ヒューリック杯淸麗戦本戦入りをかける最後の一枠、敗者戦７回戦甲斐智美VS脇田菜々子の
対局は、８７手で先手の甲斐智美が勝ち、本戦入りを決めました。
これで本戦出場者は、全勝枠が中村真梨花、１敗敗者枠が賴本菜奈、甲斐智美、
里見香奈の計４名と決まりました。
先手甲斐智美、一見ゴキゲン中飛車を思わせる出だしに、後手脇田菜々子は飛車先を
伸ばしたので、先手は５五の位を取った後、銀を伸ばして支え、結果として向かい飛車に
なりました。
その後囲いに入り、先手は美濃、後手はイビ穴に。
穴熊のハッチが閉まる前に先手は８筋の歩をぶつけ、飛車交換を要求しますが、後手は
これを拒否。ならばと角を７六に上げ、歩を貼って８筋を制圧しようという構えに。
のんびりできない後手は穴熊は後回しに、５筋の歩を交換して銀が上がり、角を脅かそうと
出ていきます。
歩を突いて先手の角銀を追い返したい後手でしたが、先手はするりと角銀共に前進。
狙いは肩透かしを食らっています。銀交換はやむを得ないところ。先手はかわって
桂馬が直進。飛車が動けば先手の飛車が突入するのが目に見えています。
先手の桂なりを生かしての角成りは仕方がないと判断して、後手は５筋でのと金作りを
目指します。
お互いの主張が通り、先手は桂金交換から角成り。後手はと金を作り、歩で守られると
いったん引きます。
先手は馬を支えに後手陣をつぶしにかかりますが、銀打ちに交換はせずに馬当たりの
銀打ち。いったん金銀交換となりますが、先手は飛車当たりに歩を打ち、釣り上げて
からのと金取りを狙います。後手はその誘いには乗らず、あっさり馬飛車交換を選択。
先手は金と飛車の打ち込みで一気につぶす狙いですが、後手は銀打ちでの補強で
ようやく穴熊にハッチができました。
後手は２枚の角の使い道が要。飛車当たりに角を打ち、さらに角道を通して、
元からある飛車当たりとしますが、先手はこれを放置。角当たりの桂馬打ちで
催促し、角飛車交換に。後手は穴熊の堅さに頼って攻めの態勢を築きます。
いよいよ終盤戦。先手甲斐智美は穴熊潰しに桂馬を支えに露骨に香車打ち。同桂、
同桂成の局面は先手優勢。守りにも利いている後手角をどうするかが先手の課題
でしょう。まだ後手玉が詰めろにはなっていないと踏んだ後手脇田菜々子は成桂を
放置して攻めの手を選択。しかしそれでも先手玉は詰めろにはなっていない様子。
先手は詰めろを掛けながら、ぎりぎり守りに利かしている後手角を動かす手に。
さすがに守り切れなくなった後手がここで投了。脇田菜々子は今期初黒星。勝てば
女流初段に昇段という一局でしたが、またの機会に持ち越しとなりました。
【第１期ヒューリック杯清麗戦】清麗:未定
本戦進出者
全勝通過者：中村真梨花女流三段
１敗通過者：賴本 菜奈女流初段、甲斐 智美女流五段、里見 香奈女流四冠
【敗者戦７回戦】勝者は本戦入り。敗者は予選敗退
甲斐 智美 ○ ● 脇田菜々子 ８７手
賴本 菜奈女流初段---+
(１回戦敗者) +-賴本 菜奈女流初段
中澤 沙耶女流初段---+
(６回戦敗者)
脇田菜々子女流１級---+
(２回戦敗者) +-甲斐 智美女流五段
甲斐 智美女流五段---+
(５回戦敗者)
伊藤 沙恵女流三段---+
(３回戦敗者) +-里見 香奈女流四冠
里見 香奈女流四冠---+
(４回戦敗者)
÷ 丹善人 ÷