本章では相手が自然な手を重ねているにも関らず、いつのまにかその相手を斬ってしまう、
と言う対四間飛車”かまいたち戦法”を御紹介します。これは47章の19手定跡と同じく
アマ強豪の鈴木英春氏創案の戦法です。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲4八銀 ▽4四歩 ▲5六歩 ▽4二飛
▲6八玉 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀
▲5七銀
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉v金 ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀v角 ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=13 ▲5七銀(48) まで
19手定跡と同じく飛車先を突かずに▲4八銀と上がるのが英春流です。
後手が4手目▽8四歩と突いて来た場合は、その19手定跡の進行で
相居飛車型の別な将棋となります。7八まで玉を移動して▲5七銀と上がった
「図1」が、かまいたちへの基本図です。
「図1」から「図2」までの手順
▽4三銀 ▲5五歩 ▽6二玉 ▲5六銀 ▽5二金左 ▲6五銀
▽7一玉 ▲5八飛
「図2」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・v角 ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ 銀 歩 ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 玉 ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=21 ▲5八飛(28) まで
前章までの5筋位取りと同様に▲5五歩と突きますが、そこから▲6五銀と出て
▲5八飛と中飛車に振るのが、かまいたち戦法の骨子です。ここから▲5四歩と
すぐに突いて行くのも有力ですが、本来の英春流かまいたちとは違って来るので
今回は、この戦法独自の闘い方の方を御紹介する事に致します
「図2」から「図3」までの手順
▽8二玉 ▲5六飛 ▽3五歩 ▲2六飛 ▽3四銀 ▲5四歩
▽同 歩 ▲同 銀 ▽5三歩 ▲6五銀 ▽3三角 ▲7五歩
▽2四歩 ▲7六飛
「図3」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v角 ・v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩v銀v歩 ・|四
| ・ ・ 歩 銀 ・ ・v歩 ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=35 ▲7六飛(26) まで
▲5六飛と中断に浮くのが、この戦法独特の飛車捌きとなります。この手に対し
後手が▽3五歩と突き、次に▽3ニ飛を狙う手には▲2六飛と回り▽3四銀の形を
強要し5筋の歩を交換してから▲7六飛と転回します。こうして以下▲7四歩から
▲5五角を狙い先手有利となります。飛車先を突いていない効果で▲2六飛と
回る手がいつでも有る為、後手側はこれに注意して駒組みしなければならないのです
「図2」から「図4」までの手順
▽4五歩 ▲5六飛 ▽3三角 ▲6八銀 ▽4四銀 ▲5七銀
▽8二玉 ▲5八金右 ▽2四歩 ▲6八金寄 ▽2五歩 ▲7七角
▽2二飛 ▲6六銀
「図4」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v角 ・v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ 銀 歩v歩 ・v歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 銀 飛 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 角 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=35 ▲6六銀(57) まで
先手の右翼側の駒が遅れているので、後手は▽4五歩から▽4四銀と位を取り、▽2五歩と
伸ばしてから▽2ニ飛と回ります。先手はその間▲6六銀まで左翼に駒を集め、「図4」と
なった、この局面はまだ何も駒もぶつかっていませんし、後手側にも2筋からの攻撃が有り、
これからの将棋に見えますが、実は既に後手は、先手のかまいたちに斬られているのです。
何故なのか、それは次章で見て頂きましょう