七にある馬を目標に。引きつけて後手の攻めの飛車と、使えていない先手の
馬の交換に成功。手駒を得た先手が攻める番になりました。
お互い、相手の攻め駒消去を中心に転換。双方、守りが堅くなっていきます。

攻めと防御が同時進行で進められる攻防戦。盛んに大駒交換が行われていきます。
派手な攻め合いは、わずかに後手が優勢か。先手玉正面に張った2枚の香車を生かし、
2枚飛車で先手玉を追い詰めます。

先手西山朋佳は桂馬を飛ばし、横から攻め込んでいる馬を生かして追い詰めようと
しますが、自玉に脅威を与えている桂馬を、後手伊藤沙恵は無視。あくまで直接
先手玉に圧力をかけます。そしてついに最終局面に。前後左右から先手玉を
取り囲み、どこにも逃げられない状況に、後手玉はまだまだ安全な状況で、
ついに力なく、西山朋佳の投了となりました。女流棋士転向初戦は苦いデビューと
なりました。


【第14期マイナビ女子オープン五番勝負】

西山 朋佳 ●  ○ 伊藤 沙恵

+------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|   |  氏  名   | 第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 |
+------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|女王 |西山 朋佳女流三冠| 先●  |    |  先  |    |    |
+------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者|伊藤 沙恵女流三段|  ○  |  先  |     |  先  |    |
+------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|   |         |152手|   手|   手|   手|   手|
+------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+

第1局 4月 6日(火) 神奈川県秦野市「元湯 陣屋」
第2局 4月21日(水) 山梨県甲府市「常磐ホテル」
第3局 5月15日(土) 神奈川県藤沢市「時宗総本山 遊行寺」
第4局 5月25日(火) 東京都渋谷区「東京・将棋会館」
第5局 6月 1日(火) 東京都渋谷区「東京・将棋会館」


÷  丹善人  ÷