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タイトル女流王座戦五番勝負第3局
記事No951
投稿日: 2019/11/27(Wed) 17:03
投稿者丹善人
1勝1敗のタイで迎えたリコー杯女流王座戦五番勝負第3局は、105手で先手の
西山朋佳が勝ちタイトル奪取に王手をかけました。

三冠目を狙う先手西山朋佳、初手5六歩の先手番ゴキゲン中飛車宣言。絶対王者
ながら、唯一西山には相性が悪く負け越している後手女流王座里見香奈は居飛車
宣言。先手は美濃に、後手は銀冠に組みました。

駒組みを進めてから後手はおもむろに銀を上げてゴキゲンに対抗してきます。
それより先に先手は中央から銀を上げ、互いの銀が6筋で向かい合いました。
後手は飛車を7筋に回して先手角頭を狙い目に付けました。
先手は玉の守りを金1枚に任せ、2枚の銀が上に上がっていきます。後手も
合わせて2枚の銀を上げます。

後手が角を1三に回すと、先手も対抗して6八に角を下げます。40手目にして
初めて8筋で駒がぶつかりました。続けて7筋でも歩を突きだし、飛車が前に
出ようとするところ、先手は守りに金を回します。

先手は7筋は後回しに1三の角をいじめに端歩を突き、7筋での歩の交換の後、1筋の
歩を伸ばします。角が逃げて、歩を香車で取らせてからの歩の打ち込みに、後手は
玉を回して受けます。先手は玉の守りの最後の金まで前に出して端攻めを狙います。
後手は桂銀交換で奪った桂馬でこの金を狙います。

先手は金を引いてじっと我慢。逆にこの桂馬を狙います。
後手は目障りな銀を下げさせ、使っていない桂馬を上げて攻めの活用を図ります。
先手はこれには構わずに攻撃を優先。左の銀を右に移動させて攻めを狙うと、
後手は金を上げて守りを固めますが、もう1枚銀を投入して数で勝負。後手は
もう相手には出来ないと、桂馬を上げて飛車道を開けます。

両者ともこうなれば我が道を行くしかないのか。先手西山朋佳は銀上がりで玉頭に
いる角の前に銀を上げます。対する後手里見香奈は桂銀交換から奪った銀を、先手玉の
前にある唯一の守り駒の金頭に打ち付けます。これは交換するしか手がない。先手玉は
裸に追い込まれました。

ぎりぎり歩を貼って耐えきる先手に、後手はついに飛車切りで駒を得て勝負に出ます。
同角ならば狙われている角が王手で前に出られるので難しいところ、先手はその順を
選択。受けきれると読んだようですが、終盤力に定評のある里見香奈が襲いかかり
ます。しかし受けきりを読み切ったのか、先手は最初の駒で守り切ろうとします。

後手は角取りで打開を図りますが、後手からの攻めは続かないと、先手は銀の
打ち込みで後手玉に詰めろを掛けます。なんとか詰めろを振り切りたい後手でしたが、
数の攻めで先手が優位を保ち続け、ついに熱戦も終了。ぎりぎりの受けで先手が
後手の猛攻を抑え込み、後手玉を寄せきりました。

【第9期リコー杯女流王座戦五番勝負】女流王座:里見 香奈

西山 朋佳 ○  ● 里見 香奈

+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    | 氏  名 | 第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 |
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|女流王座| 里見 香奈 |  ●  | 先○ |  ●  |  先  |    |
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|挑戦者 | 西山 朋佳 | 先○ |  ●  | 先○ |    |    |
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+
|    |      |135手|133手|105手|   手|   手|
+--------+------------+--------+--------+--------+--------+--------+

第1局 10月30日(水) 高知県 高知市 「ザ クラウンパレス新阪急高知」
第2局 11月14日(木) 岐阜県 岐阜市 「十八楼」
第3局 11月27日(水) 福島県 郡山市 「郡山ビューホテルアネックス」
第4局 12月 4日(水) 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」
第5局 12月17日(火) 東京都 渋谷区 「東京将棋会館」


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