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タイトル女流王座戦一次予選、野原未蘭vs渡部愛
記事No1553
投稿日: 2021/05/08(Sat) 12:00
投稿者丹善人
リコー杯女流王座戦、野原未蘭vs渡部愛の対局は、110手で後手の渡部愛が勝ち、
2次予選進出を決めました。

初手合いでは勝利しているしている先手野原未蘭。両者は白玲戦最終戦でも当たっており、
最終戦に渡部が勝てば1位、野原は3位。しかし野原が勝てば1位の可能性も出て来る、
前哨戦となっています。
先手野原未蘭、後手渡部愛相居飛車の出だし。後手が早々と8筋での歩の交換。先手が
角道を開けた瞬間に、後手が一手損角替わりに。先手が玉を6九に移動しているのに対し、
後手は居玉で飛車先守りで手得しています。

互いに玉を移動させた後、後手は飛車を6筋に転換。壁銀となっている先手玉を正面から
狙おうという所か。先手は6筋の歩を突き捨て、桂馬を上げて玉の横移動を可能にしました。
後手は先手の桂頭を開けさせてからの角の打ち込み。動かせないところへの打ち込みだけに、
この後の読みがどうなのか気になるところ。

後手は桂馬取りに歩を打てば、逃げた桂馬が銀に当たるので、先に銀を移動させてから歩を
打ちます。この歩は取れないので、後手が上げた銀が攻めに移行していきます。先手は桂馬を
逃げても不利だと判断。角取りに飛車を移動。こうなった場合にあらかじめ決めていたで
あろう、後手は角金交換。桂馬も取って、先手からの攻めがなくなり、先手守り陣が
弱体化した隙を狙って、再び飛車が8筋に戻ります。ここは先手も飛車を回して守ります。

後手渡部愛はこのチャンスを逃しません。桂馬貼りで攻めをつなげると、9七に飛車当たりの
金の打ち込み。同香車と取っても桂馬が成ってきます。先手野原未蘭は持ちこたえるしか無く、
必死の受け。後手は飛車を奪った後、打ち込みから横からの攻めを見せます。

ここで、いったん後手の攻めが途切れたので、今度は先手からの攻撃のチャンス。2枚角を
生かして、攻防に打っていきます。順調に攻めているかの様に見える先手でしたが、後手の
切り返しは一日の長あり。角銀交換で着実に先手駒を消していきます。先手も後手玉を追い詰め
ますが、四方から先手玉を追い詰める後手渡部愛。冷静に読み切って、前回の雪辱を果たし、
野原未蘭との対戦成績を1勝1敗のタイとして、白玲戦に向けての勢いを付けました。


野原 未蘭 ●  ○ 渡部 愛  110手

野原 未蘭女流1級---+
           +-渡部 愛 女流三段
渡部 愛 女流三段---+


÷  丹善人  ÷