対振り飛車の急戦策として”振り飛車には角交換を狙え”と格言で言われる
仕掛けが有ります これは13章駒組み編の仮想図「図3」のような
局面を実現するのが狙いの戦型です
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=24 ▽4三銀(32) まで
前章同様の「図1」から居飛車側が角交換を狙って▲4六歩と突いて行く
もう一つの有力急戦策を採った場合を解説します
この▲4六歩に▽5四歩のような手なら▲4五歩 ▽同歩 ▲3三角成
▽同桂 ▲2四歩 ▽同歩 ▲同飛と言う手順が狙い筋です
居飛車の成功例として「図2」に示しておきます
「図2」
後手の持駒:角 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・v銀v桂 ・v歩|三
|v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩 飛 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩
手数=33 ▲同 飛(28) まで
この「図2」は13章駒組み編の仮想図「図3」と ほとんど同一局面です
この後▽2二歩打でも▲3一角打で2筋突破となり先手優勢です
ただし▲4五歩に▽同歩と取らずに▽6四歩と手待ちする手が有り
それはそれで難解な将棋となりますが 今回はこれとは別の手段を解説します
「図1」から「図3」までの手順
▲4六歩 ▽5四銀 ▲3七桂 ▽6五銀 ▲4五歩 ▽7六銀
▲2四歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 角 ▲同 角 ▽同 飛
▲7七歩 ▽8七銀成 ▲同 玉 ▽8四飛 ▲8六銀 ▽6四角
▲9七角 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽9六歩 ▲同 玉 ▽8六角
▲同 角 ▽8五銀 ▲8七玉 ▽8六銀 ▲7八玉 ▽8七銀成
「図3」
後手の持駒:角 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩|三
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・|四
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・v全 歩 歩 銀 ・ 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩二
手数=54 ▽8七銀成(86) まで
▽5四銀で▲4五歩を防ぎ ▲3七桂と先手が戦力を増強して来た時に
▽6五銀と進出して行きます これを"玉頭銀(ぎょくとうぎん)”と呼び
振り飛車が時によって採用する手段です 以下予定通りに先手が角交換を
狙って行きますが ▽8七銀成から飛車を8筋に転回して「図3」まで
後手必勝の局面となりました
前章も含めて振り飛車の場合 攻めると言うより駒を効率良く交換したり
働きの良い場所に持って行くような指し方をします
これを”駒を捌く(さばく)”と言います またこの捌くと言う性格上
振り飛車の陣形は3大原則の3 攻めは飛角銀桂と言う理想形には序盤で
なりにくいですが 逆に飛車側の桂香が捌ければ優勢となる事が多いのです
以上、本格戦法の駒組みを6回にわたり解説しました 初心者の方には
少し難しかったかと思いますが これから順次見て頂く戦法も基本的には
この2戦法のように 駒組みの3大原則に従って指し進めて行く物なので
解説する一手一手が何を目指しているのかが 理解しやすくなると思い
この時点で解説いたしました ですから今の段階では、何となく分かった
と言う程度で構わないと思います 次章からまた、いろいろな戦法の
成功局面を分かりやすく御紹介して行きますので御期待ください