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本章から振り飛車の最大の敵である居飛車穴熊を対四間飛車を中心に 紹介して行きたいと思います。まず居飛車穴熊がプロ棋戦に現れ猛威を 振るう事となる黎明期とも言える時代から。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽3二銀 ▲5六歩 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉 ▲5七銀 ▽4三銀 ▲7七角 ▽8二玉 ▲8八玉 ▽7二銀 ▲9八香 ▽5二金左 ▲9九玉 ▽6四歩 ▲8八銀 ▽7四歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・v角 ・|二 |v歩v歩 ・ ・v歩v銀 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 角 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 ▽7四歩 まで 手順は今とは違い、四間飛車側は特に何の対策も無く居飛車側に簡単に穴熊に 組ませてしまっています。居飛車穴熊初期の黎明期と言える昭和50年代前後には 穴熊は本格的では無いB級戦術と思われていました。 「図1」から「図2」までの手順 ▲7九金 ▽6三金 ▲5九金 ▽9四歩 ▲6九金右 ▽8四歩 ▲7八金右 ▽8三銀 ▲2五歩 ▽3三角 ▲3六歩 ▽7二金 ▲4六銀 ▽5四歩 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲3八飛 ▽4五歩 ▲3四飛 ▽7七角成 ▲3二飛成 「図2」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ 龍 ・ ・|二 | ・v銀 ・v金 ・ ・ ・v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・|六 | 歩 歩v馬 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 銀 歩 手数=47 ▲3二飛成 まで 「図2」までの手順は作られた手順で実戦に出て来る事は無いと思いますが 穴熊の特徴を全て顕している物です。穴熊はまず固いと言う事と王手が掛からない と言うのはすぐ理解出来る事ですが、実は最も大きな利点は玉が遠いと言う事なのです。 「図2」までの先手の攻撃方法は▲4六右銀型ナナメ棒銀ですが、急戦型に対して有効だった ▽4五歩の反発で捌きに出ると、図の7七角成が一つ遠くに居る穴熊玉に届かず 王手にならない為▲3四飛から▲3二飛成と取られてしまい失敗に終わります。 これが終盤に一手早く玉を寄せる競技である将棋にとって大変な利点で有る事の 認識が当時は甘く、駒が偏った無理な作戦と思われていたのでした。 「図1」から「図3」までの手順 ▲6六銀 ▽6三金 ▲2五歩 ▽3三角 ▲6八角 ▽2二飛 ▲7九金 ▽9四歩 ▲5九金 ▽8四歩 ▲6九金右 ▽8三銀 ▲7八金右 ▽7二金 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v銀 ・v金v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 銀 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=38 ▽7二金 まで 現在の感覚からすれば「図1」では既に先手の作戦勝ちと言って良い形勢です。 ▲6六銀から▲6八角と言う、この手順が実現出来れば居飛車穴熊は優勢が 築ける可能性が高いと言う事が長い年月で理解されて行きます。 「図3」から「図4」までの手順 ▲3六歩 ▽5四歩 ▲3八飛 ▽4二角 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽3二飛 ▲同飛成 ▽同 銀 ▲2四歩 ▽2八飛 ▲2二飛 ▽3一歩 ▲2三歩成 ▽同飛成 ▲同飛成 ▽同 銀 ▲2二歩 「図4」 後手の持駒:飛 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v歩v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・v角 ・ 歩 ・|二 | ・v銀 ・v金 ・ ・ ・v銀v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩 手数=57 ▲2二歩 まで ▲3五歩と角頭に仕掛けて歩を交換するのは、通常この形では振り飛車に対しては 飛車交換を強要されて悪手となるのですが、これもまた「図2」までと同じく 逆に振り飛車に思わしく無い形勢となります。今まで振り飛車側が有利とされていた 捌き合いは居飛車穴熊に有利な別れにと結果は変わるのです。それでは駒組み競争を 続けていたら、どうなるかなのですが。 「図3」から「図5」までの手順 ▲9六歩 ▽5四歩 ▲7七銀引 ▽7三桂 ▲8六歩 ▽6五歩 ▲8七銀 ▽4二角 ▲8八金上 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽同 角 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲2三歩 「図5」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v銀v桂v金 ・v銀 ・ 歩v歩|三 |v歩v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・|四 | ・ ・v角v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 銀 銀 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 金 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=53 ▲2三歩 まで ▲7七銀引きから▲8六歩、▲8七銀とした「図5」の金銀四枚の穴熊が通称 ビッグ4と呼ばれる最強の穴熊囲いで現在はこれに組ませないと言うのが常識と なっている居飛車穴熊の理想形です。この形では▲9六歩と端を受けるのも形です。 後手の振り飛車側は▽4二角から▽7五歩 ▲同歩 ▽同角と捌いて▽3九角成を 狙い好調に見えますが▲2四歩 ▽同歩に▲2三歩と打ち、▽同飛なら▲2四飛と 捌いて、また飛車が逃げても▲2四飛で先手断然優勢の局面です。▲2四歩を取らず ▽3九角成としても構わず▲2三歩成と成り込み、やはり先手優勢です。 この十分に穴熊に組ませてから銀冠で、穴熊側の手を殺すと言う見事な指し回しを 大山十五世名人が当時披露して唯一四間飛車側を持って勝ち越していましたが これはプロ棋士でも誰も真似が出来ず、この捌き合いや持久戦での駒組み競争では 居飛車穴熊を攻略する事は出来なかったのです。 後に鈴木大介八段が、穴熊に組ませて銀冠で対抗した鈴木システムが有りますが これは▲6六歩と突かせて穴熊に「図3」の形にさせない上での戦型で、また これとは違いますが、どちらにしてもまだこの時代には無い概念でした。 次の章では居飛車穴熊対三間飛車の攻防を御紹介します。 |
本章では初期の頃の居飛車穴熊と三間飛車の攻防を御紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽3二飛 ▲2五歩 ▽3三角 ▲6八玉 ▽4二銀 ▲7八玉 ▽6二玉 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v玉 ・v銀v飛 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=12 ▽6二玉 まで 「図1」は今でも一般的な対三間飛車に対してのの居飛車穴熊の進行となります。 「図1」から「図2」までの手順 ▲5六歩 ▽7二玉 ▲5七銀 ▽4三銀 ▲7七角 ▽2二飛 ▲8八玉 ▽3二金 ▲9八香 ▽2四歩 ▲同 歩 ▽同 角 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・ ・v金v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩v角 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=24 ▽2四同角 まで 通常居飛車穴熊は▲6六銀 ▲6八角と言う理想形を狙いに▲5六歩から▲5七銀と 右銀の活用を準備をしてから穴熊を目指しますが三間飛車に対しては簡単に石田流に 組ませない為に▲2五歩 ▽3三角と飛車先を決めてしまう事が多い為「図2」までの 手順に見られるような後手側が向かい飛車に振り直す策に出る場合が有り、穴熊に囲う前に ▽2四歩から急戦を狙われ▲同歩 ▽同角とした手が5七に上がった銀に当たって 先手が指し難い形成となります。銀当たりにならなくても、この向かい飛車急戦に 対してだけは穴熊に組めない場合が有るので、後の章で御紹介します。 「図1」から「図3」までの手順 ▲7七角 ▽7二玉 ▲8八玉 ▽8二玉 ▲9八香 ▽7二銀 ▲9九玉 ▽4三銀 ▲5六歩 ▽3五歩 ▲5七銀 ▽5二金左 ▲8八銀 ▽4二角 ▲4六銀 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v角v飛 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲4六銀 まで 後手が▽8二玉から美濃囲いを目指し超急戦には出ない事を確認してから ▲5六歩とします。後手側もただ漠然と駒組みを続けていると先手の穴熊が 組み上がってしまい捌く事も出来ず自然に不利となるので、優位を求めて ▽3五歩と石田流を目指します。先手も石田流の攻撃態勢に簡単に 組ませるのは損なので▲4六銀と出て牽制し図3」となります。 「図3」から「図4」までの手順 ▽3六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲3五歩 ▽4五歩 ▲3七銀 ▽3五飛 ▲1一角成 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 馬|一 | ・v玉v銀 ・v金v角 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v飛 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:香 手数=35 ▲1一角成 まで ▲4六銀の牽制に▽3六歩と飛車先を切りに来るのは無理筋で、▲3五歩と 蓋をされて以下▲3八金から▲3七金で飛車を殺されてしまうので、▽4五歩から 飛車を助け出す事になり「図4」まで後手が不利になります。4九の金を動かして いないのが▽3六同飛と歩を切った時に飛車成を防いでいる点が要となります。 また「図4」のような場合に▽3三角と先手の馬を相殺して消すのが振り飛車の 常套手段なのですが。これもやはり先手玉が穴熊で▽3三角が王手にならず 構わず▲2一馬と桂を取られ無効となります。 「図3」から「図5」までの手順 ▽5四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲7九金 ▽6四歩 ▲2六飛 ▽7四歩 ▲5九金 ▽6三金 ▲6九金右 ▽9四歩 ▲7八金右 ▽7三桂 ▲6八角 ▽3四銀 ▲3六歩 ▽同 歩 ▲同 飛 「図5」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v角v飛 ・ ・|二 | ・v歩v桂v金 ・ ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 飛 ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | 香 銀 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=45 ▲3六同飛 まで 「図5」までは177章の5筋位取りでも御紹介しましたが、後手の石田流模様に ▽3五歩と飛車先を伸ばした手に反撃をした局面ですが、玉形が違い遥かに先手玉の 穴熊が固い為、先手必勝と言っても言い形勢と言えます。 次章では振り飛車側が超急戦で、先手の穴熊が完成する前に攻略を狙う策を御紹介します。 |
本章では居飛車穴熊が組み上がらないうちに振り飛車側から超急戦を仕掛けて行く 攻防を御紹介します。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5六歩 ▽5二飛 ▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉 ▲5七銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v飛v銀 ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=13 ▲5七銀 まで 今回は超急戦を仕掛け易い中飛車で、居飛車穴熊を攻略出来ないかと言う後手の 速攻作戦について見て頂きます。速攻の場合▽8二玉 ▽7二銀と美濃囲いを 完成させていると成功し難くなる為▽7二玉の形で仕掛けます。 「図1」から「図2」までの手順 ▽5四歩 ▲7七角 ▽5三銀 ▲8八玉 ▽6四銀 ▲6六銀 ▽4五歩 ▲9八香 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲同 銀 ▽同 飛 ▲同 角 ▽同 角 ▲6六銀 ▽3三角 ▲4三飛 ▽4二金 ▲4五飛成 「図2」 後手の持駒:角 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・v金 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 龍 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=33 ▲4五飛成 まで ▽5三銀から▽6四銀で▽5五歩と仕掛ける、振り飛車超急戦でも最も速攻性の 高い仕掛けで銀交換にはなりますが、▲4三飛から龍を作られた「図2」では 先手有利な局面と言えます。手順中▽5五同飛と取る所を▽5五同角と角の方で 取るのは▲同角 ▽同飛で▲4四角と打たれ▽5七飛成と飛車は成れますが ▲1一角成と香を取られ後手が不利です。 「図1」から「図3」までの手順 ▽4三銀 ▲7七角 ▽8二玉 ▲8八玉 ▽7二銀 ▲9八香 ▽5四歩 ▲9九玉 ▽3三角 ▲5八金右 ▽4五歩 ▲6六歩 ▽6四歩 ▲6七金 ▽4四銀 ▲8八銀 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽6五歩 ▲5六銀 ▽5五銀 ▲同 銀 ▽同 飛 ▲5六歩 ▽5一飛 ▲6五歩 ▽7七角成 ▲同 銀 「図3」 後手の持駒:角 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v飛v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・v歩 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 歩 手数=41 ▲7七同銀 まで 単純な速攻では無理なので、美濃囲いに囲ってから▽5五歩 ▲同歩 ▽6五歩と 少し本格的な攻撃を仕掛けますが、これも「図3」まで歩損で穴熊を崩すには至らず 速攻は失敗と言える局面です。ここから▽3九角と打っても▲8八飛、▽4六歩と突き ▲同歩に▽4七角と打つのも▲2五角打で攻め切れません。しかしこの戦形は条件が 変わり形に拠っては有効となり得る手段です。 「図4」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲4八銀 ▽2二飛 ▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉 ▲7七角 ▽4二銀 ▲8八玉 ▽4三銀 ▲9八香 ▽3二金 ▲9九玉 ▽2四歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲2五歩 ▽2二飛 ▲3六歩 ▽1四歩 ▲8八銀 ▽1三桂 ▲3七桂 ▽3五歩 ▲2六飛 ▽1五角 ▲1六飛 ▽2五桂 ▲同 桂 ▽同飛 「図4」 後手の持駒:桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・ ・ ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v飛v角|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 飛|六 | 歩 歩 角 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・|八 | 玉 桂 ・ 金 ・ 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 手数=36 △2五同飛 まで 前章「図2」の三間飛車から向かい飛車に振り直す急戦形で触れた向かい飛車の 超急戦策ですが、実戦では居飛車側が飛車先を2六で保留して▲2五歩と 突かない事が多いので実現する事は少ないと思われますが、先手が振り飛車の場合、 三間飛車で▽8五歩と突かせ▲8八飛と振り直すと先後逆で同一局面になるので 全く無い形でも有りません。形に拠っては向かい飛車にも穴熊が組める場合も 有りますが、この「図2」までの最速で飛車先を逆襲してくる超急戦には穴熊は 疑問となります。ただし穴熊は避ける事が出来ても先手が▲9八香の所▲5八金右と 様子を見て▽3二金に▲7八銀と左美濃に変える手が有り、超急戦は難しくなります。 以上居飛車穴熊の初期、プロ棋戦の勝率が6割前後となり振り飛車党の棋士が 居飛車に転向し減ってしまうと言う程の猛威を振るった黎明期の時代の攻防を 御紹介しました。194章の最後の解説での大山十五世名人の穴熊側の手を殺す策は戦法と 言うより大山十五世名人の達人業と言うべきで他の棋士が真似られる物では無いのは 解説した通りですし、また穴熊も更に進化して行き振り飛車最強の天敵となりました。 暫くの間これと言った方策が無かったのですが、ついにその穴熊側が簡単に組めなくなる 対抗戦法が現れます。それが193章までで紹介した藤井システムです。次章からはその 壮絶な戦いの系譜を御紹介して行きます。 |
