決着が最終局までもつれこんだ第２期淸麗戦五番勝負最終局は、１４６手で後手の
里見香奈が勝ち、３勝２敗で防衛に成功しました。
改めて振り駒となり先手を得た上田初美は、居飛車の出だし。後手里見香奈は
伝家の宝刀ゴキゲン中飛車。先手はこれに対し超速銀で迎えます。後手も銀対抗。
後手が美濃に組むと、先手は銀２枚が上部に上がり中央を受けます。
先手は２筋の歩を突き捨て、３三の角目当てに桂馬が飛び出します。角が２二に
下がったので、２筋の歩の交換から先手は飛車を下段に下げます。
ここで陣形を整え、先手は金無双に。後手は飛車を１段目に下げます。
先手は再度２筋の歩の交換。とてが桂馬を上げたところで桂交換。先手は飛車を
下げて３筋に移動します。いったん3筋の歩を突き捨てを入れた後、９筋で歩の
突き捨てから９四に歩の垂らし。後手は９六と歩を伸ばします。
９筋はこのままに、先手は３五銀と銀をぶつけて交換。飛車が上がったところで、
後手は９筋の攻めの続き。桂馬を貼って伸ばした歩を支えます。左に飛べば角金
両当たりになるので、先手は取ったばかりの銀で受けます。
右と思えば左。後手は今度は先手の飛車を抑えようと、角上がり。さらに銀打ちで
飛車を下段に追い返すと、５筋に回している飛車先の歩を突いて攻めようと。
その前に飛車先を歩で止めておきます。
このままでは後手の飛車に３筋に回られることもあるので、先手はとりあえず
３筋を止めておくことに。飛車が回る手も考えられましたが、後手は中央から飛車を
使うことを決めました。対する先手も９筋からの攻めを選択。桂馬を貼って攻めようと
します。上田初美得意の駒柱が完成しました。
後手は先手飛車を釣り上げ、相手いる２筋に回るのかと思われましたが、単純に６六の
銀を攻め、銀が上がれば角切りから王手飛車がかかります。先手は後手飛車先に歩を
張り、ここでも飛車回りが予想されていましたが、後手は飛車を下げることに。
銀を引かせてから攻めようという所らしい。
しかしそれでは勝ち目が無いと判断した後手は９筋からの攻めを決行しました。
歩成りから上がった桂馬の頭に桂馬が飛んで後手玉は８一に追い詰められましたが、
持ち駒がない先手上田初美は銀頭にあった桂馬を奪い、さらに取られそうな銀が
前進して角当たりに。しかし後手里見香奈は銀を飛車で取り、もう１枚貼られていた
桂馬もこの日者で取って、９筋からの攻めを見せます。
角を奪った先手ですが、後一歩が足りない。何とか飛車を戦いに参加させたい所
ですが、後手が必死に守ります。ならばと歩成りで金を釣り上げての角の打ち込みから
馬を作り、逃げ場所のない後手玉に迫ります。後手も９筋に歩を成り込ませ、香車を
釣り上げて端から崩していこうとします。
後手は一気の攻めの前に、自玉にプレッシャーをかける馬をとりあえず追い払う
ことに。先手は７五の攻防の位置に馬を引きます。
後手はさっそく９六歩と打っての攻めに、先手は８六桂と飛車取りに出ます。飛車が
一つ上がった隙間に歩を貼って攻めの継続を図る先手。馬が９三に利いているので
先手の攻めが続きそうです。
やむを得ず、後手は桂馬取りの後、飛車と馬の交換。取られかけた桂馬が飛んで
先手玉を追い詰めようとするところ。どちらが早く相手の玉を追い落とすかの
時間差勝負となりました。
後手は端に利かせている香車を取り去る桂成りで脅威が減ります。先手は歩成りで
香車を釣り上げますが、持ち駒に飛車しか無く、攻めの継続を図るには困難な状況。
とうとう決着の時を迎えたようです。
後手は一気の寄せはまだ無理と判断。守りに７一角と合わせて、角交換なら逃げ道が
広がりますが、先手は角を守りに利かせるために１一角成りとして香車を拾います。
貼った角が逃げ道封鎖にもなっており、先手としてはそれでも十分かと。
後手は先手玉正面からの香車貼りで先手の守り駒の連携を切ろうという所。後手は
銀２枚と桂馬２枚をうまく使って攻めたいところ。まずは金狙いの桂馬貼り。この隙に
先手は歩成りで寄せきろうとします。そこは同角で払いますが、先手は角裏に歩を
貼って詰めろを掛けました。逃げるしかない後手玉。逃げ道封鎖の香車貼りの先手。
どちらが勝ってもおかしくない終盤となりました。
攻防に利いている馬が戻ってくるのが怖い後手里見香奈は馬を止める３三香車打ち。
先手上田初美はならばと先ほど貼った香車で金を取ります。銀で取った後手に
お代わりの香車貼り。馬の利きが止まったので、後手は金取りの桂馬成り。これは玉で
取るしかありません。後手もお代わりの桂馬貼り。先手玉もいよいよ追い詰められて
来ました。
先手の攻めの要の香車取りに角が飛び出しました。先手は銀取りで香成りとし、
飛車の打ち込みで合駒を使わせて、先手玉への詰めろを消します。さらに先手は中段に
玉の逃げ道を塞いでいる銀を取りますが、後手への攻撃は少し遅れることに。
後手は香車の利きを生かして歩成りで飛車を取るか、先手玉への挟撃態勢を築き
ますが、ここで先手は覚悟の香車取りの馬切り。しかしと金を残していては玉は
守り切れず、挟撃態勢を生かして後手がついに先手玉を寄り切り、熱戦に終止符が
打たれました。
【第２期ヒューリック杯清麗戦五番勝負】清麗:里見 香奈
上田 初美 ● ○ 里見 香奈
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| | 氏 名 | 第１局 | 第２局 | 第３局 | 第４局 | 第５局 |
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|清麗 |里見 香奈女流四冠| 先○ | ○ | 先● | ● | ○ |
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|挑戦者|上田 初美女流四段| ● | 先● | ○ | 先○ | 先● |
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| | |１０１手|１１０手|１７４手|１５３手|１４６手|
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３勝２敗で里見香奈淸麗の初防衛！
第１局 ７月 ４日（土） 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
第２局 ７月１０日（金） 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
第３局 ７月３１日（金） 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
第４局 ８月 ６日（木） 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
第５局 ８月１８日（火） 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
÷ 丹善人 ÷