里見香奈女流王位に加藤桃子女流三段が挑戦する、第３１期女流王位戦五番勝負
第１局は、１１１手で先手の里見香奈が先勝しました。

コロナウィルスの影響で、わずか2日前にマイナビ女王戦を終え、惜しくも
タイトル奪回とはならなかった加藤桃子は休息を取る間もなくの文字通り
連戦となりました。またコロナウィルスの影響で、記録係の手が足りず、
連日男性棋戦の記録を取ることもあり、悲鳴の声を上げるなか、多くの
高段者男性棋士からも応援の声が上がるなど、助けを求める声もある中、
厳しい意見を述べる方もいたりして、精神的にもきつい状況の中ではありますが、
雑音に悩まされることなく盤面集中してほしいものです。

先手里見香奈、ゴキゲン中飛車美濃に対し、後手となった加藤桃子はイビ穴で
応じます。先手が中央から銀を伸ばして行くのに対し、後手は８筋の歩を突きだして、
飛車を４段目に上げ中央を守ります。先手は早くも１筋の歩を突いて穴熊玉頭を
こじ開け、桂馬が飛んで１筋突破を図りながら、４筋の歩を突き捨てて守りの
金をそらせてから１筋の香車が４段目まで上がったところで桂馬を支えに１三に
歩を打ち込みます。

先手を取られて防戦一方となっている後手も、４筋の歩を伸ばして反撃の態勢。
さらに目障りな先手のエメの要となっている桂馬を桂馬交換で取り去り、打ち込まれた
１三の歩も角で取りますが、結果として穴熊玉はすでに穴熊が崩壊。離れ小島に
ぽつんと玉だけが取り残されたような形になってしまいました。

先手は１四に桂馬を貼って後手玉を追い詰め、４筋に香車を貼って逃げ道阻止に
出ますが、まだ後手玉の守り駒金銀３枚は手付かずなので、すぐには攻め込まれる
ことはなさそうです。
そこで先手は守り駒をはがしていく方針に出ました。銀を守りからはずさせ、
王手角取りのねらいに１筋の香車を上げて攻撃態勢が整います。

このままでは押される一方の後手も桂馬を取る歩成りに出ますが、せんてはこれを
無視。玉の逃げ道だけを確保して態勢は整いました。
後手は夫手角取りだけは避けましたがそれまで。後手の守り陣がすべてクズされるのは
時間の問題。

先手里見香奈は飛車も１筋に回そうとしますが、後手加藤桃子は桂馬打ちで先手玉を
端に追いやって、飛車を回らせず、６筋から飛車を成っていき先手角を狙いますが、
先手は予定通りに角切りで後手玉を裸にし、上がった金と５三銀を目標に、挟撃態勢を
築き上げる桂馬の割り打ち。銀が動けば飛車が走って挟撃態勢がなおきつくなるので
おそらくはここで勝負ありでしょう。

後手は銀が動けないので金が逃げます。先手はこの金を狙って一気に攻める手も考え
られますが、寄せまでたどりつけるのか。一方、銀取りに行くと後手玉には遠いので、
手羽空いたときに後手からの反撃が考えられるので、どちらを選ぶのか悩ましい
ところ、里見は銀取りでじっくり行く手を選択。先手玉はまだまだ大丈夫と読んだ
模様です。

後手加藤桃子は桂馬で王手をしてから香車を補充。これが先手玉への詰めろとなって
います。一気の寄せがないと判断した先手は詰めろを消す銀打ち。これで一手の隙が
できて、先手は後手玉に詰めろをかけさえすればよくなりました。
なおも桂馬が飛んで攻撃の手をつなげようとする後手。これが詰めろになっているのか
不明ながら、里見は万一に備えて守り駒を増やしてのＺを構築。これは崩れそうも
なく、里見の勝利が近づいて来ました。

後手加藤桃子はここで攻防に角を飛ばしての香車取り。玉の守り駒が１枚減り
ましたが、これで先手玉への詰めろ画継続。先手里見香奈は落ち着いて要の桂馬取り。
同時にこれが角取りにもなっているので後手は角を引きます。
後手からの攻撃手段が途切れたので、先手はゆっくりとした攻めが出来ます。
最後の守り駒の金頭に歩を貼って、取っても逃げてもこれが詰めろに。
金を放置して先の攻め駒となる成桂を角で取りましたが、先手はこちらには
逃がさないように後手玉を追い込んで詰めろを掛けて投了となりました。

これが今期初戦となる里見香奈が終始押し気味に進めた展開。やはり連戦の疲れが
出たのか、押され気味のまま、いいところもなく終わってしまって悔いの残る
加藤だったでしょう。


【第３１期女流王位戦五番勝負】

里見　香奈　○　　●　加藤　桃子

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|　　　　|　　氏　　名　　　| 第１局 | 第２局 | 第３局 | 第４局 | 第５局 |
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|女流王位|里見　香奈女流四冠| 先○　 | 　　　 | 　先　 | 　　　 | 　　　 |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者　|加藤　桃子女流三段| 　●　 | 　先　 | 　　　 | 　先　 | 　　　 |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|　　　　|　　　　　　　　　|１１１手|　　　手|　　　手|　　　手|　　　手|
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+

第１局　６月　５日（金）東京都渋谷区「東京・将棋会館」
第２局　６月　９日（火）大阪市福島区「関西将棋会館」
第３局　６月１７日（水）大阪市福島区「関西将棋会館」
第４局　６月２４日（水）東京都渋谷区「東京・将棋会館」
第５局　６月２８日（日）東京都渋谷区「東京・将棋会館」


÷  丹善人  ÷