本章から長い激戦を展開する事になった居飛車穴熊対藤井システムの解説に入ります。 その前に四間飛車側も、簡単に理想形にはさせない工夫をした駒組みをするように なった事は前章までにご紹介しましたが、更に有力だった作戦で今でも形に拠っては 応用される手段を見て頂き、居飛穴対藤井システムの激闘をご紹介します。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽3二銀 ▲5六歩 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉 ▲5七銀 ▽8二玉 ▲7七角 ▽3三角 ▲2五歩 ▽7二銀 ▲8八玉 ▽5二金左 ▲9八香 ▽4五歩 ▲6六歩 ▽3五歩 ▲9九玉 ▽4四飛 ▲5八金右 ▽3四飛 ▲2六飛 ▽3六歩 ▲同 歩 ▽4四角 ▲2八飛 ▽3六飛 ▲3七歩 ▽2六飛 「図1」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v銀 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・v飛 ・|六 | 歩 歩 角 ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=36 △2六飛 まで 居飛車穴熊側が漠然と穴熊完成を目指すと、▽4五歩から▽3五歩と浮き飛車から 石田流のような形を組み上げられる立石流四間飛車で主導権を握られる事になります。 後にご紹介しますがアマ強豪の立石勝巳さんの創案に拠る、非常に強力な攻撃力を 有する戦法です。流石の居飛穴もすんなり組ませてしまっては好きに攻められてしまいます。 「図2」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽3二銀 ▲5六歩 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉 ▲5八金右 ▽8二玉 ▲2五歩 ▽3三角 ▲5七銀 ▽7二銀 ▲7七角 ▽5二金左 ▲8八玉 ▽6四歩 ▲9八香 ▽4五歩 ▲6六歩 ▽3五歩 ▲7八金 ▽4四飛 ▲6五歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・v銀 ・ ・|二 |v歩v歩v歩 ・v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・v飛 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・v歩v歩 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 玉 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=29 ▲6五歩 まで 四間飛車側の工夫に拠って穴熊側も、慎重な駒組みが求められて来ました。 ストレートに相手の動きに呼応せず穴熊に組み上げていると「図1」までのような 攻撃形を作られ、穴熊完成前に速攻されたりするので、先に▲5八金右から ▲7八金と速攻を警戒しながら組み上げ、「図1」までの立石流を狙って来たら ▲6五歩と迎え撃つ用意をするようになったのです。「図2」では居飛車側の 指し易い形勢になっています。ただこの警戒をさせる事に拠って居飛穴の理想形 四枚穴熊を阻止する事が出来たのが大きいのです。そして簡単に穴熊に組ませない。 これが四間飛車に関わらず現在の振り飛車の基本姿勢となるのです。 それではいよいよ藤井システムの登場です。 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲7八玉 ▽9五歩 ▲5六歩 ▽7二銀 ▲5八金右 ▽5二金左 ▲2五歩 ▽3三角 ▲5七銀 ▽3二銀 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=18 △3二銀 まで それまでの四間飛車と違い▽4二飛と振った後、▽9六歩から▽9五歩と 先に端を突き越し▽7二銀 ▽5二金左と美濃囲いを完成させても玉が入城せず 居玉のままと、現在は普通に見えるこの動きが当時センセーショナルでこの後 居飛車穴熊側を苦しめる事になるのです。 「図3」から「図4」までの手順 ▲6六歩 ▽4五歩 ▲7七角 ▽6四歩 ▲8八玉 ▽7四歩 ▲9八香 ▽7三桂 ▲9九玉 ▽6五歩 ▲同 歩 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽9六歩 ▲同 歩 ▽同 香 ▲同 香 ▽7六歩 「図4」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・ ・ ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v桂 ・v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 香 ・v歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・|六 | ・ 歩 桂 ・ 銀 ・ 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 ・ 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 香 歩四 手数=40 △7六歩 まで 「図1」の立石流を警戒しながらも「図3」から穴熊を目指しますが、これは藤井システムの 餌食となり、「図4」までは一例ですが既に先手側は崩壊となっています。 このような闘いになった時に、6〜9筋が戦場となり後手側の居玉は逆に良い形になるのです。 次章から、穴熊側の工夫とまたそれを打破する藤井システムの対抗策をご紹介して行きます。 |
引き続き藤井システムと居飛車穴熊の激闘をご紹介します。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=18 △3二銀 まで 「図1」は前章「図3」と同じ、▽3二銀と後手が藤井システムの体制を 採って来た局面です。 「図1」から「図2」までの手順 ▲3六歩 ▽6四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽3六歩 ▲3五銀 ▽3七歩成 ▲同 桂 ▽3六歩 ▲2四歩 ▽3七歩成 ▲2六飛 ▽2四歩 ▲3四歩 ▽2二角 ▲2四銀 「図2」 後手の持駒:桂 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛v銀v角 ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・v歩 歩 銀 ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩vと ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=35 ▲2四銀 まで 当然ですが後手が居玉のままなら、穴熊に拘らず未完成の美濃囲いを狙って 急戦に方向転換する作戦は考えられます。▲3六歩に対して同様に▽6四歩と 藤井システムに必要な攻撃形を構築して行こうとすると、▲3五歩から5七の 銀を使ってナナメ棒銀の速攻を食らう事になります。左銀からの速攻から比べると 3筋が手薄で通常は右銀からのこの手の速攻は、上手く行き難いのですが この場合は後手が居玉で戦場から近いので成立します。 「図1」から「図3」までの手順 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲3五銀 ▽3四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3四銀 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 「図3」 後手の持駒:角 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v銀v玉v金 ・v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v桂 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀v歩 ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩v飛 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩三 手数=34 △4六同飛 まで 当然ですが▲3六歩には急戦を警戒して▽6二玉と上がります。これでもまだ 玉形は中途半端なので速攻して上手く行きそうですが、一路囲いに入って 玉が露出していなければ▽4五歩と強く対抗出来て、これは上手く行きません。 「図3」では駒が捌けて後手が指し易い形成です。 「図1」から「図4」までの手順 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽6四歩 ▲8八玉 ▽7四歩 ▲9八香 ▽7三桂 ▲6六歩 ▽4五歩 ▲6七金 ▽8五桂 ▲8六角 ▽6五歩 ▲7八玉 ▽6六歩 ▲同 金 ▽6五歩 ▲5五金 ▽5四歩 ▲6五金 ▽9九角成 ▲6八飛 ▽9八馬 ▲5四金 「図4」 後手の持駒:香 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀v玉v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・ 金 ・v歩 ・ ・|四 |v歩v桂 ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ 角 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・ 歩|七 |v馬 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ ・|八 | ・ 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=43 ▲5四金 まで ▲3六歩で急戦を見せる本当の狙いは▽6二玉とさせる事に拠って居玉で 速攻をすると言う藤井システムの理想の攻撃形を封じ、穴熊に組む事だったのです。 しかしただ穴熊に組むだけでは、藤井システムは一手玉が戦場に近づいても十分に 威力を発揮出来たのです。ところが▽6五歩と突かれた時に▲7八玉と戻ると言う 画期的な新手に拠って、これで藤井システムは封じられたかに見えたのですが。 「図1」から「図5」までの手順 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽7一玉 ▲8八玉 ▽4三銀 ▲9八香 ▽3二飛 ▲9九玉 ▽3五歩 ▲同 歩 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲3八飛 ▽4四角 ▲6六角 ▽3五飛 「図5」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v飛 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 角 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 ・ ・ ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八 | 玉 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=36 △3五飛 まで ▲3六歩と先手が突いたら、藤井システムの攻撃形を取り止め玉を一目散に囲い 藤井システム失敗のようですが、実はこれも藤井システムの▲3六歩に対する 対応だったのです。そしてこの3六の歩を狙い3筋から速攻され、▲3六歩の為に 一手遅れた先手側は居飛車穴熊に組む前に前章「図1」でご紹介した立石流のような 速攻で不利に追い込まれてしまいます。しかしこれで居飛穴側も引く事は有りません。 次章もまた双方の工夫合戦をご紹介します。 |
本章でも居飛車穴熊、藤井システム共に秘術の限りを尽くす死闘の 経緯をご紹介します。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=18 △3二銀 まで 「図1」は前章「図1」と同じ、▽3二銀と後手が藤井システムの 体制を採って来た局面です。 「図1」から「図2」までの手順 ▲7七角 ▽6四歩 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲8八玉 ▽7一玉 ▲9八香 ▽8二玉 ▲9九玉 ▽4三銀 ▲8八銀 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩v銀v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=29 ▲8八銀 まで 前章「図5」では先に▲3六歩としたので、いち早く3筋から反撃の体制を 敷かれてしまい不利になりました。そこで▲7七角と居飛穴の意向を先にすると 後手は▽7四歩か▽6四歩と藤井システムに必要な手を指す事になります。 それから▲3六歩とすると今度は3筋からの反撃が間に合わなくなり 無事に▲8八銀と速攻を受ける前にハッチを閉めて穴熊に組めてしまうと言う この逆モーションにより、この反撃形は消えました。 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲7八玉 ▽7二銀 ▲5六歩 ▽3二銀 ▲5八金右 ▽6四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲5七銀 ▽5二金左 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=18 △5二金左 まで 結果として後手番で▽9五歩と突き越して行く形は前章「図4」までの ▽6五歩と突かれた時に▲7八玉と戻ると言う画期的な手段により無理となり ▽9五歩と突き越す一手を▽6四歩に変えた「図3」の新型が考案されます。 これにより逆モーションの▲7七角から▲3六歩にも一手早く藤井システムの 攻撃形が作れる為に▽6五歩の仕掛けも一手早くなり▲7八玉と戻る手も 間に合わなくなります。 「図3」から「図4」までの手順 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲5五角 ▽6三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲3五銀 ▽3四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4六歩 ▲3三銀成 ▽同 銀 ▲4六歩 ▽同 飛 ▲2一飛成 ▽4四角 ▲5五桂 「図4」 後手の持駒:銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ 龍v香|一 | ・ ・ ・v玉v金 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v銀v歩 ・v銀 ・v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v角v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩v飛 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩三 手数=41 ▲5五桂 まで 先に▲7七角の逆モーションも通用しなくなりましたが、一つ形が変われば 必ず別な手段が出現する物で、藤井システムを間に合わせる為に突いた▽6四歩を 狙う手が現れたのです。▲3六歩と急戦を見せて▽6二玉と玉の入城を急いだ時に ▲5五角とする手がそれで、次に無条件で6四の歩を取られては良くないので ▽6三銀と受けます。この手で▽6三金と受けるのは玉の横が空いて本譜の進行に なった時に更に指し辛くなります。しかしそこで▲3五歩と速攻を仕掛けられると 変化は有りますが先手が指し易くなります。流石に玉形が中途半端な形で急戦で 来られると難局になります。因みに▽6四歩の所で▽7四歩と突く形も指されましたが やはり▲5五角としてから▲3六歩で同様に後手が思わしくない形勢となります。 これで▽3二銀で待機する藤井システムは、先手の居飛車穴熊を防げないと言う事が 分かり▽4三銀と上がる形の藤井システムが指される事になるのです。 |
本章では▽4三銀と上がる攻撃形の藤井システムをご紹介します。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲7八玉 ▽9五歩 ▲5六歩 ▽7二銀 ▲5八金右 ▽3二銀 ▲2五歩 ▽3三角 ▲5七銀 ▽4三銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=18 △4三銀 まで 「図1」は▽9五歩型の藤井システムで▽5二金右を▽4三銀に変えた 新藤井システムの局面です。 「図1」から「図2」までの手順 ▲7七角 ▽6四歩 ▲8八玉 ▽7四歩 ▲6六歩 ▽7三桂 ▲6七金 ▽6二飛 ▲9八香 ▽6五歩 ▲9九玉 ▽8五桂 ▲8六角 ▽6六歩 ▲同 銀 ▽4五歩 ▲5三角成 ▽6六飛 「図2」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・ ・ 馬v銀v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 |v歩v桂 ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩v飛 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 金 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=36 △6六飛 まで 先手がこの局面で居飛車穴熊を目指すと▽6二飛と回る手や場合に拠っては ▽5四銀と攻め駒を増援する手が有り、攻撃力が▽3二銀型と比べて強く ▲7七角から▲3六歩の逆モーションも通用せず、変化は有る物の穴熊に 組む前に潰される事になります。しかしこれで189章から193章までで ご紹介した対左美濃の▽3二銀型藤井システムが使用出来なくなり、再び左美濃が 復活する事になるのです。 「図1」から「図3」までの手順 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽3六歩 ▲2六飛 ▽3二飛 ▲3五銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲5七角 「図3」 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀v玉 ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v飛v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 銀 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・v歩 飛 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 角 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=31 ▲5七角 まで 穴熊に組むのが危険なら、▽3二銀型より更に不安定な玉形を狙って▲3六歩と 急戦を仕掛ける手が有効になります。▽3二銀型では一直線の急戦は意外に 上手く行きませんでしたが、居玉の上に左金が立ち遅れている▽4三銀型では 違って来ます。▲3五歩を▽同歩と取るのは「図3」までで先手が有利となります。 「図1」から「図4」までの手順 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲4六歩 ▽3五歩 ▲4五歩 ▽5二金左 ▲4四歩 ▽3四銀 ▲4八飛 ▽4二飛 ▲4六銀 ▽4七歩 ▲同 飛 ▽4四角 ▲同 角 ▽同 飛 ▲2二角 ▽7四飛 ▲4八飛 ▽3三角 ▲同角成 ▽同 桂 ▲6五角 ▽8四角 ▲5七銀 ▽4五桂 ▲6六銀 ▽6四飛 ▲3二角成 ▽6六飛 ▲同 歩 ▽同 角 ▲4七飛 ▽5七銀 ▲3一飛 ▽5八銀不成▲同 金 ▽5七金 ▲6七金 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ 飛 ・v香|一 | ・ ・v銀v玉v金 ・ 馬 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v銀 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v桂v歩 歩 ・|五 | ・ ・ 歩v角 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 金v金 飛 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩二 手数=59 ▲6七金 まで ▲3五歩に▽3二飛と受けるのは振り飛車の常套手段で、▲4六銀に▽4七歩と 新手などが現れ、この形も激戦が展開されましたが、この「図4」までのように 居飛車側が指し易くなります。まだ結論が出たと言う訳では無いですが 現在では後手の藤井システムは厳しいのではと言われています。 |
