里見香奈女流王位の先勝で始まった女流王位戦五番勝負第２局は、１１０手で
後手の里見香奈が勝ち、防衛に王手をかけました。

先手加藤桃子、居飛車の出だしに、後手里見香奈は再度ゴキゲン中飛車に出ます。
駒がぶつかる前に両者とも駒組みを進め、先手は金銀４枚と角を玉回りに集め、
その後穴熊にすると、後手は美濃に囲った後、銀を前に出して飛車を下段に落とし
ます。第１局と同じく、イビ穴対ゴキゲン中飛車美濃の対決となりました。

仕掛けは後手から３筋の歩を突っかけ。これに応じると後手は飛車回りから角が
飛び出して成り込みが防げないので、先手は応じずに２筋の歩を突っかけます。
角で取った後、ここで４筋の歩を始末するかと思いきや、先手はいきなり
６筋の歩を突っかけます。これを桂馬で取れば角当たりになりますがどうするのか。

先手は角を８六に上げます。桂馬を後で取ろうと言うのか。後手は４筋の歩を
伸ばして桂当たりに。ここで先手は飛車角交換に出ます。そして奪った角を飛車
当たりに打ち込みます。これが先ほど上がった角と同じラインに。角切りで一気に
後手玉に迫ろうというのか。

後手は飛車取りに構わず桂取りで歩を成りこみます。先手も飛車取りは本命ではなく、
角金交換からの王手で角成り。これを交換したばかりの角で受ける後手。で、先手は
馬を元の飛車当たりの位置に戻します。後手は離れ駒になった銀も寄せて守りを強化
します。

先手は馬を引いて、後手玉正面からの攻め。後手は角を馬に当てますが、先手は金で
支えて攻めの継続。ここは馬と角を交換しておく方が有利と後手は交換。そして桂馬
貼りで先手穴熊崩しを図ります。桂金交換となったところで、後手は目障りな先手の
攻めの金を消去しに金貼り。攻め駒が盤面からなくなれば、銀２枚の守りとなった
先手穴熊は崩しやすくなったと言えるでしょう。

先手子はあえて金交換を選択。その後攻防の角打ちに出ますが、後手はまだ攻める
ときではないと、守りを固めます。攻めの継続の手がなくなった先手はとりあえず
角成りとしますが、後手は目障りな玉頭そばの歩を取り払い、これで脅威が完全に
なくなりました。

何とか攻めをつなぎたい先手は再度７筋に歩を打ち、馬を引いて飛車当たりと
しますが、後手は丁寧に受けます。攻めを切らせてからじっくりと穴熊退治に
出ようという所でしょう。
後手玉に楔を打ち込んだところで先手の攻めは切れました。替わって後手の攻め。
これは一気に勝負が付きそう。

後手は穴熊玉めがけて歩を貼って、守りの銀の一つをはずさせ、馬当たりにもなる
飛車を打ち込んで寄席を目指します。最後のお願いで先手は攻撃をしますが、
後手は攻めの要になっている桂馬をはずしてこれで先手からの攻めはなくなりました。
先手は攻め駒の金銀交換で取った銀を守りに貼り付けるのがせいいっぱい。

とりあえず、両者当たりになっている駒を逃がしてからの戦い。手番となっている
後手がタダの場所に桂馬を貼って先手守り駒の銀を１枚戦場から離脱させ、桂馬の
支えで銀取りの歩成りでさらに銀を１枚はがして穴熊の蒸し焼きの準備が出来上がり。
先手加藤桃子はもはやこれまでと、形作りの桂馬打ち。詰めろではないので、
後手里見香奈は詰めろを掛けるだけよいけれど、詰みを読み切ったようで、あえて
詰ましに行きます。寄席が見事に決まって里見香奈の連勝となりました。


【第３１期女流王位戦五番勝負】

加藤　桃子　●　　○　里見　香奈

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|　　　　|　　氏　　名　　　| 第１局 | 第２局 | 第３局 | 第４局 | 第５局 |
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|女流王位|里見　香奈女流四冠| 先○　 | 　○　 | 　先　 | 　　　 | 　　　 |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者　|加藤　桃子女流三段| 　●　 |　先●　| 　　　 | 　先　 | 　　　 |
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|　　　　|　　　　　　　　　|１１１手|１１０手|　　　手|　　　手|　　　手|
+--------+------------------+--------+--------+--------+--------+--------+

第１局　６月　５日（金）東京都渋谷区「東京・将棋会館」
第２局　６月　９日（火）大阪市福島区「関西将棋会館」
第３局　６月１７日（水）大阪市福島区「関西将棋会館」
第４局　６月２４日（水）東京都渋谷区「東京・将棋会館」
第５局　６月２８日（日）東京都渋谷区「東京・将棋会館」


÷  丹善人  ÷