前章に引き続き、左美濃に対する藤井システムの変化を見て頂きます。
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v桂 ・v歩v銀v角v歩v歩|三
|v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 玉 銀 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 角 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=32 ▽4三銀 まで
「図1」は前章「図3」と同一局面、先手の引き角に▽4三銀と上がった所です
「図1」から「図2」までの手順
▲3六歩 ▽8四歩 ▲3七桂 ▽5四銀 ▲2四歩 ▽同 歩
▲5五歩 ▽6三銀引 ▲5七金 ▽5五角 ▲2四飛 ▽3七角成
▲2一飛成 ▽5五馬 ▲3一龍 ▽8五歩 ▲同 歩 ▽同 桂
▲8八銀 ▽8六歩 ▲同 玉 ▽6四馬 ▲8七玉 ▽8六歩
▲9八玉 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽1九馬
「図2」
後手の持駒:桂 香 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ 龍 ・v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・ ・v歩|三
| ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| 歩v桂 ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・|五
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| ・ ・ ・ 歩 金 歩 ・ ・ 歩|七
| 玉 銀 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 角 金 ・ ・ ・ ・v馬|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 歩四
手数=60 ▽1九馬 まで
▲3七桂で▽5四銀を誘い、▲5五歩と突いて▽同銀なら飛車先交換から2枚換えを狙う手も
有りますが、▽6三銀と手順に引いて固め、以下やはり前章「図4」と同様の玉頭攻めが
炸裂して「図2」まで後手が優勢となります。手順中▽5五馬と絶好の場所に引いて、次に
▽2ニ馬で龍を殺す手を見せ、それを▲3一龍と避けた時に▽8五歩と突くのが好手順です。
この図までを187章の「図4」までと比べて頂くと、その違いが良く分かると思います。
「図1」から「図3」までの手順
▲3六歩 ▽8四歩 ▲9八玉 ▽5四銀 ▲8七銀 ▽6三銀引
▲7八金 ▽8二玉 ▲5七角 ▽5四歩 ▲8四角 ▽5五歩
▲2四歩 ▽同 歩 ▲5五歩 ▽同 角 ▲2四飛 ▽2二歩
▲2三歩 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽同 角
「図3」
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金v飛 ・v歩 ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・ ・ ・ 歩v歩|三
|v歩 角v歩 ・ ・ ・v歩 飛 ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 歩 歩 ・ ・v角 歩 ・ ・|六
| ・ 銀 銀 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七
| 玉 ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩三
手数=54 ▽4六同角 まで
「図1」ですぐに攻めると、途中で▽8五歩から玉頭に反撃を加えられて、先手が思わしく
無いと言う事で、▲9八玉と引いて米長玉から上部を固めて玉頭の脅威から逃れる手は
当然考えられますが、この時に▽6五歩、▽4五歩の二つの位が▲6七金からの理想形を
見事に阻止しています。「図3」までは進行の一例ですが、▲5七角で8四の歩を狙った
手に対し後手が▽5五歩と弱い先手の5筋に向かい、以下互いに、飛車角を捌きますが、
玉形も後手の方が連係が良く、▽8五歩からの玉頭攻めも依然として残り、先手が不利の
局面となります。
「図1」から「図4」までの手順
▲5七角 ▽5四銀 ▲3六歩 ▽6三銀引 ▲2四歩 ▽同 歩
▲3五歩 ▽4四飛 ▲3八飛 ▽3五歩 ▲同 角 ▽5四飛
▲3四歩 ▽2二角 ▲2四角 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽7六歩
▲8八銀 ▽8四歩 ▲1五角 ▽8五歩 ▲3三歩成 ▽8六歩
▲同 玉 ▽3三角 ▲同角成 ▽同 桂 ▲同飛成 ▽9五歩
▲同 歩 ▽8四飛
「図4」
後手の持駒:角 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀v歩 ・ 龍 ・v歩|三
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| 歩 ・ 歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・|五
| ・ 玉v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 桂 歩四
手数=64 ▽8四飛 まで
▽8四歩と突かれる手その物を防いで、玉頭攻めを回避すると言う意味で「図1」ですぐに
▲5七角とする手が有ります。これにも▽5四銀から▽6三銀引とダイヤモンド美濃に銀を
繰り替えておくのが最善です。以下▲2四歩からは変化の一例ですが、この藤井システムの
威力をはっきりと認識させるのが「図4」です。2、3筋を軽く受けて飛車を▽5四に浮き、
左翼で手に入れた歩を使って▽7五歩からの玉頭攻めが、見事に決まり後手勝勢の局面です。
▽7一玉で戦いに入る形は、以前から有りましたが、序盤から先手の▲8七玉をターゲットに
して駒組みを進めて行くと言うのが、今までに無い構想なのです。この藤井九段の新戦法は
4枚美濃を容易に組めなくさせた事で、今まで振り飛車の脅威であったこの戦型に大打撃を
与えたのです。そこで居飛車側は藤井システムの中途半端な▽7一玉形を咎めて、早い時期に
後手の左翼へ速攻する手段に出るのです。