本章から先手の藤井システムをご紹介します 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲1六歩 ▽4二玉 ▲3八銀 ▽3二玉 ▲7八銀 ▽5四歩 ▲6七銀 ▽5二金右 ▲1五歩 ▽5三銀 ▲5八金左 ▽3三角 ▲4六歩 ▽2二玉 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲3七桂 ▽8五歩 ▲7七角 ▽4三金 ▲6五歩 [図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 ・ 桂 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲6五歩 まで 先手の藤井システムの場合は必要な指したい手が全て指せる為 「図1」まで万全の攻撃体制が整った形となります。 「図1」から「図2」までの手順 ▽1二香 ▲2五桂 ▽2四角 ▲4五歩 ▽3二玉 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲5六銀 「図2」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂 ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v玉 ・v香|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v金 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩v銀v歩v角 ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 桂 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=35 ▲5六銀 まで この形から▽1二香と強行に穴熊を目指すと藤井システムが後手番の時の 秘策だった▽3二玉と戻る手も攻撃形が一手早い為に「図2」まで通用しません 「図1」から[図3」までの手順 ▽3二金 ▲2五桂 ▽4二角 ▲4五歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽5五歩 ▲同 角 ▽2四歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v角v金v玉 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ 歩 角 歩 ・ 桂 歩|五 | ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 手数=36 △2四歩 まで 後手側にも一直線に穴熊に囲わず▽3二金と、一旦放れ駒を無くして 陣形を引き締める形が編み出されます。この形にも同様に▲2五桂から 速攻を仕掛けるのは「図3」まで強く応じて無理となります。 「図1」から「図4」までの手順 ▽3二金 ▲5六銀 ▽4五歩 ▲同 桂 ▽7七角成 ▲同 桂 「図4」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 桂 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=33 ▲7七同桂 まで 先手藤井システム側からの攻撃法として、まず▲5六銀と出て攻勢を取る手段が 考えられますが、これには当然▽4五歩と角交換から▽8六歩と8筋突破を 狙う手が生じます。この▽4五歩と強く決戦に出られるのも▽3二金型の特徴です ▽4五歩に▲3三角成と先手から角交換すると▽同桂と桂で取られ▲6四歩と 行けなくなるので▲同桂と両取りに取り「図4」となります。以下は次章で |
前章に続き先手の藤井システムの攻防をご紹介します。 「図1」 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 桂 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=33 ▲7七同桂 まで 「図1」は前章「図4」と同一局面、▲7七同桂と角を取った所です。 「図1」から「図2」までの手順 ▽4四銀 ▲6四歩 ▽8六歩 ▲6三歩成 ▽8七歩成 ▲5三と ▽7七と ▲6三飛成 ▽5三銀 ▲同桂成 ▽同 金 ▲同 龍 ▽4七歩 ▲8三歩 ▽同 飛 ▲8四歩 ▽同 飛 ▲6六角 ▽5五桂 ▲8四角 ▽6七桂打 ▲同 銀 ▽同 と 「図2」 後手の持駒:角 銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・v歩 ・ 龍 ・ ・v歩v歩|三 | ・ 角 ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v桂 ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 ・ ・vと 歩v歩 ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 金 銀 桂 手数=56 △6七同と まで ▽4四銀と5三の銀取りをかわして動いた瞬間先手が▲6四歩と捌きに 出ますがかまわず後手も▽8六歩と突き、激しい攻め合いになります。 5三の応酬で▲同龍の時に▽4七歩として後手が有利と言われていた 局面になります。この手に▲8三歩から▲6六角と王手飛車取りを 掛けますが以下「図2」まで逆に▽8六角の王手龍取りのお返しも 生じていて確かに後手有利となります。しかし。 「図1」から「図3」までの手順 ▽4四銀 ▲6四歩 ▽8六歩 ▲6三歩成 ▽8七歩成 ▲5三と ▽7七と ▲6三飛成 ▽5三銀 ▲同桂成 ▽同 金 ▲同 龍 ▽4七歩 ▲8三歩 ▽同 飛 ▲8六歩 ▽同 飛 ▲4七銀引 「図3」 後手の持駒:角 桂二 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・v歩 ・ 龍 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・v飛 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 ・vと ・ 歩 銀 ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 金 銀 歩 手数=51 ▲4七銀引 まで 「図1」から同一手順で45手目に▽4七歩と打たれた時に▲8三歩と叩き 飛車の守備を二段目から外した後に▲8六歩と打つのが妙手で、これを▽同飛と 取らせて▲4七銀と歩を払われると4八から玉を囲いに入る手が有り先手が 指し易い局面に変わるのです。 「図1」から「図4」までの手順 ▽8六歩 ▲5三桂成 ▽同 金 ▲7一角 ▽8七歩成 ▲8二角成 ▽7七と ▲6六飛 ▽7四桂 ▲6九飛 ▽7八と ▲6七飛 ▽7七と ▲同 飛 ▽8六角 ▲4八玉 ▽7七角成 ▲7一馬 ▽4三金寄 ▲3九玉 「図4」 後手の持駒:飛 桂 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 馬 ・ ・ ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v金 ・v歩v歩|三 | ・ ・v桂 ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 ・v馬 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 玉 ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 銀 歩二 手数=53 ▲3九玉 まで 銀取りに▽4四銀と逃げず▽8六歩と突く手も有り、銀が5三に居ては ▲6四歩から突破する手が無いので▲5三桂成から▲7一角と攻めます。 後手も▽8七歩成と、お互いに強く応酬しますが「図4」まで形勢不明で これからの将棋となります。この他にも▽4五歩と突く前に▽8六歩と 突き捨てるなど変化は有りますが、いずれも難解な将棋となります。 |
本章では先手の藤井システム側が後手の▽3二金型に対して▲5六銀と 出る手とは別な手段を御紹介します。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲1六歩 ▽4二玉 ▲3八銀 ▽3二玉 ▲7八銀 ▽5四歩 ▲6七銀 ▽5二金右 ▲1五歩 ▽5三銀 ▲5八金左 ▽3三角 ▲4六歩 ▽2二玉 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲3七桂 ▽8五歩 ▲7七角 ▽4三金 ▲6五歩 ▽3二金 ▲4七銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 銀 桂 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=29 ▲4七銀 まで 3八の銀を▲4七に繰り出すと言う初めて見たら、これが四間飛車かと 思わせるような手ですが、これが今では先手の藤井システムの定番とも 言える手段なのです。 「図1」から「図2」までの手順 ▽1二香 ▲2五桂 ▽4二角 ▲4五歩 ▽5五歩 ▲4六銀 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽2四歩 ▲5五銀 ▽2五歩 ▲4四歩 ▽3三金寄 ▲5六銀 「図2」 後手の持駒:桂 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂 ・|一 | ・v飛 ・ ・ ・v角v金v玉v香|二 |v歩 ・v歩v歩v銀 ・v金 ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 銀 ・ ・v歩 歩|五 | ・ 歩 歩 ・ 銀 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 ・ 角 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=43 ▲5六銀 まで まず先手の▲4七銀に後手が▽1二香と穴熊を目指すとどうなるか。 すかさず▲2五桂から▲4五歩と殺到され以下▽2四歩と桂は取れますが ▲5五銀、▲5六銀と二枚の銀を据えた「図2」は先手優勢の局面です。 「図1」から「図3」までの手順 ▽4二角 ▲4五歩 ▽1二玉 ▲5六銀左 ▽2二銀 ▲6四歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4六銀 ▽5三角 ▲2五桂 ▽2四歩 ▲4五歩 ▽2五歩 ▲4四歩 ▽同 金 ▲3五歩 ▽4二飛 ▲4五銀打 「図2」 後手の持駒:桂 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v飛v金v銀v玉|二 |v歩 ・v歩 ・v角 ・ ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・v歩v歩v金v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ 銀 歩v歩 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 銀 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=49 ▲4五銀打 まで ▲4七銀に一手先に▽4二角と引き▲4五歩に▽1二玉と端玉で受ける 手段も有ります。しかしこれも二枚の銀を繰り出し▲2五桂と跳ね この銀を取られる間に4筋から総攻撃します。後手は▽4二飛と飛車も守備に 加えて応戦しますが▲4五銀打ちと厚くせめて先手優勢となります。 「図1」から「図4」までの手順 ▽7四歩 ▲2五桂 ▽5一角 ▲4五歩 ▽7三角 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4五歩 ▽3三銀 ▲同桂成 ▽同金寄 ▲4六銀打 ▽5五桂 ▲5六歩 ▽4七桂成 ▲同 金 ▽1二玉 ▲2五桂 ▽2二銀 ▲3三桂成 ▽同 金 ▲1八飛 ▽5三桂 「図4」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v銀v玉|二 |v歩 ・v角v歩v桂 ・v金v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 ・ 金 ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 手数=52 △5三桂 まで ただ受けに回っていては強力な攻撃陣に殺到され後手は支え切れないので ▽7四歩と攻め合いを狙う手も有ります。▲4五歩に▽7三角と覗き先手の 攻めを牽制し今までのように一方的に攻められる事は無いですが 互いに攻め合い金銀交換ごなった後、▽5三桂として攻めは続く物の 形勢は難しく、強く出た割に大した事が有りません。 |
引き続き本章でも先手藤井システム▲4七銀型の解説をします。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 銀 桂 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=29 ▲4七銀 まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲4七銀と上がった所です。 「図1」から「図2」までの手順 ▽7四歩 ▲2五桂 ▽4二角 ▲4五歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽2四歩 ▲6四歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4五歩 ▽5五銀 ▲5六歩 ▽2五歩 ▲5五歩 ▽7三桂 ▲3五歩 ▽6五桂 ▲6六角 ▽8六飛 ▲8八歩 「図2」 後手の持駒:桂 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v角v金v玉 ・|二 |v歩 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・v歩|三 | ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v桂 歩 歩 歩v歩 歩|五 | ・v飛 歩 角 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 銀 ・ 銀 ・ 歩 ・|七 | ・ 歩 ・ 飛 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 手数=51 ▲8八歩 まで 前章「図4」までの手順では▲2五桂と跳ねられた時に▽5一角から▽7三角と 反撃を狙いましたが、▲2五桂に▽4二角と引いて6筋に利かせ再度の▲4五歩に ▽5五銀と出て、この銀を犠牲に2五の桂を取り切り▽7三桂から▽6五桂と 活用して来る手段が有ります。しかし以下▲8八歩となった「図2」では難しい 局面とは言え先手の玉は中央に纏まっているのに比べ、後手陣は薄く 勝ちにくい形勢と言えます。 「図1」から「図3」までの手順 ▽2四歩 ▲2六歩 ▽1二香 ▲2五歩 ▽1一玉 ▲2四歩 ▽2二銀 ▲5六銀左 ▽2四角 ▲4五歩 ▽2三歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v銀v香|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩v角 ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=40 △2三歩 まで ▲4七銀と先手が藤井システムの攻撃型を組んだ時に▽2四歩で▲2五桂と 跳ねられる手を防ぐのが、知らないと指しづらい手ですが現在最も有力な 手段となっています。先手は当然▲2六歩から▲2五歩と仕掛けて来ますが かまわず▽1二香から▽1一玉と穴熊に入り▲2四歩と取り込まれても ▽2二銀とハッチを閉め▽以下2三歩まで蓋をして穴熊が完成となります。 「図3」から「図4」までの手順 ▲3五歩 ▽同 角 ▲4八金上 ▽4五歩 ▲同 銀 ▽4四歩 ▲3三歩 「図4」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v銀v香|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金 歩v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ 銀v角 ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 金 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=47 ▲3三歩 まで 「図3」からは難解でいろいろ指し方は有りますが、▲3五歩の突き捨てから 「図4」の▲3三歩は見事に技有りで、これに後手がどう応じても先手が優勢です。 「図3」から「図5」までの手順 ▲3五歩 ▽同 角 ▲4八金上 ▽7四歩 ▲6四歩 ▽同 歩 ▲3六銀 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽2四角 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲1四歩 ▽同 歩 ▲1三歩 ▽同 香 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲1四歩 ▽同 香 ▲2五銀 ▽5五歩 ▲4七銀 ▽4六歩 ▲3八銀 ▽7五歩 「図5」 後手の持駒:歩六 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・ ・ ・ ・v金 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・v歩 ・v銀v歩v角v香|四 | ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・ 銀v歩|五 | ・ 歩 歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 金 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=66 △7五歩 まで ▲3五歩 ▽同角に一旦桂が跳ねた後の王手の筋を消して▲4八金上に▽4五歩と 不用意に取るのは先手の術中に嵌るので▽7四歩と攻勢を見せ、先手も後手の玉頭である 1筋の端攻めと攻め合いとなりますが、▽7五歩と突いた局面は難解ながら後手の 指し易い形勢と言えます。 |
