挑戦者上田初美が１勝を返し、里見香奈淸麗の２勝１敗で迎えた、ヒューリック杯
淸麗戦五番勝負第４局が行われ、１５３手で先手の上田初美が勝ち、２勝２敗の
五分として決着を最終局に持ち越しました。
先手上田初美居飛車の出だしに、後手里見香奈は伝家の宝刀ゴキゲン中飛車に出ます。
先手は超速銀。後手も銀対抗で迎え、先手が金無双からツノツノ銀とすると、後手は
美濃に組んでいきます。先手は桂馬を上げて角に当て、後手の角が下がります。
そこで先手は２筋で歩の交換。横歩取りを防ぐために後手は桂馬を上げて桂交換。
飛車を１段目まで下げ、さらに３九に回します。
後手は２三に歩を張り、角が２四に。
ここで後手は４筋の歩を突き捨て、両銀当たりの桂馬の割り打ち。素直に桂銀交換と
なり、すかさず、７七に上がった角狙いに銀を貼ります。これは避けられず、上がった
銀に先手は角を８六へ、歩を挟んで後手は角を４二で受けます。銀当たりに桂馬を
打つと、後手は銀を下げて角当たりに。角が下がったので、後手は歩を伸ばして
角筋を通します。
先手は３筋飛車先の歩を突き捨て、銀が上がったので、５筋の歩を伸ばしていきます。
後手は角を７五に飛び出させますが、先手は歩を貼って角を８四に下げさせ、さらに
桂馬を貼って角道を遮ります。後手も５五歩として先手の角道を消し、邪魔な歩を
飛車で取り去ります。先手は角の利きを生かせて飛車先を歩で止め、飛車は横移動。
２筋に伸ばしてきた後手の銀を迎えに先手の飛車が２筋に寄りますが、これを歩で
守ります。
今度は４筋に飛車を移動。４筋での歩の交換から飛車が向かい合って交換。上がった
金取りに先手は飛車を後手陣に打ち込みますが、後手も金の守りに飛車を先手陣に
打ち込みます。先手は玉の逃げ道を広げるために８五歩と、後手角頭の銀先に歩を
伸ばしますが、ここで後手は銀を逃げずに、桂馬の利いている先手角頭に移動。
桂馬を支えていた歩が無くなったので、角が移動して桂馬を取ります。
お互い守り駒を足して飛車を遠ざけます。後手は角の後ろに香車を貼り、香車を引いて
桂馬取りからその後ろの角取りを狙いますが、先手は取られそうな桂馬を飛ばして
攻めに利用。結果角を差し出すことにはなりますが、玉の守りは堅く、簡単には
先手玉は攻められません。
先手は飛ばした桂馬で銀取りには成りますが、すぐには取らず、龍が寄って角
当たりに。後手は角が逃げるとともに攻めの筋に入れ、もう１枚角貼りで先手の
守り陣を崩しにかかります。先手は角筋を止め、９筋の歩を伸ばして後手玉の
逃げ道封鎖を図ります。
後手里見香奈は金取りに貼った桂馬が飛び出しますが、先手上田初美は玉で取り、
入玉を視野に入れます。そうはさせじと玉の筋に角を移動。これを歩成りで攻める
先手。かまわずに玉正面から金を貼って逃がさないように抑える後手。角は取られ
ますが、もう１枚の角の利きを生かして後手は金が玉正面に攻め込み、上部を押さえ
ます。
後手は５六角成りで次に玉下に攻め込む形を作りますが、これを角貼りで受ける
先手。後手は馬が先手玉正面を狙う位置に移動させ、先手の攻めの要である龍を
移動させて、邪魔な桂馬を払います。しかし先手は後手の弱点である玉正面に
狙いを付けて、香車・桂馬と駒を足します。
両者まったく互角のままの終盤戦。どちらが優勢かまったく判断がつきません。
後手は守りにも利かせていた金が上がって先手玉への攻めに参加させますが、
このタイミングで先手も攻撃開始。桂馬成りの王手から攻めて行きます。
続けて先手上田初美はついに金取りの龍切りを決行。さらに後手玉頭に香車切りで
持ち駒に金銀３枚を手に入れての角成りでの詰めろ。後手里見香奈は先手玉への
直接の寄せの手がなく、受ける手もなく。無念の投了となり、熱戦に幕を下ろし、
決着を最終局に持ち越しました。
【第２期ヒューリック杯清麗戦五番勝負】清麗:里見 香奈
上田 初美 ○ ● 里見 香奈
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| | 氏 名 | 第１局 | 第２局 | 第３局 | 第４局 | 第５局 |
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|清麗 |里見 香奈女流四冠| 先○ | ○ | 先● | ● | |
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|挑戦者|上田 初美女流四段| ● | 先● | ○ | 先○ | |
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| | |１０１手|１１０手|１７４手|１５３手| 手|
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第１局 ７月 ４日（土） 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
第２局 ７月１０日（金） 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
第３局 ７月３１日（金） 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
第４局 ８月 ６日（木） 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
第５局 ８月１８日（火） 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
÷ 丹善人 ÷