若 葉 亭
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タイトル 【戦法図鑑】181 鳥刺し戦法[1]
投稿日: 2008/06/21(Sat) 14:44
投稿者千鳥銀

本章では対四間飛車の有力作戦として前章のかまいたちとは逆に、今度は角道を
開けないで闘う鳥刺し戦法を御紹介します。この戦法も同様に相手が振り飛車の
時にしか使えない変幻作戦です。

「図1」までの手順

▲4八銀    ▽3四歩    ▲5六歩    ▽3二銀    ▲2六歩    ▽4四歩
▲2五歩    ▽3三角    ▲6八銀    ▽4二飛    ▲5七銀左  ▽6二玉
▲6八玉    ▽7二銀    ▲7八玉    ▽7一玉    ▲3六歩

「図1」

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v玉v金 ・v金 ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀 ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 角 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=17  ▲3六歩(37)  まで

初手いきなり▲4八銀から入るのは、後手が▽8四歩と居飛車に来た場合の対処です。
▲4八銀〜▲2六歩までの手に対し、後手から▽8四歩とされたらその時点で、常に
▲7六歩と角道を開け相居飛車型に対応するようにします。▽4四歩には▲2五歩と突き
▽3三角と受けるか▽3三銀と受けるかを見て、▽3三銀なら▲7六歩で、やはり普通に
矢倉などを目指します。次の▲6八銀も同様に▽8四歩なら▲7六歩から▲7七銀として
8筋を受ける為の警戒手です。後手が▽4四歩の所で▽4ニ飛と先に振って来たら、
▲2五歩 ▽3三角とした後▲6八玉でも問題は無くなります。こうして完全に相手が
振り飛車である事を見届けてから本戦法は採用しないと、思った以上に指し難くして
しまうので、冒頭から詳しく解説致しました。

▲3六歩と突き、「図1」となった局面は未完成の▲5七銀左型に見えますが、なんと
鳥刺し戦法はこれで攻撃準備完了なのです。「図1」までの手順中もう1つ注意する事は
途中で後手から▽9四歩と突かれても▲9六歩と端を受けてはいけないと言う事です。
上部が塞がっているので、中終盤で端から攻められると形勢を損じる可能性が高いからです。

「図1」から「図2」までの手順

▽8ニ玉    ▲3五歩    ▽同 歩    ▲4六銀    ▽3六歩    ▲3五銀
▽4五歩    ▲7九角    ▽4三銀    ▲2四歩    ▽同 歩    ▲同 銀
▽4四角    ▲3五銀

「図2」

後手の持駒:歩二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v銀 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 銀 ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・v歩 ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 角 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩 
手数=31  ▲3五銀(24)  まで

「図1」で▽8ニ玉とするのは、普通は対居飛車急戦の備えとして当然の手なのですが、
この局面では拙いのです。▲3五歩とナナメ棒銀を仕掛けられると、一見中途半端な
未完成型に見えた4九のままの金と、開けられていない角道が四間飛車側の▽3六歩
突き越しの常套手段による捌きを完全に封じてしまい、「図2」では先手勝勢と言っても
良い局面となります。▲7九角と引き角にしてナナメ棒銀を後方からサポートする形が
昔の鳥刺しの姿に似ている所から命名された戦法です

「図1」から「図3」までの手順

▽8ニ玉    ▲3五歩    ▽4三銀    ▲3八飛    ▽3五歩    ▲4六銀
▽3四銀    ▲7九角    ▽4五歩    ▲3五銀    ▽同 銀    ▲同 角
▽5二金左  ▲3四歩    ▽4四角    ▲同 角    ▽同 飛    ▲2二角
▽5四飛    ▲5九金右  ▽5六飛    ▲3三歩成  ▽2六飛    ▲4二と
▽同 金    ▲3一飛成  ▽5二金寄  ▲3七桂

「図3」

後手の持駒:角 銀 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ 龍v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ 角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|六
| 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 金 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 
手数=45  ▲3七桂(29)  まで

▲3五歩に▽同歩と取るのは、そのあと捌く事が出来ないので▽4三銀と角頭を守りますが、
これには▲3八飛と回り▽3五歩に▲4六銀、▽3四銀に▲7九角と引いてから以下
銀交換で「図3」まで、やはり先手が指し易い形勢です。手順中で▲5九金右と金を寄せて
おくのが好手で、後手からの▽2七角打ちに備え、飛車成りにも非常に強い形となります。
「図1」で▽8ニ玉と上がるのは▲3五歩と仕掛けた時点で先手有利と言えます

「図1」から「図4」までの手順

▽4五歩    ▲3七桂    ▽8ニ玉    ▲7九角    ▽5二金左  ▲6六銀
▽4一飛    ▲2四歩    ▽同 歩    ▲同 角    ▽4四角    ▲5五銀
▽2三歩    ▲4四銀    ▽2四歩    ▲2二角

「図4」

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v飛 ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・v銀 角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ 銀v歩v歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩 
手数=33  ▲2二角打  まで

四間飛車側から▽4五歩と早目に突いて、居飛車の急戦策を封じるのも今まで
度々出てきた有力手段ですが、これにはまず▲3七桂として後手の▽4三銀を
▲4五桂を見せて封じておくのが好手で、この迎撃手も不発に終わります。
引き角に対して▽2ニ飛と言う対抗手段が執れない後手は▽4一飛、▽4四角と
軽く受け流そうとしますが、以下「図4」まで先手の指し易い形勢となります

鳥刺し戦法には軽い捌きで対抗する手段は通用しないのです。次章では後手が
事前に守備を固める変化を解説します


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