若 葉 亭
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タイトル 【戦法図鑑】25 縦歩取り戦法[3]
投稿日: 2005/03/03(Thu) 15:16
投稿者千鳥銀

後手が角道を開けた3四の歩を▲3六飛と取りに行くと言う一見した所
何の意味も無いように見える一手から 思いもよらない展開となって行く
縦歩取り戦法の手順中でも 初めて見た時には誰もが驚くのが
前章「図3」の▲9七角だと思います

「図1」
後手の持駒:歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・v銀v玉v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六
| 角 ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ 玉 銀 ・ ・|八
| 香 ・ 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩二 
手数=29  ▲9七角(88)  まで

「図1」は前章の「図3」と同一局面です ここまでの手順は
23章と24章を見て下さい
この局面では当然ながら▽8九飛成と飛車を成る手が見える筈です
それでは後手が飛車を成った場合はどうなるか

「図1」から「図2」までの手順

▽8九飛成  ▲8八角    ▽7二金    ▲8六飛    ▽8三歩    ▲6八金
▽4四歩  ▲5九金    ▽4三金    ▲7八銀    ▽8八龍    ▲同 飛

「図2」
後手の持駒:角 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v金v銀 ・v銀v玉v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v金 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 飛 銀 金 ・ 玉 銀 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:飛 歩二 
手数=41  ▲同 飛(86)  まで

▽8九飛成に▲8八角と戻すと後手の龍は動けなくなっています
次に▲8六飛と回られると ▲8一飛成が受からなくなるので
▽7二金として▲8六飛に▽8三歩と受けますが 以下龍を殺し飛車角の交換
となった「図2」では先手の優勢な局面です 手順中▲5九金が大事な一手で
これを怠ると「図2」まで来た時に▽7九角と飛金両取りに打たれ
▲8九銀の一手となり ▽8八角成 ▲同銀と飛車を取り返されてしまいます
このように飛成りを誘うと言うのが 縦歩取り側の罠だった訳です

「図1」から「図3」までの手順

▽6四歩  ▲8六飛    ▽8四歩    ▲3九玉    ▽6三銀    ▲7六飛    
▽7二金  ▲6六歩    ▽4四歩    ▲6五歩    ▽同 歩    ▲6四歩    
▽同 銀  ▲7四歩    ▽6三金    ▲6四角    ▽同 金    ▲7三歩成

「図3」
後手の持駒:角 歩二 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v銀v玉v角 ・|二
|v歩 ・ と ・v歩 ・v金v歩v歩|三
| ・v歩 ・v金 ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ 桂 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 ・ 銀 ・ ・ 金 玉 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 歩二 
手数=47  ▲7三歩成(74)  まで
</font>
後手が罠に気づけば飛車を成って来ませんが それも予定のうちで
▲8六飛と後手の飛車にぶつけます これこそが縦歩取りの本当の狙いです
飛車が2四〜2六〜8六と飛車を、ねじるように転回させる事から”ひねり飛車”
と呼ばれる事が多いのです ただ縦歩取りの▲3六飛を省略して飛車を左辺に
持って行くひねり飛車も有るので 今回は縦歩取りとして解説しています

後手はここでも飛車交換は不利となるので受けますが ▽8五歩と打つのは
▲同飛と取られてしまうので ▽8四歩とするしか有りません

玉を3九に持って行き▲7六飛と7筋に回った先手の形は石田流に似た戦型と
なりますが 二歩を持駒にしているのと、8筋と2筋の歩が切れている点が
違っています 対して後手の▽6三銀▽7二金は共に、この形の定番の守備です
以下は、その持ち歩を使った攻めの一例です

▲6四歩を▽同銀と取ると「図3」まで先手の勝勢となるので▽5四銀とかわし
▲7四歩 ▽同歩 ▲同飛と7筋の歩を切る将棋になると思いますが
いずれにしろ後手側としては 先手にこんなに気持ち良く指されたのでは
面白くありません そこで陣形に改良を加えてきます
次章では その改良陣形に対する本格的縦歩取りを見て頂く事にします


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