本章では先手の藤井システムの狙いに後手側が急戦に出る攻防を御紹介します。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲1六歩 ▽4二玉 ▲3八銀 ▽3二玉 ▲7八銀 ▽5四歩 ▲6七銀 ▽5二金右 ▲5八金左 ▽5三銀 ▲4六歩 ▽8五歩 ▲7七角 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一, | ・v飛 ・ ・v金 ・v玉v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 角 銀 歩 ・ 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=19 ▲7七角 まで 「図1」までは先手が▲1五歩と突き超す一手を▲4六歩に変えて藤井システムの 中央の攻撃態勢を先に整える工夫をした布陣です。これに前章と同様に▽3二金型の 囲いを目指すとどうなるか。 「図1」から「図2」までの手順 ▽3三角 ▲3六歩 ▽2二玉 ▲3七桂 ▽4四歩 ▲6五歩 ▽4三金 ▲5六銀 ▽3二金 ▲2五桂 ▽4二角 ▲4五歩 ▽1二玉 ▲6四歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4五歩 ▽5三銀 ▲1三桂成 ▽同 桂 ▲1五歩 「図2」 後手の持駒:桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀 ・v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v角v金 ・v玉|二 |v歩 ・v歩 ・v銀v金 ・v歩v桂|三 | ・ ・ ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=41 ▲1五歩 まで 先手の上に端歩の突き越しを後回しにした分、中央の攻勢が早く▲2五桂から素早く 攻勢が取れ、これに後手も▽1二玉と先手の角筋を避けますが4筋を抑えて ▲1三桂成から▲1五歩とした「図2」は先手の指し易い局面と言えます。 これにより▲1五歩と端を突く手は後でも可能な場合も有ると言う事が分かりました。 「図1」から「図3」までの手順 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5五角 ▲4七銀 ▽1四歩 ▲3九玉 ▽2四歩 ▲3八金 ▽2三玉 ▲2八玉 ▽3二銀 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v銀 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩v銀v歩 ・v玉 ・|三 | ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩|四 | ・v歩 ・ ・v角 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 角 銀 歩 銀 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ 金 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=30 △3二銀 まで 一つの工夫が開発されれば、それのまた対策も生まれて来ます。先に後手陣攻撃に 必要な▲4六歩を突いた、この歩を狙って▽5五角と飛び出す手が生じます。 この手に4六の歩を守るには▲4七銀と▲4七金が有ります。玉の横側が空くので ▲4七銀とする手は固いのですが、以下は一例ですが左美濃に組んだ後手陣と比べ 美濃囲い系から外れた先手の玉形が弱く、得な駒組とは言えません。 振り飛車が後手側ならば、手詰まりから千日手と言う作戦が有りますが。 「図1」から「図4」までの手順 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5五角 ▲4七金 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽6四銀 ▲7四歩 ▽8四飛 ▲7八飛 ▽7四飛 ▲6五歩 ▽7七角成 ▲同 飛 ▽同飛成 ▲同 桂 ▽5五銀 「図4」 後手の持駒:飛 角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v金 ・v玉 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩v銀 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 桂 銀 歩 金 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 角 歩 手数=36 △5五銀 まで ▲4七金と4六の歩を守った手に▽7五歩と突き捨て、右銀急戦に出る手が有ります。 このような攻めに対して▲7四歩と突き越し、▲7八飛から▲6五歩と振り飛車捌きの 定番とも言える対抗策で迎え撃つのは、残念ながら大捌きの後▽5五銀とした「図4」は 先手の4八の玉が薄く、後手優勢の形勢と言えます。 |
前章に引き続き先手の藤井システムに後手が急戦を仕掛ける攻防を解説します。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v玉v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 角 銀 歩 ・ 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=19 ▲7七角 まで 「図1」は前章「図1」と同じ▲1六歩▲4六歩型の先手藤井システム模様の 局面となっています。 「図1」から「図2」までの手順 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5五角 ▲4七金 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽6四銀 ▲5六金 ▽2二角 ▲7八飛 ▽7二飛 ▲5九角 ▽5五歩 ▲4五金 ▽5六歩 ▲同 歩 ▽7五銀 ▲5五歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽8八歩 ▲7七桂 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・ ・v飛 ・v金 ・v玉v角 ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・v銀 ・ 歩 金 ・ ・ ・|五 | ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ 桂 銀 ・ ・ 歩 歩 ・|七 | ・v歩 飛 ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ 角 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩三 手数=41 ▲7七桂 まで 前章「図4」までと同じく▲4七金に▽7五歩と仕掛ける手に▲5六金から 金で後手の攻め駒を牽制、動きを抑えながら駒を捌いて迎え撃ちの体制と なった「図2」では見事に後手の急戦を受け止める事が出来ました。 以下機を見て▲6五桂と捌いて行く手や、▲3四金と玉頭に迫る手などが 有り先手有望な形勢です。 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲1六歩 ▽4二玉 ▲3八銀 ▽3二玉 ▲7八銀 ▽5四歩 ▲6七銀 ▽5二金右 ▲1五歩 ▽5三銀 ▲5八金左 ▽3三角 ▲4六歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽6四銀 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v玉 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩v銀v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 ・ 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 玉 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 △6四銀 まで 「図3」までは普通に▲1五歩と突き越して先手が藤井システム模様に来た時に 後手が一旦▽3三角と穴熊を匂わせる動きで、▲4六歩を誘い▽7四歩から ▽6四銀と右銀急戦に出ると言う、ちょっとトリッキーな手段を取って来た局面です。 「図3」から「図4」までの手順 ▲3九玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽7六歩 ▲同 銀 ▽7二飛 ▲6五歩 ▽7七角成 ▲同 飛 ▽5五銀 ▲6七銀 ▽7七飛成 ▲同 桂 ▽7六歩 ▲同 銀 ▽7九飛 ▲7一飛 ▽7七飛成 ▲6七角 ▽4六銀 ▲7八歩 ▽8八龍 ▲8一飛成 ▽9九龍 ▲3四角 ▽5一桂 ▲4七歩 ▽5五銀 ▲9一龍 「図4」 後手の持駒:角 香 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | 龍 ・ ・ ・v桂v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v金 ・v玉 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ 角 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩v銀 ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ 歩 ・ 金 ・ 銀 ・ ・|八 |v龍 ・ ・ ・ ・ 金 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 香 歩 手数=53 ▲9一龍 まで 従来の定跡ではこの急戦策の変化で、飛車角総交換の後▽5五銀と出た形は居飛車が 有利と結論づけられていたのですが、藤井九段の新手▲6七角打で以下振り飛車が 指せると逆転する事になりました。▲7八歩で後手の龍を追い▲3四角と敵玉頭に 狙いをつけ角を活用した「図4」では先手優勢な形勢となります。 現在プロ間でも一旦激減した角道を止めるノーマル四間飛車は、また少し指されるように なって来ましたが、藤井システムは先後共にその殆どが藤井九段ご本人が指されるだけに なってしまっています。指しこなすのが難しい戦法とは言え居飛穴封じに有力な戦型で まだ変化も多数有りますが、一応これで終了とします。 |
本章では藤井システムに拠って簡単に穴熊を目指し難くなった事で生まれた 穴熊に代わる堅陣の一つである串カツ囲いを紹介したいと思います 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲5六歩 ▽7二銀 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲7八玉 ▽9五歩 ▲5七銀 ▽3二銀 ▲7七角 ▽4三銀 ▲2五歩 ▽3三角 ▲6六銀 ▽5四銀 ▲6八角 ▽2二飛 ▲8八玉 ▽4五歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v銀 ・v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 玉 ・ 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=24 △4五歩 まで 先手が▲6六銀からビッグ4を含む最強の堅陣である四枚穴熊を目指すのに 対して後手側もこれを許す訳に行かないので、▽5四銀と牽制をして来ます。 この「図1」から▲9二香と構わず穴熊を目指すと▽6四歩 ▲9九玉に ▽6五銀とされ、困る事になります。 「図1」から「図2」までの手順 ▲7八金 ▽6四歩 ▲9八玉 ▽6二玉 ▲8八銀 ▽7一玉 ▲5九金 ▽8二玉 ▲6九金 ▽5二金左 ▲7九金寄 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩v銀 ・v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 玉 銀 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=35 ▲7九金寄 まで ▽6四歩に▲9八玉と寄り敵角の睨みから外れます。こうして後手からの 速攻を受けない位置に玉を持って行き以下「図2」まで玉を囲うのが 串カツ囲いです。穴熊の玉と香が入れ替わった形で、下の香が丁度串のように 見え玉と歩を刺し、周りの金銀がカツの衣のように見えると言うのが命名の 理由と言う事です。▲8六歩から▲8七銀そして▲7七銀のように串カツの ビッグ4を得意としていたアマ強豪もいます。早い時期に玉を藤井システムなど 序盤からの速攻からかわして、穴熊では実現不可能となった▲6六銀形の 囲いを実現すると言う物で。漠然と相対していると自然に振り飛車側が 不利となります。▲玉を端にかわす筋は今まで藤井システムの紹介の中でも 出て来ましたが、これは初めから端玉の形から玉を囲うのを狙いとします。 「図3」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉 ▲5六歩 ▽3二銀 ▲7七角 ▽4三銀 ▲8八玉 ▽8二玉 ▲7八金 ▽3三角 ▲2五歩 ▽5二金左 ▲5七銀 ▽5四銀 ▲5五歩 ▽6五銀 ▲2六飛 ▽4五歩 ▲9八玉 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉 ・ ・v金v飛 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v銀 歩v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 角 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=27 ▲9八玉 まで 固く囲えると言っても序盤から玉が端に行く事が分かっていれば当然これを 狙い撃ちする策は考えられる訳で、やはりいろいろ手段は生まれます。 プロ間でもこの端の玉を直接序盤から狙い撃ちする手段は指されているので それらを参考に一例をご紹介します。 「図3」から「図4」までの手順 ▽7二銀 ▲5八金 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽7六銀 ▲6八角 ▽6四歩 ▲3六歩 ▽9四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲1六歩 ▽9五歩 ▲8八銀 ▽5四歩 ▲2四歩 ▽同 角 ▲5四歩 ▽4四飛 ▲2二歩 ▽3三桂 ▲5三歩成 ▽同 金 ▲2一歩成 ▽5四飛 ▲2五歩 ▽5六歩 ▲4八銀 ▽4五桂 ▲同 歩 ▽3三角 ▲1一と ▽6五歩 ▲3五角 ▽9六歩 ▲同 歩 ▽9七歩 ▲同 銀 ▽9六香 ▲7七歩 ▽9七香成 ▲同 玉 ▽6九銀 「図4」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ と|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v金 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・ 歩 角 歩 ・|五 | ・ ・v銀 ・v歩 ・ ・ 飛 歩|六 | 玉 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・v銀 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 香二 歩二 手数=70 △6九銀 まで 玉頭銀から▽4六歩と突き捨て、先手の飛車の横利きを遮断してから▽7六銀と 擦り込むのは、振り飛車側の戦術として比較的ポピュラーな手筋ですが端玉を 直接攻める手を絡めて「図4」となった局面は後手の四間飛車側が優勢です。 次の章では一時は、対藤井システムの主流となっていたミレニアムを解説します。 |
