角換り腰掛け銀 先後同型[4]


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 前章までの解説で角換り腰掛け銀先後同型は先手優勢と言う結論になると思われた時、これを覆す妙手順が生み出されます。


「図1」


 「図1」は101章「図1」と同一局面、 先手が▲1一角と打った所です。

「図1」から「図2」までの手順

▽3五銀 ▲4五銀 ▽2二角 ▲3三歩
▽同 金 ▲2二角成 ▽同 玉 ▲5四銀
▽同 歩 ▲4五桂 ▽2四金
「図2」


 ▲1一角に▽3五銀は▲4五銀で潰れと言う101章「図2」までの手順は誰もが固く信じていました。 しかし▲4五銀の瞬間に▽2二角と合わせると言う二つの手筋の組み合わせによって、 先手の狙いを見事封じたのです。▲3三歩と、101章「図2」までと同様の攻め筋で必死に迫りますが、▽2四金とかわされた「図2」では、 これ以上の攻めは難しく後手優勢となっています。 この▲4五銀に▽2二角は佐藤康光棋聖の新手ですが、 この手を始めて指した時は▲4五桂に▽3二金とした為、先手に上手く手をつながれてしまいました。 しかしその後、この▽2四金とする手が発見され、先後同型から先手の一連の仕掛けは少し無理では無いかと言う、 全く逆の見解が囁かれ始めたのです。
「図3」


 「図3」は100章「図2」と同一局面、 角換り腰掛け銀先後同型です。

▲4五歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽4四銀 ▲2四歩
▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2八飛 ▽6五歩
▲同 歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽7五歩 ▲2四歩
▽同 歩 ▲2三歩

「図4」


 「図3」までの手順が発見され、丸山新手は先手必勝では無くなりました。 実際はまた新手が現れて変わるかも知れませんが、 この事によって先手側も後手の▽4四銀に▲2四歩 ▽同歩 ▲同飛と、ただ飛車先を交換しておくと言う、 これまでの解説より穏やかな手順も指されるようになりました。 「図4」までは羽生善治名人・王座(当時)森内俊之竜王・王将(当時)が挑戦した第62期名人戦第5局で指された手順です。 この将棋は先手の羽生名人・王座(当時)が勝っていますが、 後手にも勝ち筋が有り形勢は何とも言えませんでした。

 「図3」の先後同型は、これからも指し続けられ研究されて行くと思いますので、また起死回生の新手が生まれるかも知れません。


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