大山名人杯倉敷藤花戦挑戦者決定戦が加藤結李愛VS伊藤沙恵で行われ、９８手で
後手の伊藤沙恵が勝ち、里見香奈倉敷藤花への挑戦をようやく決めました。

今期倉敷藤花戦開幕時には女流２級だった加藤結李愛は、この倉敷藤花戦で
女流１級、女流初段と駆け上り、これに勝てば女流二段に昇段となります。
まさにシンデレラストーリーを歩もうという所。
対する伊藤沙恵も、今期挑戦者決定戦進出は３度目。２回とも西山朋佳に
挑戦権獲得を阻まれるという悔しい思いをしてきているだけに、今回は
新人相手に負けられない一戦となっています。

先手加藤結李愛、後手伊藤沙恵、相居飛車の出だし。駒がぶつかる前にお互い
陣形の整備に入り、先手は角を引いて２四の地点を狙うと、後手は飛車先は
開けずに、先に角を３三から５一へと展開させます。
先手は２筋は突かずに、先に３筋をついて歩の交換。後手が銀で応酬するのに
合わせて先手も銀を押し出します。

後手はうるさい先手の銀を歩を貼って追い返し、角を７七に持ってきて飛車の
こびんを焦点にします。間にある４六の歩をこじ開けようという後手ですが、
先手は５五の歩を突いて阻止。さらに左銀を上げて後手角を目標にします。

後手が４六の歩を取り、これを角で撮って飛車を守ると、後手は銀を繰り出して
角頭を襲いますが、先手も逆襲で銀が後手角頭を襲います。お互い冷静に
角を逃がしますが、形成的には後手が前進、先手が押されている印象です。

後手はとにかく飛車のこびんをこじ開けようとします。飛車を動かしたくない
先手は４筋に歩を貼って銀交換から角の紐付きで歩を上げます。後手が４筋を
攻める間に先手は飛砂の活用を目指して、２筋の歩を突いて桂頭２二に歩を
貼りますが、これを逆手に後手は桂馬を飛ばして戦線に繰り出します。
と金を作った先手ですが、後手は５六に伸ばした歩を支えに桂馬が入ろうという
構え。これは防ぎきれません。

結局先手は玉の早逃げを目指しますが、これがまともに王手飛車の筋に入って
しまい、飛車を取られて万事休す。思いも寄らずに一方的な展開になって
しまいました。
こうなると数々の難敵と戦ってきた後手伊藤沙恵の攻めに隙は無く、じっくりと
攻めて行くのみ。まだまだ経験不足の先手加藤結李愛にとっては勉強となる
一局となりました。


【第２７期倉敷藤花戦】倉敷藤花:里見　香奈

ベスト１６以降

加藤結李愛　●　　○　伊藤　沙恵　　９８手

中村真梨花女流三段-------+
　　　　　　　　　　　　 +-上田　-+
上田　初美女流四段-------+　　　  |
　　　　　　　　　　　　　　　　  +-上田　-+
水町　みゆ女流１級-------+　　　  |　　　　|
　　　　　　　　　　　　 +-中村桃-+　　　　|
中村　桃子女流初段-------+　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 +-伊藤　-+
鈴木　環那女流二段-------+　　　　　　　　 |　　　　|
　　　　　　　　　　　　 +-伊藤　-+　　　  |　　　　|
伊藤　沙恵女流三段-------+　　　  |　　　  |　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　  +-伊藤　-+　　　　|
甲斐　智美女流五段-------+　　　  |　　　 　　　　　|
　　　　　　　　　　　　 +-長谷川-+　　　 　　　　　|
長谷川優貴女流二段-------+　　　　　　 　 　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 +-伊藤　沙恵女流三段
谷口　由紀女流二段-------+　　　　　　 　 　　　　　|
　　　　　　　　　　　　 +-谷口　-+　　　 　　　　　|
宮宗　紫野女流二段-------+　　　  |　　　 　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　  +-谷口　-+　　　　|
渡部　愛　女流三段-------+　　　  |　　　　|　　　　|
　　　　　　　　　　　　 +-中井　-+　　　　|　　　　|
中井　広恵女流六段-------+　　　　　　　　 |　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 +-加藤結-+
井道　千尋女流二段-------+　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　 +-井道　-+　　　  |
里見　咲紀女流初段-------+　　　  |　　　  |
　　　　　　　　　　　　　　　　  +-加藤結-+
加藤結李愛女流初段-------+　　　  |
　　　　　　　　　　　　 +-加藤結-+
香川　愛生女流三段-------+


÷  丹善人  ÷