本章から三浦弘行九段が升田幸三賞を受賞し、一時は対藤井システムの主力と なっていたミレニアム囲い、他にトーチカ、かまぼことも呼ばれていた 戦型について解説します。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲7八玉 ▽7二銀 ▲5六歩 ▽3二銀 ▲5八金右 ▽4三銀 ▲2五歩 ▽3三角 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲6六角 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀v玉 ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 角 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=19 ▲6六角 まで 「図1」はミレニアムの出だし独特の角の序盤からの動きとなります。 この角出は他に角田流の端攻めや、振り飛車穴熊に対する地下鉄飛車など 本当に一部の戦型でしか現れません。 「図1」から「図2」までの手順 ▽5二金左 ▲7七桂 ▽7一玉 ▲6八金寄 ▽5四銀 ▲3七桂 ▽6四歩 ▲8九玉 ▽7四歩 ▲8八銀 ▽8二玉 ▲7九金 ▽6三銀引 ▲7八金寄 ▽9五歩 ▲1六歩 ▽7三桂 ▲5九銀 ▽5四歩 ▲6八銀 ▽6五歩 ▲5七角 ▽4五歩 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v銀 ・ ・v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 桂 歩 角 歩 桂 ・ ・|七 | ・ 銀 金 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=42 △4五歩 まで ▲7七桂 ▲3七桂と両方の桂を上がり、6六に上がった角を5四の銀で 狙われないようにし、藤井システムのような後手側の角筋からの攻撃を ▲8九玉とこちら側に避けて囲うのがミレニアムです。 角筋に玉が居なく端攻めに対して、穴熊や串カツよりも影響が少なくなり 後手も急な仕掛けは無いので▽6三銀とダイヤモンド美濃に組み替え、 その間先手も▲1六歩と後手の▽1五角を消す俗にいう”居飛車の税金”から ▲5九銀 ▲6八銀とミレニアムを完成します。この形のミレニアムは他に トーチカとも呼ばれます。後手も▽6五歩と角を追い▽4五歩として自然な 駒組みとなった「図2」では互いに十分に見えますが、既に先手の術中に 嵌まっていて、このダイヤモンド美濃に固める策は思わしく無いのです。 「図2」から「図3」までの手順 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲2六飛 ▽4三飛 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽7五歩 ▲3四歩 ▽2二角 ▲7五歩 ▽7六歩 ▲2四飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7七歩成 ▲同銀右 ▽8五桂 ▲7六銀 ▽9七桂成 ▲同 銀 ▽9六歩 ▲8六銀 ▽9七歩成 ▲同 香 ▽同香成 ▲同 銀 ▽7七香 ▲8六銀 「図3」 後手の持駒:桂 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・ ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金 ・ ・v角 ・|二 | ・v歩 ・v銀 ・v飛 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・ ・|四 | ・ ・ 歩v歩 ・v歩 角 ・ ・|五 | ・ 銀 銀 ・ 歩 ・ ・ 飛 歩|六 | ・ 歩v香 歩 ・ 歩 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 香 歩四 手数=71 ▲8六銀 まで 玉が互角以上の固さが確保出来る場合は引き角系は、かなり強引な攻めも 成立する事が多く、この場合でも▲2四歩から一旦▲2六飛と慎重な手順で 仕掛ける手が有ります。これに1歩を得た後手が▽7五歩と先手の弱点の 桂頭を狙い反撃が決まりそうに見えますが、▽8五桂に▲7六銀と真っ直ぐ 避けるのが好手で以下、「図3」では後手のこれ以上の攻めは難しく先手優勢です。 もし先手の玉形が前章の串カツだった場合、▽4二角から▽9六歩 ▲同歩に ▽9七歩と玉頭を反撃して後手が有利になります。そう言う意味で串カツより このミレニアム低空バージョンの方が優秀と言えます。 「図1」から「図4」までの手順 ▽7一玉 ▲7七桂 ▽8二玉 ▲8八銀 ▽5四歩 ▲3七桂 ▽5二金左 ▲6八金寄 ▽6四歩 ▲8九玉 ▽6三金 ▲7九金 ▽7四歩 ▲7八金寄 ▽7三桂 ▲1六歩 ▽5二飛 ▲5九銀 ▽6五歩 ▲5七角 ▽5五歩 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v金 ・v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 桂 歩 角 歩 桂 ・ ・|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 玉 金 ・ 銀 ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=40 △5五歩 まで この低空バージョンのミレニアムには玉側の桂頭以外に、角頭が弱いと言う点が 有りそこを狙って▽7三桂から▽5二飛と中飛車に振り直し中央から反撃と言う 手段が有効になります。▲1六歩と突く手で▲5九銀と行くのは一旦▽1五角を 利かせてから▽5二飛と回られます。また「図4」で▲2四歩と突いても構わず ▽5六歩と取り込み後手優勢となります。 ミレニアム低空バージョンは藤井システムを避け、穴熊に準ずる堅陣が得られ 優秀な戦法では有るのですが、藤井システム以外だと初めからツノ銀中飛車などで 中央を狙われ上手く行かない場合も多い為、採用されなくなりました。 ただ形に拠っては有効な囲い方です。次章ではミレニアム▲6七金型(▽4三金型}を 解説します。 |
本章から本流と言える▲6七金型(▽4三金型)のミレニアムの解説をします。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲7八玉 ▽7二銀 ▲5六歩 ▽3二銀 ▲5八金右 ▽4三銀 ▲7七角 ▽6四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲6八角 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 角 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=19 ▲6八角 まで ▲7七角と上がりすぐに▲6八角と引き、後手の2筋を早々と狙って後手に ▽2二飛を強要する所から始まるのは、串カツと似た動きになります。 「図1」から「図2」までの手順 ▽2二飛 ▲6六歩 ▽5二金左 ▲6七金 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽7三桂 ▲7七桂 ▽6二玉 ▲8九玉 ▽7一玉 ▲7八金 ▽6三金 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲3七桂 ▽8四歩 ▲5九銀 ▽8一玉 ▲9六歩 ▽8三銀 ▲4六角 ▽7二金 ▲6八銀右 ▽5四歩 ▲8六歩 ▽5二銀 ▲8八銀 ▽5三銀 ▲7九銀右 ▽6二銀 ▲6八角 ▽7一銀 ▲4六歩 ▽4二飛 ▲2九飛 ▽8二玉 ▲4九飛 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v銀 ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v銀v桂v金 ・ ・v角v歩 ・|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ ・ 桂 金 ・ ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 銀 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 玉 銀 ・ ・ 飛 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=57 ▲4九飛 まで ▽6二玉か▽5二金右のどちらかが入っていない局面で▲6八角と引き角で▲2四歩を 狙われた場合は▲2四歩と仕掛けられて困る事になるのは、今まで引き角系の解説で ご紹介した通りで、この早い時期だと後手も▽2二飛と受けざるを得ません。 以下▽7三桂に▲7七桂と藤井システムの速攻を抑えつつ、8九の位置を開けるのが ミレニアムの序盤ですが、今回は▲6七金とその桂頭と5筋を強化してから跳ねる所が トーチカ型との違いになります。但しトーチカより固さでは劣る囲いとなりますが。 以下後手も先手の角筋に玉が入らないように、慎重に駒組みを進め先手もミレニアムを 完成させ「図2」となりますが、この局面ではいつでも▲4五歩と開戦する権利を有する 先手が指し易く作戦勝ちと言えます。 「図1」から「図3」までの手順 ▽2二飛 ▲6六歩 ▽9五歩 ▲6七金 ▽5二金左 ▲7七桂 ▽6二玉 ▲8九玉 ▽7一玉 ▲7八金 ▽8二玉 ▲3六歩 ▽4五歩 ▲1六歩 ▽6三金 ▲3七桂 ▽5四銀 ▲5七角 ▽7四歩 ▲5九銀 ▽8四歩 ▲6八銀右 ▽7三桂 ▲8八銀 ▽8三銀 ▲8六歩 ▽7二金 ▲7九銀右 ▽1四歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v銀v桂v金v歩 ・v角v歩 ・|三 | ・v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 ・ 桂 金 角 歩 桂 ・ ・|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 玉 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=48 △1四歩 まで ▲6六歩に▽9五歩と9筋を突き越し、終盤▽9四桂などの筋を作り▽5四銀と攻めの 形を作りながら▲4六角出も消して「図3」となりますが、この形から千日手になる 可能性が高くこれを先手が打開出来るかどうかが課題です。 「図3」から「図4」までの手順 ▲2六飛 ▽4四角 ▲2九飛 ▽3三角 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽3二飛 ▲3四歩 ▽5一角 ▲4四角 ▽3四飛 ▲1一角成 ▽3七飛成 ▲5五歩 ▽3八龍 ▲2六飛 ▽4三銀 ▲2一馬 ▽3二歩 「図4」 後手の持駒:桂 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・v角 ・ ・ 馬 ・|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・v歩 ・ ・|二 | ・v銀v桂v金v歩v銀 ・v歩 ・|三 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩|四 |v歩 ・ ・ ・ 歩v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 飛 歩|六 | 歩 ・ 桂 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・v龍 ・ ・|八 | 香 玉 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 香 手数=68 △3二歩 まで 実戦では▲2六飛 ▽4四角 ▲2九飛 ▽3三角以下、千日手になった局が有りましたが 本当に打開は出来ないのか。▲2九飛と手順に飛車の位置を変え桂を取られた時に飛車に 当たらないようにしてから▽3三角に、▲3五歩と仕掛ける手が有り有力ですが「図4」では やはり▽9四桂が有り先手も大変な局面です。端を突き越されている状況では無理に 打開する局面でも無いかも知れません。 「図3」から「図5」までの手順 ▲2六飛 ▽4四角 ▲2九飛 ▽3三角 ▲2七飛 ▽6二金引 ▲3五歩 ▽4四角 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3四歩 ▽3六歩 ▲2四飛 ▽3七歩成 ▲2二飛成 ▽同 角 ▲2四角 ▽1三角 「図5」 後手の持駒:飛 桂 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金v金 ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v銀v桂 ・v歩 ・ ・ ・v角|三 | ・v歩v歩v歩v銀 ・ 歩 角v歩|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ 桂 金 ・ 歩vと ・ ・|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 玉 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩二 手数=66 △1三角 まで ▲2九飛 ▽3三角に▲2七飛と桂にヒモをつけ、ダイレクトに桂を取られるのを防ぐ手段も 考えられますが、▽6二金引きと形を乱さず手待ちをされると仕掛けは難しく、▲3五歩から 仕掛けても「図5」まで後手陣が広く、やはり▽9四桂が有り先手難局です。先手の玉形が 穴熊なら有望な局面なのですが。またどこかで▲9六歩と突く事が出来れば違って來るので いずれにしても千日手打開が先手の課題と言えます。 |
穴熊より攻撃のバリエーションに乏しいミレニアムは千日手になり易いのですが 逆に言えば後手番で採用すれば有力な策と言えます。先手側としては千日手を 如何に回避出来るか、出来る策が有るかが問題となります。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲1六歩 ▽5四歩 ▲3八銀 ▽4二玉 ▲1五歩 ▽3二玉 ▲7八銀 ▽5二金右 ▲6七銀 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3三角 ▲4六歩 ▽4二角 ▲8八飛 ▽4四歩 ▲5八金左 ▽4三金 ▲4八玉 ▽3三桂 ▲3九玉 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽2一玉 ▲4七金 ▽3二金 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v銀v玉v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v角v金 ・ ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・v金v桂v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 銀 歩 金 ・ 歩 ・|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=32 △3二金 まで 先手が四間飛車から後手の穴熊模様に藤井システムを狙い▲1五歩と突き越し ▲4六歩とシステムに必要な手を指したのに対し、早々と▽4二角と引き▲8八飛を 強要して「図1」まで後手がミレニアムを志向して駒組みが進みます。 「図1」から「図2」までの手順 ▲2六歩 ▽9四歩 ▲2八玉 ▽7三桂 ▲5六歩 ▽9五歩 ▲2七銀 ▽5一銀 ▲3八金 ▽6四角 ▲3七桂 ▽4二銀右 ▲5九角 ▽5三角 ▲5八銀 ▽2二銀 ▲5七銀 ▽3一銀右 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v銀v玉v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二 | ・ ・v桂v歩v角v金v桂v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 |v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 銀 金 桂 銀 ・|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 金 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 角 ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=50 △3一銀右 まで 「図1」から漠然と玉を固め合うと、▽7三桂から▽6四角で先手の玉を牽制し ▲3七桂と跳ねさせて「図2」では互いに手の出し難い将棋となり、千日手歓迎の 後手の策に嵌まる事になってしまいます。 「図1」から「図3」までの手順 ▲5六歩 ▽7三桂 ▲5九角 ▽5三角 ▲2八玉 ▽5一銀 ▲1八香 ▽4二銀右 ▲1九玉 ▽2二銀 ▲3七銀 ▽3一銀右 ▲2八銀 ▽9四歩 ▲3九金 ▽6四歩 ▲9六歩 ▽6二飛 ▲4八角 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v銀v玉v香|一 | ・ ・ ・v飛 ・ ・v金v銀 ・|二 | ・ ・v桂 ・v角v金v桂v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 銀 ・ 金 ・ 歩 ・|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ 角 ・ 銀 香|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ 金 桂 玉|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=51 ▲4八角 まで 「図1」から▽7三桂に▲5九角と引き、▽6四角には▲6五歩と突けるようにし ▲3七銀から▲2八銀と穴熊に組み替えるのが、後手のミレニアムに対して有力な 対策になります。序盤に突いた▲1五歩が穴熊をより深い玉形にしていて次に ▲5八飛と5筋を狙って行けば先手が指し易い形勢となります。 「図1」から「図4」までの手順 ▲2六歩 ▽7三桂 ▲5六銀 ▽9四歩 ▲2八玉 ▽5一銀 ▲2七銀 ▽5三角 ▲3八金 ▽9五歩 ▲1八香 ▽4二銀右 ▲1九玉 ▽2二銀 ▲2八金 ▽3一銀右 ▲3七金寄 ▽2四歩 ▲3八金引 ▽6四角 ▲4七銀 ▽4二角 ▲5九角 ▽6四歩 ▲7七桂 ▽6二飛 ▲3七角 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v銀v玉v香|一 | ・ ・ ・v飛 ・v角v金v銀 ・|二 | ・ ・v桂 ・ ・v金v桂 ・v歩|三 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・|四 |v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|六 | 歩 歩 桂 ・ 歩 銀 角 銀 ・|七 | ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 金 金 香|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 玉|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=59 ▲3七角 まで 「図1」からは▲5六銀で▽6四角を牽制し、銀冠から穴熊に組み替えるのも有力です。 「図4」までは一例ですが後手ミレニアムに対して一つの千日手打開策と言えます。 「図5」までの手順 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲6六歩 ▽6二銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽5四歩 ▲3八銀 ▽3二銀 ▲7七角 ▽3一角 ▲4八玉 ▽5三角 ▲3九玉 ▽4二玉 ▲5八金左 ▽3一玉 ▲7八銀 ▽2二玉 ▲6七銀 ▽8五歩 ▲2八玉 ▽5二金右 ▲4六歩 ▽7四歩 「図5」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v銀v玉 ・|二 |v歩 ・ ・v歩v角v歩v歩v歩 ・|三 | ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 角 銀 歩 ・ 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=26 △7四歩 まで 先手の藤井システムを封じる手段として、角道を開けず引き角にして玉を固める 「図5」の飯島流引き角戦法も有りますが、これについてはまた別な章でご紹介 する事にしてミレニアム編は一応これで終了します。 |
