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タイトル女流名人戦五番勝負第1局
記事No1006
投稿日: 2020/01/19(Sun) 16:36
投稿者丹善人
谷口由紀女流三段が里見香奈女流名人に挑戦する、第46期岡田美術館杯
女流名人戦五番勝負第1局は、88手で後手の里見香奈が先勝しました。

タイトル戦登場はこれが4回目になる先手谷口由紀は向かい飛車。後手となった
里見香奈は3間飛車の相振り飛車で始まった対局は、後手がまず飛車先の歩の
交換で、先手は居玉のままで3筋は開けたまま。後手が銀を4段目に上げたので、
先手も2筋で歩の交換。後手玉は美濃に囲います。

その後ようやく先手が3筋に蓋をして、後手飛車は4段目に下がります。
ここで後手は銀を上げて飛車の横路を通して飛車をぶつけて交換要求。これは
拒否する先手。後手が6四歩と出たので、再度2筋で歩の交換。これを歩を
伸ばして飛車交換を再度要求する後手。これは拒否すれば歩が延びて不利に
なるので、やむなく交換に応じますが、先手は再び飛車張りで上がった銀狙い。
後手は歩の伸ばして銀取りを見せてから飛車を張って銀を守ります。
今度は交換しなくても大丈夫なので飛車が下がりますが、後手は傷となっている
8三を歩で埋めます。

先手は飛車狙いに銀を上げますが、後手はまたまた飛車交換要求。これを拒否して
後手が飛車を逃がせば銀上がりで飛車当てに。しばし千日手模様になります。
さすがに千日手にはしたくない先手は手を変えます。
後手は銀を上げて飛車の逃げ道を確保。飛車当てに銀が再度延びても今度は
逃げ場所ができました。後手は延びてきた先手銀の対応で金が上がって高美濃に
移行します。

ここで両者ともしっかり玉の囲いに入り、後手は8二に玉が入り、先手は金無双に
組みました。後手が桂馬も上げて3筋からの攻めを見せれば、先手はめざわりな
6筋の歩を消去しに、後手の角筋を止めて金を上げます。このタイミングで後手は
3筋での攻撃を開始。先手は玉の早逃げで対応しますが、ここで浮き駒となって
しまった銀をめがけて核が飛び出します。先に角が出ていれば金上がりでなんでも
なかったのですが、うまいタイミングでの上がりで、先手は歩を上げて角道を
防ぐのが精一杯。後手は手に乗って端攻めを敢行。
で
先手谷口由紀は端攻めを放置して、目障りな6六の歩を金取りながら角に当てます。
後手里見香奈は角金交換に応じ、端を成り込みます。先手は奪った角を攻防の位置で
ある5五に貼り付け、飛車当たりとしますがこの手はさすがにまずかったか。
角頭に金を貼られて飛車角両当たりに。角で飛車を取れば先手の飛車はタダ取りと
なり、後手の挟撃態勢が強化されることになり、さりとて飛車が逃げれば再び
角金交換で結果的に後手には何の損もなくなります。ここで勝負あったかも
しれません。

やはりこの飛車交換で望みを絶たれたことを自覚した谷口由紀が投了。
里見香奈の快勝で第1局が終了しました。


【第46期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負】

谷口 由紀 ●  ○ 里見 香奈

+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    |  氏  名   | 第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|女流名人|里見 香奈女流四冠|  ○  |  先  |     |  先  |     |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者 |谷口 由紀女流三段| 先● |     |  先  |     |     |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    |         | 88手|   手|   手|   手|   手|
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+

第1局 1月19日(日)  神奈川県箱根町・岡田美術館開化亭
第2局 1月26日(日)  鳥取県出雲市・出雲文化伝承館
第3局 2月11日(火・祝) 岡山県真庭市・湯原国際観光ホテル 菊之湯
第4局 2月23日(日)  千葉県野田市・関根名人記念館
第5局 3月10日(火)   大阪府大阪市・関西将棋会館


÷  丹善人  ÷