本章では、先手が藤井システムに対して153章と154章で解説した▲5七銀右型
3八飛戦法と類似した攻めに出る変化を御紹介します
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二
| ・v歩v桂 ・v歩 ・v角v歩v歩|三
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 玉 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=26 ▽3三角 まで
「図1」は189章「図2」と同一局面、対左美濃の藤井システム基本形です
「図1」から「図2」までの手順
▲3六歩 ▽8四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽3六歩
▲2六飛 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 銀 ▲3五銀 ▽3七歩成
▲同 桂 ▽3四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽4四角
▲3三銀成 ▽同 桂 ▲2一飛成 ▽9九角成 ▲8八銀 ▽9八銀
▲9七玉 ▽8九馬 ▲同 銀 ▽同銀成
「図2」
後手の持駒:銀 桂 香 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・ 龍v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩 ・v桂 ・v歩|三
|v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五
| 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 玉 ・ ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| ・ 銀 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| ・v全 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角二 歩二
手数=54 ▽8九同銀成 まで
「図1」で▲3六歩 ▽8四歩に▲3五歩と▲5七銀右型ナナメ棒銀に出る手は通常の
居飛車急戦から比べて遥かに固い左美濃なので、188章の▲4六銀型同様、有力では
有りますが、この場合は「図2」まで流石に無理な仕掛けとなります。手順中での
▽9一角成は寧ろ通常の船囲いなら▲8八銀と打って、局面によっては必ずしも先手が
不利になるとは限らないのですが、この場合は天守閣型美濃が逆に仇となり▲8八銀に
▽9八銀と打たれて先手不利となってしまいます。
「図1」から「図3」までの手順
▲3六歩 ▽8四歩 ▲3八飛
「図3」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩 ・v角v歩v歩|三
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 玉 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 角 銀 ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=29 ▲3八飛 まで
▲5七銀右型3八飛戦法プラス左美濃、これが左翼速攻の主役です。
「図3」から「図4」までの手順
▽8二玉 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽4三銀 ▲3四歩
▽2二角 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲7五歩 ▽同 歩 ▲6六銀
▽6三金 ▲7五銀
「図4」
後手の持駒:歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・v角 ・|二
| ・ ・v桂v金v歩v銀 ・ ・v歩|三
|v歩v歩 ・v歩 ・v歩 歩v歩 ・|四
| ・ ・ 銀 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|五
| 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 玉 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 角 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=43 ▲7五銀 まで
「図3」の▲3八飛に対して▽4三銀とするのは、▲3五歩 ▽同歩 ▲4六銀で、
また▽4五歩と突くのは、▲5五歩と捌きを押えてから▲3五歩を狙われて、共に
この形では後手が不利となります。ここは変に左翼側で動かない方が良いのです。
そこで▽8ニ玉と玉形を通常の位置に収めて待つ手は自然ですが、薄い桂頭に玉を
近づける事になり、2、3筋と7筋を絡めて仕掛けられ、以下「図4」まで後手が
不利となります。この局面では7一のまま玉も、まだ動かさない方が良いのです。
「図3」では意外にも▽6三金と上がるのが正解なのです。桂頭の弱点を防備すると言う
意味は有りますが、▽8ニ玉同様、高美濃に進展させる当たり前の手に見えます。しかし
藤井システムでは、この手に予想だにしない狙いが秘められているのです。