本章から居飛車穴熊と四間飛車の対抗形の現在の状況を解説します。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲7八玉 ▽7二銀 ▲5六歩 ▽3二銀 ▲5八金右 ▽5二金左 ▲5七銀 ▽6四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽7四歩 ▲6六歩 ▽4五歩 ▲6七金 ▽4三銀 ▲8八玉 ▽7一玉 ▲9八香 ▽7三桂 ▲9九玉 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂 ・v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 金 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=31 ▲9九玉 まで 藤井システムの登場で簡単に穴熊には出来なくなった居飛車側も慎重な駒組が 求められ、一方四間飛車側も藤井システムはリスクが高い為藤井システムの可能性を 見せつつ居飛車穴熊の理想形を封じ、穴熊に組まれても戦えるようにと言う 戦型にするのが現在で「図1」までが代表的な一つとなります。 「図1」から「図2」までの手順 ▽4四銀 ▲8八銀 ▽5四歩 ▲5九角 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3五歩 「図2」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂 ・ ・ ・v角 ・v歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・v銀v歩 歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ 金 角 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=41 ▲3五歩 まで 「図1」から対抗形の闘いになって行くのですが、後手側の▽4四銀型には ▽5五歩からの速攻が有ります。しかし流石にこの形では「図2」までの反撃で 成立しません。ただ必ず生じる筋で常に居飛車側は警戒が必要です。 「図1」から「図3」までの手順 ▽4四銀 ▲8八銀 ▽5四歩 ▲5九角 ▽6三金 ▲2六角 ▽8二玉 ▲7九金 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽9五歩 「図3」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v金 ・ ・v角v歩 ・|三 | ・ ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 角 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 歩 ・ ・ ・|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=42 ▽9五歩 まで 穴熊に組ませて攻略すると決めたからには、何時までも不安定な玉形でいるのは 危険なので駒組の充実を図りますが、居飛穴側はその間▲5九角から▲2六角と 角を右翼へ転回します。この▲2六角は四間飛車側の▽4四銀型には有効な策で 「図3」の▽9五歩は自然に見えて不用意な一手でした。 「図3」から「図4」までの手順 ▲4八飛 ▽8四歩 ▲4六歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4五歩 ▲4三歩 ▽同 飛 ▲4五銀 ▽同 銀 ▲4四歩 「図4」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v金 ・v飛v角v歩 ・|三 | ・v歩v歩v歩v歩 歩v歩 ・v歩|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v銀 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 角 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|七 | 香 銀 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=53 ▲4四歩 まで ▲4八飛から▲4六歩と仕掛け以下「図4」まで先手が優勢となります。 「図3」から「図5」までの手順 ▲4八飛 ▽5三銀 ▲4六歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4四角 ▲3七角 ▽2二角 ▲4五歩 ▽3三桂 ▲2六角 ▽2五桂 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲3五歩 「図5」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・v角 ・|二 | ・v歩v桂v金v銀 ・ ・v歩 ・|三 | ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 |v歩 ・ ・ ・v歩 歩 歩v桂 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ 銀 ・ 角 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|七 | 香 銀 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=57 ▲3五歩 まで ▲4八飛から▲4六歩の仕掛けを与えては不利になるので、先手の▲4八飛に ▽5三銀と引き、同じように▲4六歩 ▽同歩 ▲同銀と来た時に▽4四角と 角をぶつけて来ますが、▲3七角と交換を避けて以下「図5」まで押さえ込み 先手の指し易い形勢になります。「図3」までの最終手の▽9五歩は先手の 穴熊の端を詰めて有効な手に見えて、▲2六角の転回に対しては危ない手でした 次章では後手が▲2六角に備えた場合を解説します。 |
本章では四間飛車側の▽4四銀型に対し▲2六角と出る手に早目に備える攻防を紹介します 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v金v銀 ・v角v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 角 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 歩 ・ ・ ・|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=42 △5三銀 まで 「図1」は前章「図3」の局面の後手が▽9五歩と先手の穴熊側の端を 突き越した手に変えて、▽5三銀と先手の▲4八飛に一手早く備えた局面です。 「図1」から「図2」までの手順 ▲7八飛 ▽4四角 ▲5九角 ▽8四歩 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8三銀 ▲7八飛 ▽7二金 ▲2八飛 ▽3三角 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲3七桂 ▽4四銀 ▲4六歩 ▽3五銀 ▲4五桂 ▽4二角 ▲3八飛 ▽7四歩 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲5四歩 ▽同 金 ▲3五飛 ▽同 歩 ▲4三銀 「図2」 後手の持駒:飛 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・v角v飛 ・ ・|二 | ・v銀v桂 ・ ・ 銀 ・v歩 ・|三 |v歩v歩v歩v歩v金 ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・v歩 桂v歩 歩 ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 ・ ・ ・ ・|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ 角 ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=71 ▲4三銀 まで ▽5三銀と待機されると▲4八飛には、すかさず▽4四角とぶつけられて▲同角には ▽同銀 ▲2八飛 ▽3三銀と受けられ局面は膠着状態の千日手模様となり先手としては 面白く有りません。飛車を7筋に展開して▲7五歩を狙うのが、この形の常套手段で 歩を交換した後▲2八飛と2筋に飛車を戻し、▽3三角に▲3五歩と突くこれが 居飛車穴熊特有の狙いとなります。▽3二飛の備えに▲3七桂と戦力を増強して ▲3八飛とし▽4四歩に▲3六歩で銀を殺す手を用意します。以下▽7四歩と桂打ちの キズを消すような手なら「図2」まで先手優勢となります。 「図1」から「図3」までの手順 ▲7八飛 ▽4四角 ▲5九角 ▽2二飛 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽7四歩 ▲4五飛 ▽2四歩 ▲8六角 ▽2五歩 ▲6五歩 ▽同 桂 ▲6六銀 ▽同 角 ▲同 金 ▽4四歩 ▲2三歩 「図3」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩 ・v金v銀 ・ ・ 歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・v桂 ・ 飛 ・v歩 ・|五 | ・ 角 ・ 金 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=61 ▲2三歩 まで ▽8四歩と7筋に備えるのは、居飛穴側に攻め続けられる事になり四間飛車側が守勢に なり易いので▽4四角 ▲5九角としてから▽2二飛と攻勢に出る手も有ります。 しかし▲7五歩から▲4五飛と横に飛車を捌いて以下「図3」まで、変化は有りますが 2筋からの反撃は思わしい結果になりません。「図3」で▽同飛なら▲4一角打ちです。 「図4」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽9四歩 ▲7八玉 ▽7二銀 ▲5六歩 ▽3二銀 ▲5八金右 ▽5二金左 ▲5七銀 ▽6四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽7四歩 ▲6六歩 ▽7一玉 ▲6七金 ▽4三銀 ▲8八玉 ▽7三桂 ▲9八香 ▽4五歩 ▲9九玉 ▽4四銀 ▲8八銀 ▽5四歩 ▲7八金 ▽6三金 ▲6八銀 ▽8二玉 ▲7九銀右 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v金 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 金 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=39 ▲7九銀右 まで 今までは穴熊側が右金を▲7九金と寄せる攻防をを紹介しましたが、当然相手が 藤井システムなど急戦を仕掛けて来そうな局面では▲7八金と金を締まって闘いに 備える形も多くなり、その場合は▲7八飛から▲7五歩と歩交換する手段は無くなります。 しかし今度は別な狙いが生じます。「図4」の囲いが従来の4枚穴熊を封じられた形での 対策で松尾歩八段創案の松尾流穴熊です。 「図4」から「図5」までの手順 ▽9五歩 ▲6八角 ▽2二飛 ▲1六歩 ▽5五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3七桂 ▽5六歩 ▲同 金 ▽9六歩 ▲同 歩 ▽9七歩 ▲同 香 ▽8五桂 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲6四歩 ▽9七桂成 ▲同 桂 ▽6四金 ▲8六角 「図5」 後手の持駒:香 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v角 ・v歩|三 | ・ ・v歩v金 ・v銀v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 角 歩 ・ 金 ・ 歩 ・ 歩|六 | 桂 歩 ・ ・ ・ 歩 桂 ・ ・|七 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 歩二 手数=61 ▲8六角 まで 実は「図4」の松尾流穴熊に組めれば勝率8割と言われていて既に作戦勝ちと言えます。 ▲6八角で2二飛を強要し、▲1六歩と端歩を突き▽1五角を消してから▲3七桂と桂を 活用して▽5六歩に▲同金と後手の手に乗って攻撃形を作り、以下後手も▽9六歩から ▽8五桂と穴熊の玉頭を反撃しますが「図5」まで居飛車穴熊側が指し易い局面です。 |
本章では引き続き前章の松尾流穴熊の攻防を見て頂きます 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀 ▲5六歩 ▽5二金左 ▲5八金右 ▽6四歩 ▲5七銀 ▽7四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽4三銀 ▲6六歩 ▽7一玉 ▲8八玉 ▽7三桂 ▲9八香 ▽4五歩 ▲9九玉 ▽4四銀 ▲8八銀 ▽6三金 ▲6七金 ▽5四歩 ▲7八金 ▽8二玉 ▲6八銀 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v桂v金 ・ ・v角v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 金 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 金 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=37 ▲6八銀 まで 「図1」は松尾流穴熊が完成する直前で、後手も穴熊側の端歩を突くのを後回しにし、 攻撃形を一早く整えた局面です。 「図1」から「図2」までの手順 ▽5三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲6五歩 ▽7七角成 ▲同銀右 ▽6五桂 ▲2四飛 ▽7七桂成 ▲同金寄 ▽2二歩 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲3一角 「図2」 後手の持駒:角 銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ 角v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・v歩 ・|二 |v歩v歩 ・v金v銀 ・ ・ ・v歩|三 | ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・ 飛 ・|四 | ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 金 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 歩 手数=53 ▲3一角 まで このまま松尾流穴熊に組まれては作戦負けとなる為、▽5三銀と飛車先を通し▽4六歩を 狙い▲7九銀と引く手を阻止しようとしますが、今度は▲3五歩から仕掛け▲6五歩と 角交換に出る手段が生じます。後手の角道が開いている時には必ず狙い筋となります。 ▽6五桂の銀取りに構わず▲2四飛と飛車先を突破して角を打ち込み「図2」まで まだこれからの将棋ですが先手を持ちたい形勢です。▲3一角の前に▲5五歩の突き捨てが 重要で突き捨てを入れずに▲3一角だと▽3三角と打ち▲4二角成 ▽同銀 ▲3四飛に ▽7七角成 ▲同金 ▽6八銀と食いつかれ難局です。 「図1」から「図3」までの手順 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽6五歩 ▲3四歩 ▽4四角 ▲7九銀右 ▽6六歩 ▲6八金引 ▽2二飛 ▲8六角 ▽6四銀 ▲3三歩成 ▽同 角 ▲5四歩 ▽5二歩 ▲3八飛 ▽3二飛 ▲6四角 ▽同 金 ▲4四銀 ▽5六角 ▲3三銀成 ▽同 桂 ▲4四角 「図3」 後手の持駒:銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・v歩 ・v飛 ・ ・|二 |v歩v歩v桂 ・ ・ ・v桂 ・v歩|三 | ・ ・v歩v金 歩 角 ・v歩 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩v歩v角 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 金 金 ・ ・ 飛 ・ ・|八 | 玉 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=65 ▲4四角 まで 銀が4筋の守備から外れた瞬間を狙った▽5三銀は当然考えられる手段ですが、 角道が開いた所を▲6五歩と決戦されて、やはり危険でした。捌きが軽くなってしまうので 最後は玉の固さが物を言ってしまいます。ここは▽5五歩と仕掛けるのがやはり 一番▽4四銀型を生かした自然な攻めで本筋ですが▲5五同歩に▽同銀と単に出るのは この形の反撃策の▲2四歩から▲3五歩で、▽4四角に一旦▲7九銀と松尾流穴熊を 完成させ受けてから▲5四歩の垂らしで▽同金なら▲5八飛 ▽5五歩とさせてから ▲3八飛と回ります。▽5二歩と受けても▲3八飛で▲3三飛成から▲3一角を狙い 以下「図3」まで先手が指し易い形勢となります。 「図1」から「図4」までの手順 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽5五銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽4六飛 ▲3四歩 ▽4四角 ▲2四飛 ▽2二歩 ▲2五飛 ▽4五歩 ▲3三歩成 ▽同 角 ▲5六歩 ▽同 銀 ▲同 金 ▽同 飛 ▲4五飛 ▽5八飛成 ▲4一飛成 ▽8五桂 ▲8六角 ▽5六歩 「図4」 後手の持駒:金 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ 龍 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v歩 ・|二 |v歩v歩 ・v金 ・ ・v角 ・v歩|三 | ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 角 歩 歩v歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|七 | 香 銀 金 銀v龍 ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩四 手数=64 △5六歩 まで ▲5五同歩に▽4六歩と飛車を走る筋をつけてから▽5五銀と出るのが正着で▲2五飛と 次に▲4五歩から▲2二飛成を狙って来た時に▽4五歩と打ちその狙いを防ぎ以下変化は 有る物の以下「図4」まで居飛車穴熊側の攻め合い負けとなります。 振り飛車側が、いち早く▽4四銀型を組んだ場合は松尾流穴熊に組み難いと言うのが 現在の結論となっています。 |
