前章の木村定跡によって▲7九玉、▽3一玉型の先後同型が指されるように
なったのですが、これも升田幸三実力制第四代名人の創案した、現在でも
この形の仕掛けの骨子となっている攻め筋で、やや先手に分が有るのでは
と言うのが第一次隆盛期の当時では定説となり、後手側が徹底的に防御に
回る方策がとられるようになったのです
「図1」
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角
手数=14 ▽3三銀(22) まで
「図1」は(角換りパターン1)です
「図1」から「図2」までの手順
▲3八銀 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩
▲4六歩 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6三銀 ▲6六歩 ▽5二金
▲5八金 ▽4二玉 ▲6八玉 ▽5四銀 ▲5六銀 ▽3一玉
▲7九玉 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲3七桂 ▽4三金右
▲8八玉 ▽2二玉
「図2」
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・ ・ ・v歩v金v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角
手数=40 ▽2二玉(31) まで
「図2」の形が後手側の専守防衛の布陣です この陣形に先手が仕掛けるのは
難しく▲4八飛と回る手や▲2六角と打つ手などが試みられましたが
結果は思わしく無く 結局ここからは千日手になるしか無かったのです
後手が▽7三桂と跳ねれば▲5一角と打つ手などが有り、打開も可能ですが
この形のまま、▽4二金 ▽4三金を繰り返されると攻めるのは無理筋です
こうして角換りの第一期隆盛期は終わりを迎えました しかしそれから数十年
経った後 この専守防衛型を打破する手段が編み出されるのです
「図3」までの手順
▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽8五歩
▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽4二銀
「図3」
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v銀v金 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六
| 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角
手数=12 ▽4二銀(31) まで
「図3」は(角換りパターン2)の局面です そう、これこそが「図2」の
千日手を打開し、尚且つ角換り第二期隆盛期を棋界にもたらす事になるのです
「図3」から「図4」までの手順
▲3八銀 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩
▲4六歩 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6三銀 ▲5八金 ▽4一玉
▲6八玉 ▽5二金 ▲5六銀 ▽5四銀 ▲7九玉 ▽3一玉
▲6六歩 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲3七桂 ▽3三銀
▲4八飛 ▽4三金右 ▲8八玉
「図4」
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・v歩v金v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ 金 飛 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角
手数=39 ▲8八玉(79) まで
「図4」の局面が(角換りパターン2」から後手が専守防衛型を志向した場合の
基本図となります、ここからは次章で