里見香奈第１期淸麗への挑戦者を上田初美と伊藤沙恵の間で決める、
第２期ヒューリック杯淸麗戦挑戦者決定戦は、１２６手で後手の上田初美が
勝ち、挑戦権を手に入れました。
先手伊藤沙恵、後手上田初美、相居飛車の戦いとなり、後手が８五に歩を
伸ばしましたので、先手は７七角と上がり、矢倉模様に玉を移動させます。
対する後手は金銀を中央に向かわせ、得意の穴熊ではなく、美濃に構える
ようです。
後手は飛車を７筋に回し、角頭を目標にします。両者囲いが十分になって
後手から６筋の歩を突きます。飛車が上がったところで先手は角道を開け、
後手の角道をもこじ開けようとしますが、後手は飛車を４段目に下げて
守ります。飛車が下がったので、傷になる角頭を歩で守ります。
後手が攻めに桂馬も上げると、先手は飛車を４筋に回してここからの攻めを
狙います。後手が８筋の歩を釣り上げると、先手は４筋で取る劇開始。
後手も８筋を攻めていきます。
先手は後手の飛車を６四におびき出してから４筋歩成りで角道をこじ開けて
角交換、開いた８二に角を打ち込み桂香両当たりを見せます。対する後手は
両取り受けるべからずで、これを放置。飛車先の金に歩を打って金を上げると
飛車切りに出ました。
銀で飛車を取ると後手は飛車銀両当たりとなる角の打ち込み。これは飛車を
逃がすしかなく、後手は角成りで優位に立ちます。
先手は角成りで桂馬を奪うと銀当たりになって、後手は銀を下げますが、
先手は奪ったばかりの桂馬で銀当たりに。ここで銀を取られると、次に王手
馬取りの飛車の打ち込みがあるので、後手は先に馬の位置を変えます。
ということで、技は使わずに先手は直接飛車を相手陣に打ち込みます。
後手は守りを固めますが、先手は攻め駒を足して一気に寄せる準備に出ます。
お互い玉の逃げ場はないのですが、先手には飛車が守りによく利いていて、
攻め崩すには難しいところ。逆に後手には守り駒は多いのものの、少しずつ
駒がはがされそうです。しかし桂馬が入れば一気に逆転するので、先手と
しては攻め方が難しいところです。
ここでついに先手は決戦の桂銀交換。後手は待望の桂馬が手に入りました。
なので先手は桂馬貼りに備えての銀打ち。これが馬当たりなので手番は
取れそう。守りを固めながら攻めが優先出来そうです。
後手は桂馬取りで馬を逃がし飛車当てとしますが、手が遅れそう。先手が
飛車成りで迫りますが、後手は追加の金打ちの守りで龍を退けます。
手番が回ってきた後手は銀当ての歩打ちで、守りが堅くなってきた先手陣に
揺さぶりをかけます。
後手は釣り上げた銀当てに桂馬打ち。銀が下がったところで先手は馬と飛車の
交換。もう１枚の桂馬を貼って銀打ちから詰めろを掛けます。先手は空間を
埋めて耐えますが、後手の執拗な攻め。先手は桂馬を１枚はがしますが、
後手は飛車張りで再度詰めろ。先手は玉が上部脱出を図ります。
後手上田初美は後手玉が安全であることに期待をかけて先手玉の脱出阻止に
つとめます。絶体絶命の先手伊藤沙恵は馬の利きに期待をかけて逃げるのみ
です。しかし後手はこの馬を片付ける手を選択。上部から押さえ込んで
先手玉の脱出経路を押さえ込んでしまいました。
先手は最後のお願いで攻防の角打ちで王手。合駒を使わずにかわす後手。
先手は８筋にある後手の抑えの駒を消し去ってこちらか逃げようというところ。
後手は手をこまねきながらも数に物を言わせ先手玉を追い詰めます。
とうとう９一までやってきた先手玉。しかし守りの駒がまったくなく、行き場の
なくなった先手は投了に追い込まれました。
ここまで無敗で勝ち上がってきた伊藤沙恵でしたが、初めての敗北で挑戦権を
失うという皮肉な結果となりました。
【第２期ヒューリック杯清麗戦本戦トーナメント戦】清麗:里見 香奈
伊藤 沙恵 ● ○ 上田 初美 １２６手
各組本戦トーナメン進出者
予選全勝通過：伊藤 沙恵女流三段
６回戦再挑戦：甲斐 智美女流五段
５回戦再挑戦：石本さくら女流初段
４回戦再挑戦：中村真梨花女流三段
３回戦再挑戦：岩根 忍 女流三段
２回戦再挑戦：上田 初美女流四段
１回戦再挑戦：中村 桃子女流初段
岩根 忍 女流三段---+
（３回戦再挑戦） +-岩根 -+
甲斐 智美女流五段---+ |
（６回戦再挑戦） +-上田 -+
中村真梨花女流三段---+ | |
（４回戦再挑戦） +-上田 -+ |
上田 初美女流四段---+ +-上田 初美女流四段
（２回戦再挑戦） |
石本さくら女流初段---+ |
（５回戦再挑戦） +-石本 -+ |
中村 桃子女流初段---+ +-伊藤 -+
（１回戦再挑戦） |
伊藤 沙恵女流三段------------+
（予選全勝通過）
÷ 丹善人 ÷