本章では振り飛車側の▽4四銀型に居飛車穴熊側が▲6八角と引く攻撃形での 攻防を紹介します。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀 ▲5六歩 ▽5二金左 ▲5八金右 ▽6四歩 ▲5七銀 ▽7四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽4三銀 ▲6六歩 ▽7一玉 ▲8八玉 ▽7三桂 ▲9八香 ▽4五歩 ▲9九玉 ▽4四銀 ▲8八銀 ▽6三金 ▲6七金 ▽5四歩 ▲7八金 ▽8二玉 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲6八角 ▽9四歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v金 ・ ・v角v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 歩 ・ ・ ・|七 | 香 銀 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=40 △9四歩 まで 前章で後手が▽4四銀型にいち早く組んで来た時には、松尾流穴熊に組むのは危険と 言う事が分かったので今度は▲1六歩と突いて1五角と端に出られる手を消してから▲6八角と 角を攻めに活用する手段を取る。▲1六歩は俗に”居飛車の税金”と呼ばれる端歩突きです。 後手も▽1四歩とこれを受け▲6八角に▽9四歩と穴熊側の端歩を突き「図1」となります。 「図1」から「図2」までの手順 ▲3七桂 ▽9五歩 ▲4六歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4五歩 ▲5七銀 ▽8四歩 ▲2九飛 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v金 ・ ・v角v歩 ・|三 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 ・ 桂 ・ ・|七 | 香 銀 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=49 ▲2九飛 まで ▽9四歩に▲3七桂と跳ね▲4六歩と4筋の歩交換を図り、▽8四歩に▲2九飛と飛車の 当たりを避け「図2」となります。 「図2」から「図3」までの手順 ▽3五歩 ▲2六飛 ▽5五歩 ▲4六歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5六歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲5六金 ▽4七歩 ▲4五桂 ▽同 銀 ▲同 銀 ▽5五歩 ▲4三歩 ▽5二飛 ▲5七金 ▽5六桂 ▲7九角 ▽4八歩成 ▲3五歩 ▽5九と ▲3四歩 ▽5一角 ▲6七金寄 ▽6九と ▲4六角 「図3」 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金v角 ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v金 ・ 歩 ・ ・ ・|三 | ・v歩v歩v歩 ・ ・ 歩v歩v歩|四 |v歩 ・ ・ ・v歩 銀 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩v桂 角 ・ 飛 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|七 | 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 ・vと ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩二 手数=77 ▲4六角 まで 先手の▲2九飛の待機に▽3五歩と桂頭の弱点を攻める手は当然考えられますが▲2六飛と 慌てずに防備され、以下▽5五歩と中央から▽4四銀型を生かした攻撃に出ますが「図3」まで 先手の反撃が厳しく穴熊側が優勢となります。▽4七歩の垂らしに強く▲4五桂と捌きに 出たり金頭を押さえた再度の▽5五歩に▲4三歩など、先手は自然に駒を前に後手の手に乗って 捌いて行って全体を制圧出来た形になりました。 「図2」から「図4」までの手順 ▽1二香 ▲4九飛 ▽2二角 ▲4六歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽5三銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲2九飛 ▽6五歩 ▲5五歩 ▽6四銀 ▲2四飛 ▽6六歩 ▲同 金 ▽1三角 ▲2一飛成 ▽4六角 「図4」 後手の持駒:銀 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・ 龍 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・v香|二 | ・ ・v桂v金 ・ ・ ・ ・ ・|三 | ・v歩v歩v銀v歩 ・v歩 ・v歩|四 |v歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 金 ・v角 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・|七 | 香 銀 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 歩三 手数=68 △4六角 まで やはり先手が万全に待機している所に攻めかかるのは得策では無いので、▽1二香と後手側も 待機しておくのが振り飛車の常套手段となります。▲4九飛と攻撃態勢を敷いて先手が攻めに 出ようとした手に▽2二角と引き反撃される手を押さえながら、先手が▲2九飛から▲4九飛で ▲4六歩と4筋の再度の歩交換で攻勢に出た手に対しても▽5三銀と引き、駒当たりを避けて しまわれると4筋からのこれ以上の攻めは無理なので、▲2四歩から攻めの拠点を2筋に展開 しますが「図4」まで先手の不利となります。▽1四歩と端歩を受けた手が生きている形です。 |
本章では引き続き▲6八角型の攻防を紹介します。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v金 ・ ・v角v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 歩 ・ ・ ・|七 | 香 銀 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=40 △9四歩 まで 「図1」は前章「図1と同一局面、後手が▽9四歩と端歩を突いた所です。 「図1」から「図2」までの手順 ▲9六歩 ▽8四歩 ▲3七桂 ▽1二香 ▲4八銀 ▽5五歩 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽2二飛 ▲3三角成 ▽2八飛成 ▲4四馬 ▽4八龍 ▲7九歩 ▽3七龍 「図2」 後手の持駒:飛 銀 桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・ ・v桂v金 ・ ・ ・ ・ ・|三 |v歩v歩 ・v歩 ・ 馬v歩 ・v歩|四 | ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 ・ 歩v龍 ・ ・|七 | 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 手数=58 △3七龍 まで 後手の▽9四歩に▲9六歩と受け▽8四歩と銀冠に組み替えようとする手に▲3七桂と 跳ね攻撃対戦を整えます。▽1二香と待機する手に▲4六歩と歩交換する手も当然有りますが 警戒している所に相手の飛車先から行くのは端を受け、間合いを計った策と相反するので ▲6八角型のもう一つの手段として▲4八銀と引き角の攻撃策を取りますが、すぐに行くのは 「図2」まで先手の攻め合い負けの形勢となります。 「図1」から「図3」までの手順 ▲9六歩 ▽8四歩 ▲3七桂 ▽1二香 ▲2六飛 ▽8三銀 ▲4八銀 ▽7二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽2二飛 ▲3三角成 ▽2六飛 ▲4四馬 ▽2九飛成 ▲4五桂 ▽4九飛 ▲7九銀打 ▽4八飛成 ▲5三桂成 「図3」 後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・v銀v桂v金 圭 ・ ・ ・ ・|三 |v歩v歩v歩v歩v歩 馬v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | 香 銀 金 ・ ・v龍 ・ ・ ・|八 | 玉 桂 銀 ・ ・ ・ ・v龍 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=61 ▲5三桂成 まで ▲2六飛と飛車の位置を変え後手にもう一手指させる手が有効で、▽8三銀と銀冠に 組み替える瞬間の隙に▲4八銀と引き角攻撃形を完成させ▽7二金とした手に▲2四歩と 行けば飛車を取られる位置が変わり「図3」まで今度は先手優勢の局面となります。 ▲6八角型では▽9四歩に▽9六歩と受ける方が良いのです。 「図1」から「図4」までの手順 ▲9六歩 ▽8四歩 ▲3七桂 ▽1二香 ▲2六飛 ▽4三飛 ▲4八銀 ▽4二角 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽2三飛 ▲2五歩 ▽5三角 ▲6八角 ▽4三飛 ▲2九飛 ▽3五歩 ▲2四歩 ▽2二歩 ▲3五歩 ▽同 銀 ▲2三歩成 ▽同 歩 ▲3三歩 ▽2四歩 ▲3二歩成 ▽3六歩 ▲2一と ▽3七歩成 ▲同 銀 「図4」 後手の持駒:桂 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・ と ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・ ・v桂v金v角v飛 ・ ・ ・|三 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v銀 ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 銀 ・ ・|七 | 香 銀 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:桂 歩 手数=71 ▲3七同銀 まで ▲2六飛に▽8三銀と銀冠に組み替えは駒が離れて危険なので▽4三飛と浮き▲4八銀で 引き角からの2筋交換に対して▽2三飛を用意して、迎え撃ちますが変化は有る物の 「図4」まで後手の秘策は不発に終わります。 |
前章に引き続き▲6八角型の攻防をご紹介します。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v金 ・ ・v角v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 歩 ・ ・ ・|七 | 香 銀 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=40 △9四歩 まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、後手が▽9四歩と端歩を突いた所です。 「図1」から「図2」までの手順 ▲9六歩 ▽8四歩 ▲3七桂 ▽8三銀 ▲4八銀 ▽7二金 ▲5九銀 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v銀v桂v金 ・ ・v角v歩 ・|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 桂 ・ ・|七 | 香 銀 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ ・ 銀 ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=47 ▲5九銀 まで ▲3七桂に▽1二香と待っても結局▽8三銀と上がる事になるので、すぐに▽8三銀と 銀冠に組み替えたらどうかと言う事ですが、これには▲5九銀とする手が有ります。 「図2」から「図3」までの手順 ▽5五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽2二飛 ▲3三角成 ▽2八飛成 ▲4四馬 ▽7八龍 ▲6八金 ▽8九龍 ▲同 玉 ▽2九飛 ▲6九金 ▽5七桂 ▲4一飛 ▽8一金 ▲6一銀 ▽6二金寄 ▲4二飛成 ▽6九桂成 ▲6二馬 ▽同 金 ▲同 龍 ▽9三玉 ▲7三龍 ▽8二金打 ▲8五桂 ▽9二玉 ▲9五歩 ▽8五歩 ▲9四歩 「図3」 後手の持駒:角 桂 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v金 ・ 銀 ・ ・ ・v桂v香|一 |v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v銀 龍 ・ ・ ・ ・ ・ ・|三 | 歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 桂 ・ ・|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | ・ 玉 ・v圭 銀 ・ ・v飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 金二 歩二 手数=79 ▲9四歩 まで ▽2八飛成から▽7八龍と金を取られピンチに見えた瞬間、▲6八金と言う穴熊特有の 受けの手が有り龍は捕獲が出来ます。以下互いに寄せ合いになりますが穴熊の一手勝ちの形勢です。 「図2」から「図4」までの手順 ▽2二飛 ▲5七角 ▽5一角 ▲6八銀 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲4五桂 ▽5六歩 ▲3九角 ▽3三桂 ▲4六歩 ▽4五桂 ▲同 歩 ▽3三角 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲3八飛 ▽3六桂 ▲3四歩 ▽5一角 ▲1七角 ▽6五歩 ▲3五角 ▽6六歩 ▲同 金 ▽同 銀 ▲4四角 ▽5七歩成 ▲2二角成 ▽6八と ▲同 金 「図4」 後手の持駒:金 銀 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・v角 ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・ 馬 ・|二 | ・v銀v桂v金 ・ ・ ・v歩 ・|三 |v歩v歩v歩 ・ ・ ・ 歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩v銀 ・ ・v桂 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七 | 香 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・ ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 桂 歩四 手数=79 ▲6八同金 まで 先手の▲5九銀に▽2二飛と▲2四歩を防ぐ手も有力ですが、これには▲5七角から ▲6八銀と陣形を整備します。次に▲7九銀右で松尾流穴熊完成で後手はこれ以上 固くはならないので▽5五歩と仕掛けますが以下「図4」まで先手が優勢です。 ▲3七桂に▽8三銀とすぐに組み替えに行く手は▲4八銀で先手が指し易くなります。 |
