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タイトル女流名人戦五番勝負第2局
記事No1017
投稿日: 2020/01/26(Sun) 16:24
投稿者丹善人
里見香奈女流名人の先勝で始まった第46期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負
第2局は、113手で先手の里見香奈が2連勝。最多防衛に王手をかけました。

先手里見香奈居飛車の出だしに、後手谷口由紀はゴキゲン中飛車に。先手が矢倉、
後手が美濃に囲ったところで、9筋を突き合って、後手から一手損角替わりに。
後手が向かい飛車に振り直すと、先手は穴熊に組み替えます。先手が頑丈に駒を
集める中、後手は6四に角を貼って、穴熊頭と飛車の両狙いに。対する先手も
8六に角を合わせ、角交換から後手は再び角を貼ります。

先手は玉頭が薄くなったので銀冠穴熊に以降。後手が活用できていない左桂馬を
上げると、そこを狙って先手は7七角と打ちます。飛車が狙われやすいので、
後手はいったん飛車を下げます。先手も当たりを避けて飛車を下段に落とします。
後手は守りを固めようと角を一旦下げます。先手は開いた穴熊の蓋を金で閉じます。

ここで後手は8五で麩を交換して角当たりに桂馬を飛ばします。上がった角を
角交換でさばき、銀が出て桂馬に当たると歩で支えます。先手は5五に出ている
後手銀を攻めます。これで銀が下がれば後手の攻めの順がなくなるので、後手は
これを放置して銀当てに角を6四に打ちます。

ここは素直に銀交換。先手は守りに銀を張ってなんでもない局面に戻します。
そして跳ねている後手の桂馬取りに歩が打てるようになりました。後手は奪った
銀を打ち込んで桂馬取りに。先手は桂馬を飛ばして桂馬交換を要求。交換の後、
後手は銀成りで銀取りに出ますが、先手はこれを放置して4筋の歩を前進。
銀を取れば歩が成り込んで飛車金両当たりの角打ちができるという算段。銀取りを
あきらめても、角の打ち込みから角成りができて銀に紐が付きます。

後手は飛車を4一にまわして不成りを受けてのがまん。先手は狙われている銀を
上げて攻めにも使える態勢に。追いかける後手ですが、先手は飛車を4筋に回して
受けます。
後手は金を引きつけて玉まわりを固めますが、先手はここで飛車当たりの角の
打ち込み。飛車が逃げればと金が作れて一気に優位を築くことができます。先手玉は
鉄壁の穴熊が手付かずの状態なので、攻めに専念できます。

後手が角当てに飛車を逃がしたので、先手は歩成りではなく角成りに。後手はさらに
6筋歩の交換から角筋を止めながら歩銀両当たりの桂馬打ち。しかしこれは歩の前進を
呼び込むことにもなり、上がった歩が角当たりとなり、格が下がってできた空間に
桂馬を打ち込んで後手陣を崩しにかかります。

これを相手にしていても勝ち目がないと考えた後手は攻めを優先。桂馬が前進
しますが、先手玉はまだまだ奥深い。先手は桂金交換で持ち駒を増やし、桂馬に
当たっている金を下げて守りを固めます。後手は銀交換で持ち駒を増やすのが
精一杯。上がった飛車に交換したばかりの銀を当てますが、ここで先手は長考。
飛車を与えても攻めが十分かどうかの検討に入ったようです。

飛車は放置して後手玉正面からの攻めを始めようという先手に対し、後手も飛車を
取っている場合ではないと、持ち駒をフルに使って先手の守り陣を崩そうとしますが、
ここは穴熊の堅さが優位に。持ち駒も十分あるので後手玉への攻めの方が早いと
判断した先手が最後の攻撃にかかります。

後手谷口由紀は先手の守り駒の金を取って手を渡します。おそらくは読み切っている
先手里見香奈が一気に寄せに入り、一直線の寄せで逃げるチャンスも与えずに
寄せきりました。


【第46期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負】

里見 香奈 ○  ● 谷口 由紀

+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    |  氏  名   | 第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|女流名人|里見 香奈女流四冠|  ○  | 先○ |     |  先  |     |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者 |谷口 由紀女流三段| 先● |  ●  |  先  |     |     |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    |         | 88手|113手|   手|   手|   手|
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+

第1局 1月19日(日)  神奈川県箱根町・岡田美術館開化亭
第2局 1月26日(日)  鳥取県出雲市・出雲文化伝承館
第3局 2月11日(火・祝) 岡山県真庭市・湯原国際観光ホテル 菊之湯
第4局 2月23日(日)  千葉県野田市・関根名人記念館
第5局 3月10日(火)   大阪府大阪市・関西将棋会館


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