玉頭位取り戦法[4]


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 前章に引き続き、玉頭位取りに対する後手側の最強手段の変化を解説します。

「図1」


 「図1」は前章「図2」と同一局面、後手の最強対抗策▽4四銀型の局面です。

「図1」から「図2」までの手順

▲8六歩 ▽8二玉 ▲6五歩  ▽同 歩
▲同 銀 ▽6四歩 ▲7六銀  ▽5四歩
▲4八飛 ▽5五歩 ▲同 歩  ▽同 銀
▲5六歩 ▽4四銀 ▲8五歩  ▽5四金
▲6七金 ▽6五歩 ▲6八金上 ▽5五歩

「図2」


 「▲6七金を保留して▽5四歩に▲4八飛と回るのが、先手側の正しい手順なのは前章で 述べましたが、この形にはもう1つ注意点が有るのです。184章で御紹介した後手の 石田流に対しては有効だった▲6五歩と、歩交換する手は、この形では▽5四金から ▽6五歩とする手が有り先手が不利となるのです。以下▽5五歩と中央から攻められた 「図2」の先手陣は持ち堪えられそうに無い形です。

「図1」から「図3」までの手順

▲8六歩  ▽8二玉 ▲8五歩 ▽5四歩
▲4八飛  ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀
▲5六歩  ▽4四銀 ▲7七角 ▽5四金
▲8八玉  ▽4一飛 ▲7八金 ▽5一飛
▲6七金右 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀

「図3」




 ▲6七金を保留し▲6五歩からの歩交換もパスして、ひたすら銀立ち矢倉を目指すのが先手側の 正しい手順ですが、その場合でも後手は▽5四金とするのが有力策です。この手で▽6三銀から ▽7ニ金と組み替える手も有りますが、▽5四金の方が力強く分かり易いでしょう。 以下「図3」の局面では、▲5六歩なら▽同銀で後手が指し易くなりますが、▲2八飛として 難解な形勢となります。しかし後手としては位取りに押さえ込まれる心配は無くなっています。 玉頭位取りは組み上げるまでの手順に神経を使いますし、途中で仕掛けられた時の用意も しなければなりません。その割には「図3」辺りが最善と言う事になると、他に有力な策が存在 する現在では選び難い戦法なのかも知れません。しかも後手の対抗策はこれだけでは無いのです。

「図4」までの手順

▲7六歩  ▽3四歩  ▲2六歩  ▽4四歩
▲4八銀  ▽4二飛  ▲6八玉  ▽6二玉
▲7八玉  ▽7二玉  ▲5八金右 ▽8二玉
▲5六歩  ▽3二銀  ▲5七銀  ▽4三銀
▲6八銀上 ▽5二金左 ▲7五歩  ▽9二香
▲7七銀  ▽4五歩  ▲2五歩  ▽3三角
▲7六銀  ▽4四銀  ▲6六歩  ▽9一玉
▲6五歩  ▽8二銀

「図4」




 「図4」の穴熊囲いが、居飛車側の位取りを空振りさせる、もう1つの有力手段です。 玉頭位取りが猛威を振るっていた当時に、最有力な対策として振り飛車穴熊が大流行する 切っ掛けになったのです。現在では逆に、居飛車側の穴熊を、振り飛車側が警戒して先に ▽9四歩と端を早目に突いて打診するので、この形にはなり難いのですが、端を突かずに ▽7ニ銀とも上がらず、▽7ニ玉、▽8ニ玉と言う動きをする場合は穴熊の確率が高いと 言えるでしょう。その場合、「図4」までのように▲7五歩と突いて位取りにするのは 作戦負けになり易く疑問の構想と言えるでしょう。現在では玉頭位取りは初めから狙う戦法 と言うよりも、力戦型の形から結果的に有力な手段となる場合が多い作戦になっています。


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