リコー杯女流王座戦本戦2回戦 藤井奈々VS伊藤沙恵の対局は、134手で後手の
伊藤沙恵が勝ち、ベスト4に進出しました。
先手藤井奈々、石田流3間飛車に、後手伊藤沙恵は向かい飛車の出だし。
後手は角を4四に上げ、3三桂馬と跳ねて早くも2筋からの攻めを目指します。
先手は玉を4八に置いて、右に金銀を並べて後手の攻めを受けます。逆に先手は
前に出ている角の狙っての歩の突きだし。角を筋から離して、先手角を使おうという
狙いでしょう。
後手はここで2筋の歩の交換。先手は傷を消しますが、後手は1筋の歩の突き捨てから
桂馬が上がっての端攻撃。ここで先手は角頭に歩を突きます。角が下がったので、
先手は角道を開け、後手が1七歩と垂れ歩とするのに、7六飛と上がって、端を
逆利用しようと狙います。先手玉は4八のままなので、端攻撃にはそれほど影響は
ありません。
後手は素通しになっている先手の角道を止める3三銀。ここで先手は目障りな1七の
歩を消去に、桂馬交換に。先手が金を上げたところで、飛車の横利きがなくなった
のをとがめようと、後手は再度の桂馬打ち。桂香交換となり、先手からの端の逆襲は
なくなりました。
後手は銀を繰り出して攻めかかります。後手は金銀3枚で2筋を守ります。
後手は歩の突き捨てで先手の金1枚をうわずらせますが、先手は手に乗って金を
前進。桂馬が上がって角銀両当たりの筋を狙います。後手は飛車を5筋に回して、
これを受けながら中からの攻めも視野に入れます。
先手の駒がすべて上に上がった隙を狙って、後手はいきなりの1八歩の打ち込み。
これは盲点だったか。銀1枚をこの処理に下げることとなり、1枚守り駒が抜けた
ところで、3筋で歩の取り込み。4筋の桂馬先に香車を貼られてうかつに駒を
動かせない先手は、銀を戻して受けます。後手は再度歩の打ち込み。先手は
香車を釣り上げて桂香交換をせかします。
後手伊藤沙恵は歩を相手にしてもらえないのなら、と成り込みますが、後手藤井奈々は
これを放置して攻めの駒を足していきます。後手も交換した桂馬貼りで先手の守り陣を乱します。とうとう先手は銀1枚の守りとなり、と金が近くに脅かします。後手はさらに
と金作りに歩の打ち込み。しかし先手はこれも放置で銀取りに金が突入しました。
と金を作った後手に先手はひたすら玉を逃がし、攻め駒を増やして攻撃に専念。対する
後手は角を飛び出させて攻めに参加。この角を攻めようと銀貼りの先手ですが、
後手は桂馬を支えにその銀と玉の両当たりの金打ち。後手は金は動かさずに角切りで
持ち駒を増やし、攻撃はと金で攻めて行きます。
後手はさらに金銀交換で持ち駒を増やし、5筋の歩を伸ばして飛車も攻めに参加
させようとします。先手は離れ駒となった金を中央に移動して飛車先を押さえようと
します。かまわず歩を伸ばして攻めようとする後手に、先手は狙いの香車貼りで
飛車先を押さえようとしますが、後手はあっさりと飛車切り。取った角に今度は
逆に交換したばかりの香車を貼り付けて攻め駒を増やします。
これは防ぎようがなく、玉頭を攻める歩を取り去るのが精一杯。角が奪われて、
後手は王手飛車の角打ちが生じました。
取るなら取れと、角の打ち込みがあるのを承知で、先手藤井奈々は後手玉を攻める
金の打ち込み。ならば遠慮無くと、後手伊藤沙恵は王手飛車の角打ち。
先手も飛車を持っているので、王手で飛車を打ち込みますが、これは攻め駒が
足りない。銀を奪って詰めろをかけたところで手を渡します。
修羅場をいくつも経験している伊藤沙恵はここで確実な寄せを見せ、一気に藤井玉を
攻めきりました。
【第10期リコー杯女流王座戦本戦】女流王座:西山 朋佳
藤井 奈々 ● ○ 伊藤 沙恵 134手
伊藤 沙恵女流三段-------+
+-伊藤 -+
室谷 由紀女流三段-------+ |
+-伊藤 -+
中村真梨花女流三段-------+ | |
+-藤井 -+ |
藤井 奈々女流初段-------+ |
+- -+
中村 桃子女流初段-------+ | |
+-甲斐 -+ | |
甲斐 智美女流五段-------+ | | |
+-加藤桃-+ |
山口恵梨子女流二段-------+ | |
+-加藤桃-+ |
加藤 桃子女流三段-------+ |
+-
岩根 忍 女流三段-------+ |
+-岩根 -+ |
水町 みゆ女流初段-------+ | |
+-山根 -+ |
上田 初美女流四段-------+ | | |
+-山根 -+ | |
山根ことみ女流二段-------+ | |
+- -+
石本さくら女流初段-------+ |
+-鈴木 -+ |
鈴木 環那女流二段-------+ | |
+- -+
中澤 沙耶女流初段-------+ |
+-里見香-+
里見 香奈女流四冠-------+
÷ 丹善人 ÷