筋違い角戦法[1]


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 今までこの【戦法図鑑】でも、いろいろな振り飛車戦法を御紹介しましたが、 その威力の強大さに相手に飛車を振られたらどうしようと思っている方も居るのではないかと思います。 そこで先手番に限っては振り飛車を完全に封じる手段が有るので御紹介する事に致します。

「図1」までの手順

▲7六歩 ▽3四歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲4五角


「図1」


 その秘策が56章でも登場した”筋違い角戦法”です。 ただ角を交換しただけでは振り飛車を封じる事が出来ないのは今まで解説して来た通りです。 しかしこの▲4五角と打った手に▽6二銀や▽5二金と言った受け方をすれば飛車を左翼に持って行く事が出来なくなる訳です。

「図1」から「図2」までの手順

▽6二飛 ▲3四角 ▽4二飛 ▲5六角 ▽7二銀
▲8八銀 ▽6二玉 ▲7七銀 ▽5二金左
▲8八飛 ▽7一玉 ▲8六歩 ▽8二玉
▲8五歩 ▽5四歩 ▲6六銀
「図2」


 「図1」となっても尚且つ飛車を振る手は無いか、と言う事になりますが、 ▽6二飛から▽4二飛と、手損など関係無く飛車で角成りを防ぎ強引に振ると言う手が唯一残された手段です。 これには▲5六角と引いて、以下こちらも飛車を8筋に振り、後手の美濃囲いの玉頭に狙いをつけます。

「図2」から「図3」までの手順

▽4四歩 ▲7七桂 ▽4五歩 ▲7五銀 ▽5五歩
▲6五角 ▽4三金 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 銀
「図3」


 5六の角に睨まれているので後手は動きが取りにくくなっています。 ▽5五歩と角を追おうとしますが、「図3」まで銀を繰り出して後手の玉頭に攻め駒をを集中させ必勝の体勢となりました。

 この無理矢理に飛車を振る、「図1」から▽6二飛とする手段はプロの対局で実際に指された物ですが、流石に無理筋となるようです。

 一種特殊な戦法で、使う側もいろいろと後の工夫が必要にはなりますが、振り飛車しか指さない相手には、 これを封じる最有力な戦法と言えるでしょう。次章では後手側が普通に受けた場合の、筋違い角の進行例を御紹介します。


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