ヒューリック杯清麗戦再挑戦組予選決勝１、甲斐智美VS岩根忍の対局は、１２６手で
後手の岩根忍がまさかの大逆点で勝ち、本戦進出を決めました。

先手甲斐智美、後手岩根忍、両者とも振り飛車党にもかかわらず、相居飛車の
出だしに、駒がぶつかることなく、両者駒組みを行います。先手が美濃囲い、
後手が３一に玉を据えて陣形を固めます。先手は右銀が前に出て腰掛け銀から
桂馬も上げます。後手は金銀が３段目に上がり金銀４枚で玉を固めます。

先手から４筋の歩をぶつけていきました。これを取れば桂馬が飛んで、３三に
ある角と５三の銀の両当たりとなりますが、角交換でなんでもなく、先手は
さらに３筋の歩も突いて角交換の後の歩の打ち込みに期待します。
後手は先手の思うようにはさせないと、３筋の歩は取らずに先に角交換。
桂馬を飛ばれる前に先に銀が上がります。

先手は今度は２筋の歩を突いてから銀をぶつけます。これをかわす後手ですが、
ならばと４三にいる金の頭に歩を張り、金が横に移動して先手銀がさらに前進。
後手は邪魔な歩を取り去りますが、先手は角貼りでこの銀を狙いに。後手は
桂馬狙いの角打ち。桂馬を挟んで飛車当たりなので、先手は飛車を４筋に移動。
後手は前進を止める歩打ちとしますが、同時に角道も止まってしまいました。

角を支えに後手は銀を前進。角当たりなので先手は角交換を選択。交換の後、
後手は飛車を止めている歩を生かしての攻めにも利く銀取りの角打ち。先手は
角を合駒に打ってまたしても角交換。交換で飛んだ桂馬が後手金に当たって
渡りに船。先手はそのまま桂馬成りから桂銀交換と、銀成りが後手玉に迫る形に。

後手も交換した桂馬を使って８筋からの攻めを見せます。後手守りの銀を
上がらせて８七に歩を打ち込んで直接角打ちの王手。香車を取っての角成りですが、
先手玉はまだまだ安全。先手は角を貼って攻めを継続支えます。

先手甲斐智美は一気の攻撃と、角を支えに金銀交換に持ち込んで後手玉の守りを
飛車のみにさせて角が成り込みます。持ち駒を守りに投入する後手岩根忍。
後手の持ち駒をすべて守りに使わせたことで自玉が安全となり、先手は攻めのみに
集中できます。

何とか先手玉を攻めたい後手ですが、玉の早逃げで間に合いそうもなく、挟撃態勢を
作ろうと飛車先に香車を貼りますが、駒交換の先には後手玉への王手がかかって
先手が手番を取れます。交換で奪った香車がそのまま後手玉の攻めにも使われ、
後手玉に詰めろがかかりました。

後手としては先手玉を寄せるしか手がなく、必死で先手玉に襲いかかります。
ここで先手に読み違いがあったのか、模様がおかしくなります。受けを誤ったようで、
大逆演劇が生じました。気がつけば先手玉に逃げ場がなく、ぴったりの寄せで
甲斐智美は９９％手にしていた勝利を土壇場で失いました。


【第２期ヒューリック杯清麗戦再挑戦組予選決勝】清麗:里見　香奈

甲斐　智美　●　　○　岩根　忍　　１２６手

岩根　忍　女流三段---+
　　　　　　　　　　 +-岩根　忍　女流三段
甲斐　智美女流五段---+

石本さくら女流初段---+
　　　　　　　　　　 +-
中村　桃子女流初段---+

中村真梨花女流三段---+
　　　　　　　　　　 +-
上田　初美女流四段---+


÷  丹善人  ÷