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タイトル女流王座戦本戦 山田久美VS村田智穂
記事No488
投稿日: 2018/07/17(Tue) 18:16
投稿者丹善人
女流王座戦本戦1回戦、山田久美VS村田智穂の対局は、173手で先手の
山田久美が勝ち、ベスト8に進出しました。

先手山田久美居飛車に対し、後手村田智穂はゴキゲン中飛車に。先手は飛車先を
5段目まであげ、後手の角を7七に釣り上げ、後手が5五歩に伸ばしたところで
両者玉の囲いに入り、互いにしっかりと穴熊を組み上げます。

先手が金銀4枚に角が守りにつく中、どうやって攻めの手を作るのか。対する
後手は飛車角に金が攻めに加わって中央を攻撃しようとします。
先手は角を8六に上げてがら空きの3一への成り込みを見せます。対する後手は
6・7筋の歩を上げ、銀を上げて抵抗します。ならばと先手は右の桂馬を上げて
2筋の飛車の成り込みに期待をかけますが、後手は銀を糧に角を下げて攻め込む
準備をします。

先手は2二歩と打ち込み、角を下げさせて飛車が突入する構え。対する後手は
なぜか攻め駒の銀を角狙いではなく、前進させたので、先手の角が生き返って
前進します。かまわず後手は5筋の飛車先の攻めを敢行。先手は誘いには乗らずに
受け流して守りを固めます。これで飛車の成り込みが確実になった後手ですが、
鉄壁の穴熊をどう崩していくのか。対する先手もと金作りや角の成り込みは
確実なだけに攻めの速度の違いとなってきました。

銀の成り込みからの駒の交換から飛車成りもありましたが、後手は銀を退いて
飛車道を開け、成り込みやすくした上に、桂馬を取られても打ち込まれないように
銀を据えました。ここで先手は飛車成り阻止の自然な歩を貼りますが、後手は
7筋の桂頭を狙っての歩の突きだしから戦線を拡大しようとします。ならばと
前線に出ている銀を追い返そうと歩を貼る先手ですが、後手は角頭の歩の突きだし。
かまわずに桂馬を飛ばして後手の角を狙う先手、と戦いは別の所で広がり両者
意地を張っての角交換となりました。

取られそうな銀を繰り出して銀金交換を迫る後手ですが、銀が動いたことで
桂馬の貼り場所が出来たので、先手はここでようやく桂馬入手といきました。
しかし手番は後手にあり、鉄壁と見られる先手の4枚穴熊を1枚ずつはがしに
かかります。先手は後手の飛車侵入阻止に歩を貼ったために、これが先手の
飛車の横利きを止める結果となり、後手の歩の連打により先手守り陣が
次々と崩壊していきます。

気づいてみれば先手玉は裸に。後手玉はまったく乱されていません。先手の
持ち駒こそ増えはしましたが、攻めに使う場面が現れません。後手の一方的な
攻撃となってきました。先手はただただ守るのみ。完全に形勢に差が付いて
しまいました。

大胆にも後手はいきなり詰めろの角の打ち込み。これは単に馬を作る目的。
先手は飛車狙いの角打ち。飛車まで使われてしまっては勝ち目がもはや
ありません。
しかし後手も一気に攻めるには1枚駒が足りません。飛車が逃げると、
今度は逆に後手玉が危うくなるために飛車に紐を付けますが、後手の攻めが
止まったのを見て、先手は守りを硬くする手に出ます。結果的には角の
打ち込みが時期尚早だったのか。見る間に先手陣が固くなり一気に形勢が
逆転してきました。

しかし馬を捕らえようと飛車を退いたところ、逆に隙間に馬が逃げ込み、
馬の確保に失敗します。
気を取り直して今度は先手が攻めに入ります。桂馬を使って後手の守り駒の金を
遠ざけ、角飛車交換で得た飛車を打ち込んで攻め駒とします。今度は後手が
駒を貼って守りを固める番。しかし両者共にちぐはぐな手が出て、状況は
指されるたびに一変していきます。

両者とも少ない持ち駒を打ち合っては取るの繰り返しで、決定的な好手がありません。
そのうちに後手玉の守りも薄くなってきましたが、決め手に欠ける手ばかりが
続いていきます。

お互いの守り陣が少なくなったところで、最終局面。お互いが我が道を行く作戦に
出ました。どちらが早く相手玉にたどり着くかの時間差の問題となりました。
先手山田久美は竜が横から攻め、守りの金を成桂ではがして迫ります。しかし2枚の
馬が守りに利いていて、一気の攻めは難しいところ。
片や後手村田智穂は2枚の馬を要に正面から歩を突いて金を釣り上げてからの
桂馬打ち。ついに駒1枚あれば寄せきるところまで行きました。駒が盤上に堕ちて
いるので、拾う余裕があれば勝利をつかめるところです。

後手からのうまい手が見つかりません。守りの馬で堕ちている駒を拾えば、その
瞬間に後手玉が詰まされるという瀬戸際で、連続王手の千日手という禁断の時間
稼ぎに出た後手村田智穂でしたが、ギリギリの受けに頼るしかなく、駒を話達さ
なければ価値と言うところまで来た先手山田久美はもう1枚の飛車も成り込み、
2枚飛車の攻めに期待をかけます。

歩を貼って馬の利きを止めて詰めろを掛ける先手。ここであきらめた後手は形作りに
落ちている銀を拾います。後手玉をシンプルに追いかける先手。事業に詰めろが
かかっているだけに、相手玉を詰ます以外に勝ちはありません。
最後には2枚竜が物を言い、ようやくにして寄せきることに成功した先手でしたが、
互いに勝ち筋があっただけに、終盤の読み間違いが悔やまれます。


【第8期リコー杯女流王座戦本戦】女流王座:里見 香奈女流四冠

山田 久美 ○  ● 村田 智穂   173手

香川 愛生女流三段-------+
             +-   -+
山口恵梨子女流二段-------+     |
                  +-   -+
藤井 奈々女流2級-------+     |    |
             +-   -+    |
清水 市代女流六段-------+         |
                      +-   -+
上田 初美女流四段-------+         |    |
             +-   -+     |    |
岩根 忍 女流三段-------+     |     |    |
                  +-   -+    |
和田 あき女流初段-------+     |         |
             +-   -+         |
室田 伊緒女流二段-------+              |
                            +-
西山朋佳奨励会三段-------+              |
             +-   -+         |
鈴木 環那女流二段-------+     |         |
                  +-   -+    |
伊藤 沙恵女流二段-------+     |    |    |
             +-   -+    |    |
本田小百合女流三段-------+         |    |
                      +-   -+
村田 智穂女流二段-------+         |
             +-山田久-+     |
山田 久美女流四段-------+     |     |
                  +-   -+
竹俣 紅 女流初段-------+     |
             +-加藤 -+
加藤桃子奨励会初段-------+


÷  丹善人  ÷