相掛かり 後手16手目の選択


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 前章で▲1六歩に▽1四歩と受けるのが安全なのは分かりました。 その後、先手の15手目▲3八銀に、ひねり飛車の解説では▽6四歩と後手が指していますが、 ここでは他にも手が考えられる所です。しかし実は、この後手の16手目も▽6四歩以外の手を指すのは難しいのです。それは何故なのか、 簡単に解説しておく事にします。

「図1」までの手順

▲2六歩  ▽8四歩  ▲2五歩  ▽8五歩  ▲7八金  ▽3二金
▲2四歩  ▽同 歩  ▲同 飛  ▽2三歩  ▲2六飛  ▽7二銀
▲1六歩  ▽1四歩  ▲3八銀

「図1」


 「図1」は問題の先手の15手目▲3八銀が指された局面です。ここから、まず▽8三銀と棒銀で先攻する手はどうか。

「図1」から「図2」までの手順

▽8三銀  ▲7六歩  ▽8四銀  ▲7七角
▽7四歩  ▲8八銀  ▽7五歩  ▲同 歩
▽同 銀  ▲2五飛  ▽6四銀  ▲1五歩
▽同 歩  ▲1四歩  ▽同 香  ▲2四歩
▽同 歩  ▲同 飛
「図2」


 先手だけ飛先を切っている、この局面での棒銀は▲7六歩から▲7七角で後手は飛先が切れなくなってしまい、結果としてあまり得策では有りません。 ▽7四歩に▲8八銀と上がった先手の形が、棒銀に対する有効な迎撃形で、8筋を破られる心配は無くなります。 ▽7五銀と出た時に▲2五飛から▲1五歩と端攻めに出て、以下「図2」では先手優勢です。
▲1四歩に▽同香と取らなければ▲1五飛 ▽1二歩打と端を詰めて、やはり先手が優勢となります。

 「図1」で他の手として▽4二銀は▲2七銀と逆に棒銀に出られて困ります。 また▽5四歩は、ひねり飛車から▲9七角とされた時にキズになり易いですし、場合によっては▲2四歩と合わす十字飛車も狙われます。 ▽4二玉とするのは、28章の金美濃に出来なくなる。それでは▽4一玉はどうか。

「図1」から「図3」までの手順

▽4一玉  ▲4六歩  ▽8六歩  ▲同 歩
▽同 飛  ▲8七歩  ▽8二飛  ▲4七銀
▽3四歩  ▲7六歩  ▽6四歩  ▲5六銀
▽8八角成 ▲同 銀  ▽2二銀  ▲7七銀
▽6三銀  ▲5八金  ▽5四銀  ▲4五銀
▽同 銀  ▲6三角  ▽4二玉  ▲4五角成
「図3」
 「図3」までは、たとえばと言う手順ですが、先手が▲5六銀と腰掛け銀に変更した場合、後手の▽4一玉は位置的にバランスが良くない事になります。 この形の腰掛け銀には4二か5二が良いのです。この他にも手は有りますが、先手が如何なる戦型になっても対応出来る▽6四歩が一番損が無いのです。

 以上の点から、ひねり飛車も含めて、この相掛り型では16手目▽6四歩まで、ほとんど必然と言う事になるのです。 ただし先手の13手目▲1六歩では、ひねり飛車の選択は無くなりますが、▲5八玉とする手も有ります。しかし実戦例は少なく▲1六歩が一般的です。


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