[リストへもどる]
一括表示
タイトル女流王座戦五番勝負第2局
記事No935
投稿日: 2019/11/14(Thu) 17:52
投稿者丹善人
挑戦者西山朋佳が先勝した、リコー杯女流王座戦五番勝負第2局は、133手で
先手の里見香奈が1勝を返し、成績を1勝1敗のタイに戻しました。

西山朋佳にタイトル戦連敗を続けていてこれ以上負けられない先手里見香奈、
イビ穴の出だしに、これに勝って女流三冠を狙い、この女流王座戦でも先勝した
後手西山朋佳は三間飛車美濃に組みます。

先手は銀を中央に上げ、角を8六に上げました。後手は銀を6四に上げて中央を
守り、5五の歩を突いて先手銀を追い返すと角を3三から5一に下げて飛車を
使えるようにします。さらに3筋の歩の交換から角を先手角に合わせる4二に
上げて、銀を使いやすくします。

先手が4筋の歩を突くと、後手は飛車を上げて4四に伸びた歩を取ります。
先手は4六の銀を守りに飛車が4筋に移動。飛車角とも両者にらみ合う形と
なりました。

後手が銀の通り道を開いて角に当てると、先手は3七に上がった桂馬を支えに
4四の飛車当てに銀を伸ばしますが、後手は大駒交換を選択。しかし角を取った
銀を残すわけにはいかず、結果的に角銀交換に。後手は飛車を引いて先手の要求は
空振りに。後手が駒得をした形となりました。

しかし先手は交換した銀をただちに飛車当てに打ち込んで、飛車が動いた瞬間に
飛車先の銀が動いて飛車が素通しに。直接狙われた角が逃げると、ここが攻め所と
銀捨てから飛車が成り込みます。金銀3枚で守り抜こうとする後手。
先手は前に進んできた後手の角を抑えて穴熊を固くしようとしますが、後手は
飛車も前進。攻略の糸口をつかもうとします。

先手は駒を足しての攻め。後手も角を守りに足しますが、その角を狙っての桂馬打ちは
攻めにも効果的。よける後手に先手は攻めの継続。駒交換で動いた角取りに銀打ちで
銀角交換。後手は先手の飛車が桂馬取りで成った竜の筋を角の利きを生かして歩で
止めますが、先手はこの角道を止めながら交換を狙う角打ち。後手は交換阻止で
角当ての銀打ちと、互いに一歩も譲りません。

銀打ちが結果的に角の利きを止めたので、先手は安心して龍を遮る歩を角で取って
離れ駒となっている後手守りの金を狙います。当然後手はこの金を動かして守りを
固めます。先手の穴熊は手付かず。対して後手陣には先手の龍馬が狙いを定め、
崩壊まもなくという状態に追い込まれました。

馬が寄せに来るのを阻止しようと金貼りで受ける後手でしたが、それを予測したのか
先手は角切りから駒の交換で後手玉の守りの金銀をはがし、桂馬が飛んで王手。
逃げる玉に、先手は飛砂か九両当たりの位置に龍を引き、飛車が逃げる間に角を
奪って後手玉に迫ります。

銀で支える後手西山朋佳に先手里見香奈は飛車切りで応手。持てる駒を貼りまくって
後手玉を追い詰めます。後手も駒を貼って防戦しますが、玉近くでの攻防は圧倒的に
攻めが有利。詰めろ飛車取りの手が決まって、巧者里見香奈の前にさしもの西山朋佳も
投了を余儀なくされました。


【第9期リコー杯女流王座戦五番勝負】女流王座:里見 香奈

里見 香奈 ○  ● 西山 朋佳

+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    | 氏  名 | 第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 |
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|女流王座| 里見 香奈 |  ●  | 先○ |    |  先  |    |
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者 | 西山 朋佳 | 先○ |  ●  |  先  |    |    |
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    |      |135手|133手|   手|   手|   手|
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+

第1局 10月30日(水) 高知県 高知市 「ザ クラウンパレス新阪急高知」
第2局 11月14日(木) 岐阜県 岐阜市 「十八楼」
第3局 11月27日(水) 福島県 郡山市 「郡山ビューホテルアネックス」
第4局 12月 4日(水) 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
第5局 12月17日(火) 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」


÷  丹善人  ÷