前章に引き続き、左美濃に対する藤井システムの変化を見て頂きます。 |
「図1」
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図1」は前章「図3」と同一局面、先手の引き角に▽4三銀と上がった所です。 「図1」から「図2」までの手順 ▲3六歩 △8四歩 ▲3七桂 △5四銀 ▲2四歩 △同 歩 ▲5五歩 △6三銀引 ▲5七金 △5五角 ▲2四飛 △3七角成 ▲2一飛成 △5五馬 ▲3一龍 △8五歩 ▲同 歩 △同 桂 ▲8八銀 △8六歩 ▲同 玉 △6四馬 ▲8七玉 △8六歩 ▲9八玉 △9五歩 ▲同 歩 △1九馬 |
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「図2」
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▲3七桂で▽5四銀を誘い、▲5五歩と突いて▽同銀なら飛車先交換から2枚換えを狙う手も 有りますが、▽6三銀と手順に引いて固め、以下やはり前章「図4」と同様の玉頭攻めが 炸裂して「図2」まで後手が優勢となります。手順中▽5五馬と絶好の場所に引いて、次に ▽2ニ馬で龍を殺す手を見せ、それを▲3一龍と避けた時に▽8五歩と突くのが好手順です。 この図までを187章の「図4」までと比べて頂くと、その違いが良く分かると思います。 「図1」から「図3」までの手順 ▲3六歩 △8四歩 ▲9八玉 △5四銀 ▲8七銀 △6三銀引 ▲7八金 △8二玉 ▲5七角 △5四歩 ▲8四角 △5五歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲5五歩 △同 角 ▲2四飛 △2二歩 ▲2三歩 △4六歩 ▲同 歩 △同 角 |
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「図3」
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「図1」ですぐに攻めると、途中で▽8五歩から玉頭に反撃を加えられて、先手が思わしく 無いと言う事で、▲9八玉と引いて米長玉から上部を固めて玉頭の脅威から逃れる手は 当然考えられますが、この時に▽6五歩、▽4五歩の二つの位が▲6七金からの理想形を 見事に阻止しています。「図3」までは進行の一例ですが、▲5七角で8四の歩を狙った 手に対し後手が▽5五歩と弱い先手の5筋に向かい、以下互いに、飛車角を捌きますが、 玉形も後手の方が連係が良く、▽8五歩からの玉頭攻めも依然として残り、先手が不利の 局面となります。 「図1」から「図4」までの手順 ▲5七角 △5四銀 ▲3六歩 △6三銀引 ▲2四歩 △同 歩 ▲3五歩 △4四飛 ▲3八飛 △3五歩 ▲同 角 △5四飛 ▲3四歩 △2二角 ▲2四角 △7五歩 ▲同 歩 △7六歩 ▲8八銀 △8四歩 ▲1五角 △8五歩 ▲3三歩成 △8六歩 ▲同 玉 △3三角 ▲同角成 △同 桂 ▲同飛成 △9五歩 ▲同 歩 △8四飛 |
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「図4」
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▽8四歩と突かれる手その物を防いで、玉頭攻めを回避すると言う意味で「図1」ですぐに ▲5七角とする手が有ります。これにも▽5四銀から▽6三銀引とダイヤモンド美濃に銀を 繰り替えておくのが最善です。以下▲2四歩からは変化の一例ですが、この藤井システムの 威力をはっきりと認識させるのが「図4」です。2、3筋を軽く受けて飛車を▽5四に浮き、 左翼で手に入れた歩を使って▽7五歩からの玉頭攻めが、見事に決まり後手勝勢の局面です。 ▽7一玉で戦いに入る形は、以前から有りましたが、序盤から先手の▲8七玉をターゲットに して駒組みを進めて行くと言うのが、今までに無い構想なのです。この藤井九段の新戦法は 4枚美濃を容易に組めなくさせた事で、今まで振り飛車の脅威であったこの戦型に大打撃を 与えたのです。そこで居飛車側は藤井システムの中途半端な▽7一玉形を咎めて、早い時期に 後手の左翼へ速攻する手段に出るのです。 |
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