本戦入り３人目をかけて、淸麗戦敗者戦７回戦 伊藤沙恵VS里見香奈が行われ、
１１４手で後手の里見香奈が勝ってベスト４入りしました。
事実上初代淸麗を争う決勝戦とも思えるカードとなったこの対局。全冠制覇を目指す
里見香奈としてはぜひとも譲れないタイトルであり、また伊藤沙恵にとっても念願の
初タイトルを得るには絶対倒さなければならない相手である、因縁の対決言える
でしょう。
先手伊藤沙恵、居飛車の出だしに、後手里見香奈は今回は向かい飛車に出ます。
後手は美濃に組み、先手は銀冠穴熊に組もうという所、お互いの角がにらみ合った
ところで穴熊完成前に先に先手から角交換。先手は先に攻めの態勢を決めてから
穴熊の蓋を閉めます。対する後手は１段目を開ける「木村美濃」と呼ばれる形に
組み替え、地下鉄飛車が可能にします。
先手は２筋の飛車の補強に桂馬を上げますが、後手はその桂馬を狙っての角貼り。
飛車を上げて桂馬を守る先手に、後手は角を５五まで上げ、先後両者共に桂馬頭に
歩を突きだし、桂馬交換。そのまま先手はと金で金取りに出ると、後手はと金で
飛車を奪います。駒損となった先手は角を追い払うために銀上がりとしますが、
後手はここで角切り。守り十分の後手に対して先手陣が薄くなってしまいました。
後手里見香奈は穴熊攻略と銀取りに飛車を打ち込みます。対する先手伊藤沙恵は
銀は放置（取られても飛車の位置がずれるのでまだ怖くない）して、桂馬打ちで
後手陣を崩そうとします。両者我が道を行くで、後手は銀取りに。先手は銀取りで
同金とした後手は玉の守りが薄くなりました。
先手手は２枚の角を次々と打って後手玉を追い詰めます。後手は使えていない飛車を
玉側に寄せてぎりぎりの守りに。攻めの駒を守りに使ったので先手はじっくりとした
攻めに切り替えます。後手はただただ先手の攻め駒の排除を狙いますが、先手は自玉の
安全があるので、相手の駒を奪いながらの攻めの継続を狙います。
後手は龍狙いの馬を一旦遠ざけて、再び先手陣に龍を侵入。ならば攻めの継続に先手が
馬を動かしたところで駒の精算。角金交換で脅威を減らした状況では後手玉への寄りが
なくなり、代わって先手玉に寄り筋が生じてきました。
中盤優勢に進めてきた先手伊藤沙恵でしたが、またして受け師の異名を持つ伊藤の上を
行く完璧な里見香奈の受けの前に、終盤攻めきれないままに後退。着実に先手玉を
追い詰める手を残しつつ守り続けてきた後手についに手が回ってきました。
しっかり読み切った里見の前では何も出来ないまま、決着がついてしまいました。
【第１期ヒューリック杯清麗戦】清麗:未定
本戦進出者
全勝通過者：中村真梨花女流三段
１敗通過者：賴本 菜奈女流初段、 、里見 香奈女流四冠
【敗者戦７回戦】勝者は本戦入り。敗者は予選敗退
伊藤 沙恵 ● ○ 里見 香奈 １１４手
賴本 菜奈女流初段---+
(１回戦敗者) +-賴本 菜奈女流初段
中澤 沙耶女流初段---+
(６回戦敗者)
脇田菜々子女流１級---+
(２回戦敗者) +-
甲斐 智美女流五段---+
(５回戦敗者)
伊藤 沙恵女流三段---+
(３回戦敗者) +-里見 香奈女流四冠
里見 香奈女流四冠---+
(４回戦敗者)
÷ 丹善人 ÷