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タイトル女流王座戦本戦1回戦 藤井奈々VS中村真梨花
記事No1193
投稿日: 2020/07/17(Fri) 17:49
投稿者丹善人
いよいよ開幕しました、リコー杯女流王座戦本戦1回戦、藤井奈々VS中村真梨花の
対局は、まさに藤井ブームに乗っかかったような勝ち方で、229手で先手の
藤井奈々が勝ち、2回戦に進出しました。

先手藤井奈々、後手中村真梨花、相三間飛車に先後同型のまま、角先の歩を上げて
飛車を角先に回していきます。先手が金無双としたところで同型を離れましたが、
後手も金無双になるでしょう。
駒組みが整った段階で、先手が1筋の歩を伸ばし、後手が角を3三に上げている
違いだけのほぼ先後同型となっています。

先手は角筋を止める6六歩。対する後手は中央の歩を上げます。お互い銀が3段目
まで上がって様子見。先手は9筋の歩も伸ばしていきます。後手が銀を5四に上げ、
飛車の横利きが止まったところで、先手は2筋の歩の交換。初めて駒がぶつかり
ました。
後手は銀が4五に上がり、後手も8筋で歩の交換。続けて後手は銀を生かして
3筋でも歩の交換とします。後手は歩を2枚手持ちにしました。

先手が5五の歩を目当てに角を通したので後手は守りに飛車を5四に回します。
そこで先手は後手の銀をいったん退けてから銀を繰り出しますが、後手もいったん
4二に回した角を再び3三に戻して5五の歩を守ります。
先手が5筋を固めるうちに、後手は端狙い。1筋の歩を突きだして、先手の歩の裏に
歩を貼ります。

ここで先手は5筋攻撃。歩を突き飛車頭に歩を貼って飛車を角筋に移動させて
金が上がります。後手は飛車の逃げ道確保に合わせて銀が前進、1筋からの攻めの
補助とします。後手は飛車を2筋に回しますが、先手は歩を伸ばしながら金銀が
前進。後手の駒を追い詰めます。後手は香車が上がって飛車がその裏に回り、1筋
からの攻めを見せます。

先手が銀を追い詰めたので、後手は角を2四に回して守りの態勢。そこで先手も
角を6八に引いて合わせます。銀取りからの攻めが避けられないと見た後手は
銀が欲しければどうぞと、4八に歩を垂らしてと金作りに出ます。このと金に
構うと銀が取れません。ということで、先手は銀取りは諦めてと金阻止を
優先しました。

ならばこちらから、と後手が銀先に歩を突きます。先手は角筋を再度通して
迎えます。後手は今は攻め合うときではないと判断。歩の交換と打ち込んだ
歩の成り捨てで先手の守り陣を乱した後、直接にらみ合う形の角を引いて
戦いを避けます。

先手は上がった金は戻せないので、せめて銀だけでも元の位置に戻します。
後手は角を3三に移動、5五の歩を狙うと、先手も角を7七に上げて守ります。
先手のうわずった金を目当てに後手が歩を貼り付けると、これはやむを得ず
金銀交換に。先手玉の周囲が危うい形となりました。

先手は8筋に回った後手の飛車の横利きを遮って金が上がり、金角交換に。
後手は飛車が回って先手玉正面を狙う位置に。これに奪ったばかりの角を当てて
馬を作ります。なおも先手玉頭の頭の丸い桂馬を狙う後手。先手の飛車が
聞いているとは言え、一気に攻められると怖い。この地点での戦いは想定済みの
先手もノータイムで受けます。

馬を作り、飛車頭に歩を貼って飛車の参加を遮る先手。さらにもう1枚の角も
使えるように道を開きます。後手は歩が使えるように歩のタダ捨てを狙いますが
それは勘弁ならず、駒が手に入るまでの我慢で、もう1枚の角成りで飛車を
封じ込めます。
逃げた飛車当てと見せかけて1五の香車を取る先手。

先手玉の頭に金を2枚並べる後手中村真梨花ですが、持ち駒が歩1枚なので
有効な手が見つかりません。後手藤井奈々は後手の攻めが切れるのをじっくり
待つ作戦のようです。
この金除去に、敵の打ちたいところに歩を打つ先手。駒の精算はやむなし。
金銀交換で先手玉の脅威が減りました。

後手は飛車切りを狙って飛車を回します。ここでもしっかり受ける先手。
にもかまわずの飛車切り。奪った銀をすぐに打ち込む後手ですが、ぎりぎり
先手はかわします。なおかつ全持ち駒攻め駒を使って攻める後手ですが、
先手玉は大駒を渡さない限り安全な場所に逃げ込めたようで、ここから
先手の反撃が開始されました。

ついに後手玉に詰めろがかけられ、後手中村真梨花はとりあえず、持ち駒
すべてを使って攻めを続けますが、ぎりぎり先手玉は逃げ切ります。
なのでしかたなく守りに駒を使いますが、先手藤井奈々は詰めろの継続。
攻め駒である飛車も切って逃げようとする後手玉ですが、金さえ渡さずに
攻めて行けば良い先手は2枚飛車での攻めを見せます。

駒を得た後手も再度の先手玉への詰めろ。これをぎりぎりしのぐ先手。
後手玉が一手隙なので先手も余裕がありません。逆に後手は逃げ道を開いて
次に詰めろがかからない形を作り上げました。

それでもなお豊富な持ち駒を生かして守り切ろうとする先手藤井奈々。
後手中村真梨花は使えない歩しか持ち駒がなく、守り切られてはじっくりと
手を進める以外に方法はなく、これが先手の攻めを間に合わせてしまいます。

受けで金取りで飛んだ桂馬が後手逃げ道を抑えるのに役立ち、後手の逃げ道が
狭くなったところでの先手からの詰めろ。必死に粘る後手ですが、逃げ道さえ
押さえてしまい、なおかつ先手玉への寄せがなくなったとあっては時間の問題。
終始冷静に立ち振る舞った先手が藤井ブームに乗っかるかのように、
試合巧者中村真梨花を切って落としました。


【第10期リコー杯女流王座戦本戦】女流王座:里見 香奈

藤井 奈々 ○  ● 中村真梨花   229手

伊藤 沙恵女流三段-------+
             +-   -+
室谷 由紀女流三段-------+     |
                  +-   -+
中村真梨花女流三段-------+     |    |
             +-藤井 -+    |
藤井 奈々女流初段-------+         |
                      +-   -+
中村 桃子女流初段-------+         |    |
             +-   -+     |    |
甲斐 智美女流五段-------+     |     |    |
                  +-   -+    |
山口恵梨子女流二段-------+     |         |
             +-   -+         |
加藤 桃子女流三段-------+              |
                            +-
岩根 忍 女流三段-------+              |
             +-   -+         |
水町 みゆ女流初段-------+     |         |
                  +-   -+    |
上田 初美女流四段-------+     |    |    |
             +-   -+    |    |
山根ことみ女流二段-------+         |    |
                      +-   -+
石本さくら女流初段-------+         |
             +-   -+     |
鈴木 環那女流二段-------+     |     |
                  +-   -+
中澤 沙耶女流初段-------+     |
             +-   -+
里見 香奈女流四冠-------+


÷  丹善人  ÷