前章までの森下システム同様、棋士の名前を冠した戦型として脇謙二八段が
体系づけ完成させた脇システムを御紹介します
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀
▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金
▲7八金 ▽4一玉 ▲6七金右 ▽7四歩 ▲6九玉 ▽5二金
▲7七銀 ▽4四歩 ▲3六歩 ▽3三銀 ▲7九角 ▽3一角
▲3七銀 ▽6四角 ▲4六角
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三
| ・v歩v歩v角v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 角 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 銀 歩 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=27 ▲4六角(79) まで
「図1」は矢倉3七銀型から、後手の▽6四角に対して▲4六角と出て角を
ぶつけた所ですが、この手が脇システムの骨子となる一手です
「図1」から「図2」までの手順
▽7三銀 ▲7九玉 ▽4三金右 ▲8八玉 ▽3一玉 ▲2六歩
▽2二玉 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩
▽1四歩
「図2」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・v銀v歩 ・v金v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v角v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 角 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 金 ・ 歩 銀 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=40 ▽1四歩(13) まで
互いに角を交換すると手損になるので、角が睨みあったまま駒組みが進んで
「図2」の局面が脇システムの基本図です ただし端の形は互いに突き越す
など、いろいろ変化が有ります
「図2」から「図3」までの手順
▲6四角 ▽同 銀 ▲2六銀 ▽6九角 ▲1五歩 ▽同 歩
▲同 銀 ▽同 香 ▲同 香 ▽4七角成 ▲1三歩 ▽同 桂
▲4一角 ▽6二飛 ▲6五歩 ▽5三銀 ▲3二角成 ▽同 飛
▲1九香 ▽1二歩 ▲1八飛 ▽4六角 ▲1三香成 ▽同 角
「図3」
後手の持駒:銀 香 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v玉v歩|二
| ・ ・ ・v歩v銀v金v銀v歩v角|三
|v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 銀 金 ・v馬 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 飛|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:金 桂
手数=64 ▽同 角(46) まで
角交換は手損になるのですが「図3」から▽6四角と角を交換して▽同銀に
▲2六銀と棒銀に出るのが脇システムの狙い筋です ▽6九角は後手の
有力手で 以下はプロの実戦を参考にした進行例です「図3」から一気に
後手玉を寄せ切ります
「図3」から「図4」までの手順
▲2四桂 ▽同 歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲1四歩 ▽2三歩
▲1三歩成 ▽同 歩 ▲4一角 ▽6二飛 ▲3二金 ▽1二玉
▲2八飛 ▽2五香 ▲同 飛 ▽同 銀 ▲2八香 ▽3六銀
▲4二金 ▽同 飛 ▲2三香成 ▽2一玉 ▲3三歩
「図4」
後手の持駒:飛 金 銀 桂 歩四
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ 角 ・v玉 ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・v歩v銀v金 歩 杏v歩|三
|v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v銀 ・ ・|六
| ・ 歩 銀 金 ・v馬 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=87 ▲3三歩打 まで
「図4」で先手必勝となります 手順中▲3二金に▽同飛ですと▲1三飛成
の大技が決まります このように脇システムは意外に強力な戦法なのです