引き続き藤井システムと居飛車穴熊の激闘をご紹介します。
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=18 △3二銀 まで
「図1」は前章「図3」と同じ、▽3二銀と後手が藤井システムの体制を
採って来た局面です。
「図1」から「図2」までの手順
▲3六歩 ▽6四歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽3六歩
▲3五銀 ▽3七歩成 ▲同 桂 ▽3六歩 ▲2四歩 ▽3七歩成
▲2六飛 ▽2四歩 ▲3四歩 ▽2二角 ▲2四銀
「図2」
後手の持駒:桂 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛v銀v角 ・|二
| ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・v歩 ・v歩 歩 銀 ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 飛 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩vと ・ 歩|七
| ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=35 ▲2四銀 まで
当然ですが後手が居玉のままなら、穴熊に拘らず未完成の美濃囲いを狙って
急戦に方向転換する作戦は考えられます。▲3六歩に対して同様に▽6四歩と
藤井システムに必要な攻撃形を構築して行こうとすると、▲3五歩から5七の
銀を使ってナナメ棒銀の速攻を食らう事になります。左銀からの速攻から比べると
3筋が手薄で通常は右銀からのこの手の速攻は、上手く行き難いのですが
この場合は後手が居玉で戦場から近いので成立します。
「図1」から「図3」までの手順
▲3六歩 ▽6二玉 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩
▲3三角成 ▽同 桂 ▲3五銀 ▽3四歩 ▲2四歩 ▽同 歩
▲3四銀 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽同 飛
「図3」
後手の持駒:角 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v銀v玉v金 ・v銀 ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v桂 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀v歩 ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩v飛 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩三
手数=34 △4六同飛 まで
当然ですが▲3六歩には急戦を警戒して▽6二玉と上がります。これでもまだ
玉形は中途半端なので速攻して上手く行きそうですが、一路囲いに入って
玉が露出していなければ▽4五歩と強く対抗出来て、これは上手く行きません。
「図3」では駒が捌けて後手が指し易い形成です。
「図1」から「図4」までの手順
▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽6四歩 ▲8八玉 ▽7四歩
▲9八香 ▽7三桂 ▲6六歩 ▽4五歩 ▲6七金 ▽8五桂
▲8六角 ▽6五歩 ▲7八玉 ▽6六歩 ▲同 金 ▽6五歩
▲5五金 ▽5四歩 ▲6五金 ▽9九角成 ▲6八飛 ▽9八馬
▲5四金
「図4」
後手の持駒:香
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀v玉v金v飛v銀 ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩 ・ 金 ・v歩 ・ ・|四
|v歩v桂 ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ 角 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・ 歩|七
|v馬 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩三
手数=43 ▲5四金 まで
▲3六歩で急戦を見せる本当の狙いは▽6二玉とさせる事に拠って居玉で
速攻をすると言う藤井システムの理想の攻撃形を封じ、穴熊に組む事だったのです。
しかしただ穴熊に組むだけでは、藤井システムは一手玉が戦場に近づいても十分に
威力を発揮出来たのです。ところが▽6五歩と突かれた時に▲7八玉と戻ると言う
画期的な新手に拠って、これで藤井システムは封じられたかに見えたのですが。
「図1」から「図5」までの手順
▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽7一玉 ▲8八玉 ▽4三銀
▲9八香 ▽3二飛 ▲9九玉 ▽3五歩 ▲同 歩 ▽4五歩
▲3三角成 ▽同 飛 ▲3八飛 ▽4四角 ▲6六角 ▽3五飛
「図5」
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩v飛 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 角 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 ・ ・ ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八
| 玉 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=36 △3五飛 まで
▲3六歩と先手が突いたら、藤井システムの攻撃形を取り止め玉を一目散に囲い
藤井システム失敗のようですが、実はこれも藤井システムの▲3六歩に対する
対応だったのです。そしてこの3六の歩を狙い3筋から速攻され、▲3六歩の為に
一手遅れた先手側は居飛車穴熊に組む前に前章「図1」でご紹介した立石流のような
速攻で不利に追い込まれてしまいます。しかしこれで居飛穴側も引く事は有りません。
次章もまた双方の工夫合戦をご紹介します。