西山朋佳女王が防衛まであと1勝と迫った、第14期マイナビ女子オープン五番勝負第4局は、
93手で先手の伊藤沙恵が勝って角番をしのぎ、対戦成績を2勝2敗の五分に戻し、決着を
最終局にもつれ込ませました。
先手、後がない挑戦者伊藤沙恵、居飛車の出だしに、後手西山朋佳は、飛車先保留のまま
銀を中央から上げようとするところ、先手は角交換。開いた5三に角を打ち込んで角成りと
します。後手も5五角としますが、先手は銀で追い返されるまで駒組みを進めて、角成りと
しました。後手は7筋に飛車を移動させます。
先手は角を横移動。後手の角の裏に回り込んで角取りを見せますが、後手はこれを銀上げで
阻止。すると先手は角道を遮っていた桂馬が跳ねて銀取りに。銀が逃げれば馬が活動します。
しかし、桂馬を上げたので、角道が通って成り込めることに。その場合には銀取りで有利と
読んだのか。
後手は銀を逃がして馬の進出を許します。中央が破られない様に、後手は金を上げて守ると、
先手も7七に銀を上げて、角成りを止めます。後手は角を引いて安全にした後、伸ばした
銀を使おうと左右に揺さぶりをかけます。先手は守りの金銀がうわずっていきます。
先手は馬を生かそうと、右銀も上げていきます。後手が飛車を上げて馬を狙いに来たので、
ここはいったん馬を引きます。
先手伊藤沙恵は後手玉頭をこじ開けて桂馬を飛ばして桂馬交換から、さらに上がった金当てに
桂馬貼り。金は逃げられないので底から桂馬を貼って玉頭を守ります。ならばと金桂交換。
取った金を後手角頭に貼り付けて角を奪い取りに。角は動けないので、後手西山朋佳は
飛車を回して馬狙いに出ます。
ここはいったん飛車道を止める先手ですが、後手は直接馬頭に歩貼り。飛車さえ出られなければ
、と、先手は角交換を視野に角を散ります。交換ならば前進した金が暴れ回るので、ここは
馬は取っている場合ではなく、自陣を固めます。馬が生きている内に一気の攻めを目指す先手は
2筋からの攻め。先手が優勢を築きだしています。
先手伊藤沙恵は、後手に反撃の機会をも与えずに、桂金交換で奪った金を貼り付け一気に
先手玉を追い回します。後手の西山朋佳に悪手があったわけではなく、伊藤沙恵の執念の
指し回しが実った1局となりました。
【第14期マイナビ女子オープン五番勝負】
伊藤 沙恵 ○ ● 西山 朋佳
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| | 氏 名 | 第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 |
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|女王 |西山 朋佳女流三冠| 先● | ○ | 先○ | ● | |
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|挑戦者|伊藤 沙恵女流三段| ○ | 先● | ● | 先○ | |
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| | |152手|102手| 97手| 93手| 手|
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第1局 4月 6日(火) 神奈川県秦野市「元湯 陣屋」
第2局 4月21日(水) 山梨県甲府市「常磐ホテル」
第3局 5月15日(土) 神奈川県藤沢市「時宗総本山 遊行寺」
第4局 5月25日(火) 東京都渋谷区「東京・将棋会館」
÷ 丹善人 ÷