本章では四間飛車側の▽4四銀型に対し▲2六角と出る手に早目に備える攻防を紹介します
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v桂v金v銀 ・v角v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 角 歩|六
| 歩 歩 ・ 金 銀 歩 ・ ・ ・|七
| 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=42 △5三銀 まで
「図1」は前章「図3」の局面の後手が▽9五歩と先手の穴熊側の端を
突き越した手に変えて、▽5三銀と先手の▲4八飛に一手早く備えた局面です。
「図1」から「図2」までの手順
▲7八飛 ▽4四角 ▲5九角 ▽8四歩 ▲7五歩 ▽同 歩
▲同 飛 ▽8三銀 ▲7八飛 ▽7二金 ▲2八飛 ▽3三角
▲3五歩 ▽3二飛 ▲3七桂 ▽4四銀 ▲4六歩 ▽3五銀
▲4五桂 ▽4二角 ▲3八飛 ▽7四歩 ▲5五歩 ▽同 歩
▲5四歩 ▽同 金 ▲3五飛 ▽同 歩 ▲4三銀
「図2」
後手の持駒:飛 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v金 ・ ・v角v飛 ・ ・|二
| ・v銀v桂 ・ ・ 銀 ・v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩v金 ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・v歩 桂v歩 歩 ・|五
| ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 ・ 金 銀 ・ ・ ・ ・|七
| 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 金 ・ 角 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=71 ▲4三銀 まで
▽5三銀と待機されると▲4八飛には、すかさず▽4四角とぶつけられて▲同角には
▽同銀 ▲2八飛 ▽3三銀と受けられ局面は膠着状態の千日手模様となり先手としては
面白く有りません。飛車を7筋に展開して▲7五歩を狙うのが、この形の常套手段で
歩を交換した後▲2八飛と2筋に飛車を戻し、▽3三角に▲3五歩と突くこれが
居飛車穴熊特有の狙いとなります。▽3二飛の備えに▲3七桂と戦力を増強して
▲3八飛とし▽4四歩に▲3六歩で銀を殺す手を用意します。以下▽7四歩と桂打ちの
キズを消すような手なら「図2」まで先手優勢となります。
「図1」から「図3」までの手順
▲7八飛 ▽4四角 ▲5九角 ▽2二飛 ▲7五歩 ▽同 歩
▲同 飛 ▽7四歩 ▲4五飛 ▽2四歩 ▲8六角 ▽2五歩
▲6五歩 ▽同 桂 ▲6六銀 ▽同 角 ▲同 金 ▽4四歩
▲2三歩
「図3」
後手の持駒:銀 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩 ・v金v銀 ・ ・ 歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・v桂 ・ 飛 ・v歩 ・|五
| ・ 角 ・ 金 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・|七
| 香 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩
手数=61 ▲2三歩 まで
▽8四歩と7筋に備えるのは、居飛穴側に攻め続けられる事になり四間飛車側が守勢に
なり易いので▽4四角 ▲5九角としてから▽2二飛と攻勢に出る手も有ります。
しかし▲7五歩から▲4五飛と横に飛車を捌いて以下「図3」まで、変化は有りますが
2筋からの反撃は思わしい結果になりません。「図3」で▽同飛なら▲4一角打ちです。
「図4」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛
▲6八玉 ▽9四歩 ▲7八玉 ▽7二銀 ▲5六歩 ▽3二銀
▲5八金右 ▽5二金左 ▲5七銀 ▽6四歩 ▲2五歩 ▽3三角
▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽7四歩 ▲6六歩 ▽7一玉
▲6七金 ▽4三銀 ▲8八玉 ▽7三桂 ▲9八香 ▽4五歩
▲9九玉 ▽4四銀 ▲8八銀 ▽5四歩 ▲7八金 ▽6三金
▲6八銀 ▽8二玉 ▲7九銀右
「図4」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v桂v金 ・ ・v角v歩v歩|三
|v歩 ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 金 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=39 ▲7九銀右 まで
今までは穴熊側が右金を▲7九金と寄せる攻防をを紹介しましたが、当然相手が
藤井システムなど急戦を仕掛けて来そうな局面では▲7八金と金を締まって闘いに
備える形も多くなり、その場合は▲7八飛から▲7五歩と歩交換する手段は無くなります。
しかし今度は別な狙いが生じます。「図4」の囲いが従来の4枚穴熊を封じられた形での
対策で松尾歩八段創案の松尾流穴熊です。
「図4」から「図5」までの手順
▽9五歩 ▲6八角 ▽2二飛 ▲1六歩 ▽5五歩 ▲2四歩
▽同 歩 ▲3七桂 ▽5六歩 ▲同 金 ▽9六歩 ▲同 歩
▽9七歩 ▲同 香 ▽8五桂 ▲6五歩 ▽同 歩 ▲6四歩
▽9七桂成 ▲同 桂 ▽6四金 ▲8六角
「図5」
後手の持駒:香 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩 ・ ・ ・ ・v角 ・v歩|三
| ・ ・v歩v金 ・v銀v歩v歩 ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・|五
| 歩 角 歩 ・ 金 ・ 歩 ・ 歩|六
| 桂 歩 ・ ・ ・ 歩 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 歩二
手数=61 ▲8六角 まで
実は「図4」の松尾流穴熊に組めれば勝率8割と言われていて既に作戦勝ちと言えます。
▲6八角で2二飛を強要し、▲1六歩と端歩を突き▽1五角を消してから▲3七桂と桂を
活用して▽5六歩に▲同金と後手の手に乗って攻撃形を作り、以下後手も▽9六歩から
▽8五桂と穴熊の玉頭を反撃しますが「図5」まで居飛車穴熊側が指し易い局面です。