鷺宮定跡[4]


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 鷺宮定跡編の最後として後手側が24手目に▽1二香とした時の変化を御紹介する事にします。

「図1」


 図1」は先手の▲5七銀左に対して▽1二香と上がった所です。

「図1」から「図2」までの手順

▲3八飛 ▽4三銀 ▲3五歩 ▽同 歩
▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 桂
▲3五銀 ▽2五桂 ▲3四歩 ▽3二飛
▲3六飛 ▽6四角 ▲1一角 ▽4二金 ▲5五歩

「図2」


 ▽1二香には先手も▲3八飛と一手早く攻める手が有ります。 これに▽4三銀と上がると前章「図4」までと同じ進行になった時▽6四角に▲5五歩とする手が有り先手優勢となります。

「図1」から「図3」までの手順

▲3八飛 ▽5四歩 ▲6六歩 ▽6四歩
▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩
▲3五銀 ▽6五歩 ▲5七銀 ▽6六歩
▲同 銀 ▽3四歩 ▲同 銀 ▽4六歩
▲3三銀成 ▽同 銀 ▲4六歩 ▽同 飛
▲3二角 ▽4九飛成 ▲3九歩

「図3」


 ▲3八飛には▽5四歩と突く手も有り、この手に▲3五歩 ▽同歩 ▲4六銀と攻めると▽4五歩と突かれて、 ▲3三角成 ▽同銀 ▲3五銀に▽6四角と打つ手が厳しく先手としては得策と言えません。 そこで▽5四歩には▲6六歩と角道を一旦止める手が有力です。 次に▲6五歩と位を取る手が有るので▽6四歩と受けますが、今度は▲3五歩からの攻めが成立します。 以下「図3」では▲3九歩の底歩が固く次に▲2一角成と駒得も確実で先手優勢の局面です。

「図1」から「図4」までの手順

▲3八飛 ▽6四歩 ▲3五歩 ▽同 歩
▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 銀
▲3五銀 ▽4六歩 ▲3四歩 ▽4七歩成
▲3三歩成 ▽5八と ▲4二と ▽6九と
▲5二と ▽7九金 ▲8八玉 ▽6八角
▲4六角 ▽8九金 ▲同 玉 ▽7九と
▲8八玉 ▽8九金 ▲9八玉 ▽7七角成

「図4」


 ▲3八飛に▽6四歩とする手が、一見▽6四角と打つ手が消えて損のようですが、 この形では最善となるのです。▽5四歩形と違い▲6六歩と突くのは▽4五歩で後の手に困ります。 ▽4五歩に▲6五歩と突いても▽同歩と取られて歩損のうえに6筋にキズが残り不利となります。 ▲3五歩から角交換に▲3五銀と出た瞬間▽4六歩と突き、 これを▲同銀また▲同歩なら▽2七角から▽5四角成と馬を作るこれが▽6四歩形の狙いです。 そこで▲3四歩として▽2二銀なら▲4六銀▽4四銀なら▲4六歩を狙いますが構わず▽4七歩成と来られて以下「図4」では先手の一手負けとなります。 また途中で自陣に手を戻すと後手にも手を戻され玉の固さが違い先手不利な形勢となります。 以上の事からこの形では▲3五歩の攻めは成立しません。

これで鷺宮定跡編を終りますが、143章からここまで御紹介した各戦型にもまだ多数の変化が有り、 またちょっとした形の違いで優劣が引っくり返るなど実際はかなり難解な物となります。 今回は鷺宮定跡の特徴が特に分かると思える変化を選んで御紹介しました。


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