先手のゴキゲン中飛車[1]


Top 前の章へ 次の章へ
 本章では先手がゴキゲン中飛車を採用した例を見て頂きます。 先手と後手で同じ戦法でも大きく変わってくるのは、どんな戦法でも有る事なのですが、 このゴキゲン中飛車は特に先手番で指した場合に事情が激的に変わるのです。

「図1」までの手順

▲7六歩 ▽3四歩 ▲1六歩 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽8五歩
▲5八飛
「図1」


 ▲1六歩は▽8四歩を待ってから▲5六歩と突く為の手待ちです。 この手ですぐに▲5六歩ですと角交換して▽5七角と打たれる手が有り、この時に8四の地点が塞がっていないので角成りが防げないのです。

「図1」から「図2」までの手順

▽5二金右 ▲5五歩 ▽8六歩 ▲同 歩
▽同 飛 ▲5四歩 ▽同 歩 ▲2二角成
▽同 銀 ▲7七角 ▽8九飛成 ▲2二角成
▽5五桂
「図2」


 ▽5二金右と上がり▲5五歩に▽8六歩と言う、最も激しい変化に突入します。 これは74章「図3」までの手順を先後逆にした物で▲1六歩と端歩が突いて有る所が違うだけです。 「図2」の▽5五桂打が、この局面での有力手でゴキゲン側にとって警戒すべき手となります。 迂闊に応じるといっぺんに負けになるからです。

「図2」から「図3」までの手順

▲5六銀 ▽7七角 ▲4八玉 ▽4七桂成
▲同 銀 ▽2二角成
「図3」


 ▲5六銀と打つのは”桂先の銀、定跡なり”と言われ、 桂に対する最強の受けとされていて、事実4七と6七両方を同時に受け▲5五銀と取る事も出来るので部分的には好手なのですが、 この局面では▽7七角と打たれて拙い事になります。 この王手に、どう応じても桂を捨てて、以下2二の馬を取られてしまうのです。 ▲4八玉と逃げる所で▲6八銀としても▽6七桂不成(王手)で結果は同じ事になると言う訳です。

「図2」から「図4」までの手順

▲4八玉 ▽9九龍 ▲2一馬 ▽6七桂成
▲5四飛 ▽5三香
「図4」


 ここでは▲4八玉と逃げる手が最善です。 以下は絶対手順では無く一例ですが、手順中の▲2一馬は後手番での手順では▽8九馬と言う事になりますが、 実は後手番でのこの手は、思わしく無いと言う事になっています。 では先手番では違うのかと言う事ですが、この局面では全く違ってくるのです。
 それは何故なのか、次章でその訳を解説します。


Top ページの先頭へ 前の章へ 次の章へ