縦歩取り戦法は別名”ひねり飛車”と呼ばれ 今はこちらの方が一般的に
なっていますが ひねり飛車は縦歩取り以外の形からでも出来るので
この章では縦歩取りとして解説します
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=16 ▽3三金(32) まで
「図1」は前章「図3」と同一局面です ここまでの手順は前章を見て下さい
序盤の形1相掛りの出だしから 先手が飛車を2六に引き後手の飛車先を
切らせないようにするのは先手の利を生かした”浮き飛車”と言う構えです
飛車先を切れない後手は▽6二銀と上がります 今は7二に上がる方が
多いのですが 今回はこちらに上がる形で解説します
そして▽3四歩と後手が角道を開けた時 その歩を取りに▲3六飛と寄るのが
縦歩取りと言う名前の由来です ▽3三金と受けられ、大して効果が
無いように見えますが 実は歩を取ると言うのは真の目的では無いのです
また▽3三金のところ▽8四飛と飛車で受けるのは▲2七銀から銀を棒銀風に
繰り出して行けば 7筋から4筋までの歩も突けず飛車の動きも不自由で
先手の指しやすい形勢となります
「図1」から「図2」までの手順
▲9六歩 ▽4二玉 ▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛
▲7五歩
「図2」
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・v玉 ・v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩v飛 ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六
| ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩二
手数=23 ▲7五歩(76) まで
▲9六歩と端歩を突いてから▲7六歩と角道を開きます この後▲7七角と
されると後手は飛車先を切れなくなるので▽8六歩と突いてきます
そして▲同歩 ▽同飛の瞬間に▲7五歩 これが縦歩取りの第一の狙いです
つまり▲3六飛として飛車に紐をつけておき 飛車交換を迫る訳です
「図2」から「図3」までの手順
▽8二飛 ▲7七桂 ▽3二玉 ▲4八玉 ▽4二銀 ▲9七角
「図3」
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・v銀v玉v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六
| 角 ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八
| 香 ・ 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩二
手数=29 ▲9七角(88) まで
この形での飛車交換は 先手陣に飛車を打ち込む隙が無いのに比べて
後手の陣形は隙が出来易く損となります この辺りは振り飛車対居飛車の
急戦型での飛車交換と同様です 後手は仕方なく▽8二飛と深く引きますが
そこで▲7七桂と跳ねるのが縦歩取りの 次のポイントとなる一手です
この時に9六の端歩が突いて無いと▽8七歩と打たれ、角か金を取られる事に
なりますので気をつけて下さい
また▲7七桂の時に▽8六歩として次の▽8七歩成を狙って来るのは
▲8五歩と打ってから▲8六飛と歩を取ってしまえば 後手は歩切れで8筋が
受からず先手の勝勢となります
そして、あっと驚く▲9七角 この「図3」で▽8九飛成と飛車を成られて
しまうのでは そう思われている方もいると思いますが
しかし、これが縦歩取りの次なる狙いなのです 以下は次章で