本章では先手の居飛穴に後手の四間飛車が▽5四銀と上がる手段をご紹介します。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀 ▲5六歩 ▽5二金左 ▲5八金右 ▽6四歩 ▲5七銀 ▽7四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽4三銀 ▲6六歩 ▽7三桂 ▲6七金 ▽7一玉 ▲8八玉 ▽4五歩 ▲9八香 ▽5四銀 ▲9九玉 ▽8二玉 ▲8八銀 ▽6三金 ▲7九金 ▽9四歩 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 金 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=36 △9四歩 まで 「図1」は後手が▽5四銀と上がって飛車先を軽くする策を取った所です。 「図1」から「図2」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲6五歩 ▽同 桂 ▲3三角成 ▽同 桂 ▲6八銀 ▽2二飛 ▲6六角 ▽2三飛 ▲3八飛 ▽4三銀 ▲3五飛 ▽3四歩 ▲3八飛 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽4七角 ▲2八飛 ▽3六角成 ▲2五歩 ▽4六馬 ▲2四歩 ▽2八馬 ▲2三歩成 「図2」 後手の持駒:飛 歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v歩 ・v金v歩v銀v桂 とv歩|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 角 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 歩|七 | 香 銀 ・ 銀 ・ ・ ・v馬 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩二 手数=63 ▲2三歩成 まで ▽5四銀 ▽4五歩型には2筋を突き捨てて▲6五歩の決戦策がいつでも有ります。 ただこの形では▽6三金と早目に桂頭の守備を固めて端歩突きを後回しにしているので 慎重な駒運びが必要です。▽6五同桂と両取りに歩を取った手に▲2四飛と走るのは ▽5七桂成と銀を取られた後、後手陣が纏まっていて上部が固く得策では無い為 ▲6八銀と引き▽2二飛と2筋を受けた手に、▲6六角と打ち攻めの継続を図ると 以下穴熊側の捌きが成功し先手の指し易い局面となります。 「図1」から「図3」までの手順 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲6五歩 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽4九角 ▲6八銀 ▽7五歩 ▲6四歩 ▽同 金 ▲2四飛 ▽7六歩 ▲7四歩 ▽同 金 ▲2一飛成 ▽7七歩成 ▲同 金 ▽4一歩 ▲6六桂 「図3」 後手の持駒:桂 歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・v歩 ・ 龍v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂 ・v歩 ・ ・ ・v歩|三 |v歩 ・v金 ・v銀 ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|五 | ・ ・ ・ 桂 歩 歩 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 金 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|七 | 香 銀 ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 ・ 金 ・ ・v角 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩三 手数=59 ▲6六桂 まで ▲6五歩の決戦策に先に▽7七角成と角を交換する手には、もし後手側が7三に桂を 上がっていなければ▲同銀と取って後で▲8八銀と引く手も有りますが、この場合は ▽6五桂と両取りに跳ねられて今度は不利となります。取りづらいですが▲同桂と 桂で取るのが正解となります。後手は当然桂頭を狙って▽7五歩と突いて来ますが 以下穴熊の深さを利用して▽7六歩にも手抜きで攻め合って「図3」では先手優勢です。 「図1」から「図4」までの手順 ▲5九角 ▽8四歩 ▲2六角 ▽8三銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽3二飛 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3四歩 ▽4二角 ▲4四角 ▽3四飛 ▲1一角成 ▽3九飛成 ▲2七飛 ▽3六歩 ▲5五歩 「図4」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂 馬|一 | ・v玉 ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|二 | ・v銀v桂v金v歩 ・ ・ ・ ・|三 |v歩v歩v歩v歩v銀 ・ ・v歩v歩|四 | ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・v歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 歩 ・ 飛 ・|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・v龍 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:香 手数=57 ▲5五歩 まで ▲2四歩から▲6五歩の決戦策は総力戦で穴熊も薄くなるので先手も怖い変化も多いのです。 そこで固い穴熊で戦うべく▽4四銀型の時と同様に右翼に角を転回していく手段を取ります。 ▲2六角に▽8三銀は危険な手で、放れ駒が災いして「図4」まで先手優勢となります。 これは角の展開に無頓着過ぎた結果で、次章では後手の四間飛車側の対抗策を解説します。 |
本章では引き続き後手の▽5四銀型の攻防を解説をします。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v桂v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 金 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=36 △9四歩 まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、後手が▽5四銀と上がってから ▽9四歩と端歩を突いて来た所です。 「図1」から「図2」までの手順 ▲5九角 ▽8四歩 ▲2六角 ▽9五歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲3七桂 ▽2二角 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・v角 ・|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・ ・v歩 ・|三 | ・v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 角 歩|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 歩 桂 ・ ・|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=44 △2二角 まで ▲2六角と角を右翼転回した時に▽9五歩と端を突き越し▲3七桂の攻撃態勢に▽2二角と 桂の当たりを避け後手は徹底して隙を作らず万全な体制で待ちます。 「図2」から「図3」までの手順 ▲4八飛 ▽4一飛 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲4六歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽6五歩 ▲7四歩 ▽同 金 ▲5三角成 ▽6六歩 ▲6八金引 ▽6五銀 ▲6三歩 ▽5二歩 「図3」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・v飛 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v歩 ・ ・v角 ・|二 | ・ ・v桂 歩 馬 ・ ・v歩 ・|三 | ・v歩v金 ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 |v歩 ・v歩v銀 ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ ・v歩 歩 銀 歩 ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・|七 | 香 銀 ・ 金 ・ 飛 ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=60 △5二歩 まで ▲4八飛と▽4四銀型では有効だった攻めに出ますが▽5四銀型は守備の態勢で且つ 此処まで万全に準備をされると、単に▲4六歩と行く手には▽同歩 ▲同銀に▽6五歩で 先手が不利となるので▲7五歩と後手の玉頭を絡めますが飛車も角も当たりを避けた 後手陣には「図3」まで先手の攻めは完封同然となります。 「図2」から「図4」までの手順 ▲7八飛 ▽8三銀 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽7四歩 ▲7八飛 ▽7二金 ▲2八飛 ▽3三角 ▲5五歩 ▽同 銀 ▲5六銀 ▽6六銀 ▲4五桂 ▽同 飛 ▲同 銀 ▽6七銀成 ▲4四銀 ▽7六桂 「図4」 後手の持駒:金 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・v銀v桂v金v歩 ・v角v歩 ・|三 | ・v歩v歩v歩 ・ 銀v歩 ・v歩|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・v桂 ・ ・ ・ 歩 角 歩|六 | 歩 歩 ・v全 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:飛 歩二 手数=64 △7六桂 まで ▲4八飛と4筋からの攻めには▽5四銀型の守備力が功を奏し攻めを封じられたので もう一つの攻め筋として▲7八飛から7筋の歩交換を狙う手段に出ますが2六の角が 飛車先を塞いでいるので、▽3三角にすぐに▲3五歩と行けず▲5五歩と中央から攻めに 出ますが「図4」まで後手の攻め合い勝ちの形勢となります。 |
本章では引き続き後手の▽5四銀型に対する攻防をご紹介します。 「図1」までの手順 ▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀 ▲5六歩 ▽5二金左 ▲5八金右 ▽6四歩 ▲5七銀 ▽7四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽4三銀 ▲6六歩 ▽7三桂 ▲6七金 ▽7一玉 ▲8八玉 ▽4五歩 ▲9八香 ▽5四銀 ▲9九玉 ▽8二玉 ▲8八銀 ▽6三金 ▲7九金 ▽9四歩 ▲5九角 ▽8四歩 ▲3七角 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 歩 角 ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=39 ▲3七角 まで ▲2六角と角を展開させる手は形によっては有効ですが、四間飛車側に最善形で待たれると ▽5四銀型では無理な場合が多いので▲3七角と此方に転回する策で対抗します。 「図1」から「図2」までの手順 ▽9五歩 ▲7八飛 ▽2二飛 ▲5五歩 ▽4三銀 ▲5六銀 ▽2四歩 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲4八角 ▽2五歩 ▲3七桂 「図2」 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・ ・v桂v金v歩v銀v角 ・v歩|三 | ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 |v歩 ・v歩v歩 歩v歩 ・v歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 金 ・ 歩 桂 ・ 歩|七 | 香 銀 飛 ・ ・ 角 ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=53 ▲3七桂 まで ▽9五歩と突き越す手には▲7八飛で7筋の歩交換を図るのが有効です。 対して▽2二飛と飛車先逆襲でそれを牽制しようとしますが、▲5五歩から▲5六銀が ▲3七角と引いた効果で、5筋から盛り上がり駒を捌いた「図2」では玉に近い所を 攻めている先手が指し易い形勢です。 「図1」から「図3」までの手順 ▽8三銀 ▲7八飛 ▽2二飛 ▲5五歩 ▽同 銀 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽5四歩 「図3」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 | ・v銀v桂v金 ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ 飛 ・v銀v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 歩 角 ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=48 △5四歩 まで ▽9五歩と端を突き越していると▲7八飛で歩交換を狙われるので、この場合は▽8三銀で 銀冠を急ぐ方が正着になります。「図2」までと同じく歩交換から▲5五歩と突きますが 今度は先に▽8三銀で玉頭の守備が一手早い為、▽同銀と取る事が出来▽5四歩と受けられた 「図3」は先手居飛穴側の失敗です。 「図1」から「図4」までの手順 ▽8三銀 ▲9六歩 ▽7二金 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲6八銀 ▽6五歩 ▲5七銀 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽6六歩 ▲同 銀 ▽3五歩 ▲2六飛 ▽6五銀 ▲同 銀 ▽同 桂 ▲4五歩 ▽6四歩 ▲6六歩 ▽5八銀 ▲6五歩 ▽6七銀成 ▲6四歩 ▽7三金寄 ▲6五桂 ▽7八金 ▲7三桂成 ▽同 玉 ▲4四銀 「図4」 後手の持駒:桂 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v金 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v銀v玉 ・v歩 ・v角v歩 ・|三 |v歩v歩v歩 歩 ・ 銀 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ 歩v歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 飛 歩|六 | ・ 歩 ・v全 ・ ・ 角 ・ ・|七 | 香 銀v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:金 歩二 手数=69 ▲4四銀 まで この局面の▽8三銀には▲9六歩と端を受け間合いを図るのが正解です。そして▲3七角型で ▽4六歩を受けているので▲6八銀と穴熊の組み替えを狙う事が出きるのがこの形の特徴です。 更に固められては面倒なので6筋が薄くなった瞬間に仕掛けますがこれは無理筋で必死の 総攻撃を掛けるも「図4」の局面は穴熊側の攻め合い勝ちです。 |
本章でも引き続き後手▽5四銀型の攻防を解説します。 「図1」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v金v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 金 銀 歩 角 ・ 歩|七 | 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=39 ▲3七角 まで 「図1」は前章「図1」と同一局面、先手が▲3七角と展開した所です。 「図1」から「図2」までの手順 ▽8三銀 ▲9六歩 ▽7二金 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲6八銀 ▽1二香 ▲7八金 ▽4一飛 「図2」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・v飛 ・v桂 ・|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・v銀v桂v金v歩 ・v角v歩 ・|三 |v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 角 ・ ・|七 | 香 銀 金 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=48 △4一飛 まで ▲6八銀と6筋の守備から銀が離れた瞬間に攻めるのは前章「図4」までのように不利と なるので後手も▽1二香と手待ちします。手詰まりで千日手になるのは後手としては 別に問題は無いので無理な動きを避けます。▲7八金と穴熊の再構築をしますがこの手で ▲7七金とするのは透かさず▽6五歩と前章「図4」の仕掛けを狙われ▽6五桂と駒を 取った手が7七の金取りに当たり攻めが成立してしまいます。後手が▽4一飛と待機して 「図2」となります。 「図2」から「図3」までの手順 ▲7九銀右 ▽4二飛 ▲3八飛 ▽2二角 ▲2八角 ▽1三角 ▲5五歩 ▽4六歩 ▲5四歩 ▽4七歩成 ▲5三歩成 ▽同 金 ▲1七角 ▽6三金寄 ▲2八飛 ▽5七と 「図3」 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v金 ・ ・v飛 ・ ・v香|二 | ・v銀v桂v金 ・ ・ ・v歩v角|三 |v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 金vと ・ ・ ・ 角|七 | 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 歩 手数=64 △5七と まで ▲7九銀右と松尾流穴熊に組み替えますが、この形では局面の打開が難しくなり ▲3八飛から仕掛けを狙い打開しようとしますが▽2二角から▽1三角と端に覗かれ ▲5五歩にも強く▽4六歩と攻め合われ「図3」では先手が不利な形勢です。 「図2」から「図4」までの手順 ▲7七銀右 ▽4二飛 ▲8六歩 ▽4一飛 ▲8七銀 ▽4二飛 ▲5八飛 ▽4一飛 ▲5五歩 ▽4三銀 ▲5六金 「図4」 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・v飛 ・v桂 ・|一 | ・v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・v香|二 | ・v銀v桂v金v歩v銀v角v歩 ・|三 |v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 金 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 銀 銀 ・ ・ 歩 角 ・ ・|七 | 香 ・ 金 ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=59 ▲5六金 まで 組めれば高い勝率が約束されると言われる松尾流穴熊ですが、この形では意外に打開が 難しく逆方向に▲7七銀と上がる手が上部に厚く有効になります。▲5五歩から▲5六金と 中央を制圧した「図4」の局面は先手が作戦勝ちです。 ここまで紹介した以外にも居飛車穴熊と四間飛車の対抗型は数多く有りますが 今回は▲3六歩と早い時期に角頭攻めを見せ▽6二玉と上がらせての穴熊と言う 手順での戦型紹介としたので、▽3二銀と銀が上がらずに待機する手段等は また別な機会と言う事でこれで一応の締めとします。しかしプロ間では少なくなった 角道を止める四間飛車ですがアマチュア間では未だ人気が有り、ここで紹介した 戦型でも四間飛車側が先手だと大きく事情が変わりますし、藤井システムも新型が 出て来たりで定跡も日々進化し続けています。 |