本章では引き続き前章の松尾流穴熊の攻防を見て頂きます
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛
▲6八玉 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀 ▲5六歩 ▽5二金左
▲5八金右 ▽6四歩 ▲5七銀 ▽7四歩 ▲2五歩 ▽3三角
▲3六歩 ▽6二玉 ▲7七角 ▽4三銀 ▲6六歩 ▽7一玉
▲8八玉 ▽7三桂 ▲9八香 ▽4五歩 ▲9九玉 ▽4四銀
▲8八銀 ▽6三金 ▲6七金 ▽5四歩 ▲7八金 ▽8二玉
▲6八銀
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
|v歩v歩v桂v金 ・ ・v角v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 金 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 金 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=37 ▲6八銀 まで
「図1」は松尾流穴熊が完成する直前で、後手も穴熊側の端歩を突くのを後回しにし、
攻撃形を一早く整えた局面です。
「図1」から「図2」までの手順
▽5三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲6五歩
▽7七角成 ▲同銀右 ▽6五桂 ▲2四飛 ▽7七桂成 ▲同金寄
▽2二歩 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲3一角
「図2」
後手の持駒:角 銀 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ 角v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・v歩 ・|二
|v歩v歩 ・v金v銀 ・ ・ ・v歩|三
| ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・ 飛 ・|四
| ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 金 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 歩
手数=53 ▲3一角 まで
このまま松尾流穴熊に組まれては作戦負けとなる為、▽5三銀と飛車先を通し▽4六歩を
狙い▲7九銀と引く手を阻止しようとしますが、今度は▲3五歩から仕掛け▲6五歩と
角交換に出る手段が生じます。後手の角道が開いている時には必ず狙い筋となります。
▽6五桂の銀取りに構わず▲2四飛と飛車先を突破して角を打ち込み「図2」まで
まだこれからの将棋ですが先手を持ちたい形勢です。▲3一角の前に▲5五歩の突き捨てが
重要で突き捨てを入れずに▲3一角だと▽3三角と打ち▲4二角成 ▽同銀 ▲3四飛に
▽7七角成 ▲同金 ▽6八銀と食いつかれ難局です。
「図1」から「図3」までの手順
▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲3五歩
▽6五歩 ▲3四歩 ▽4四角 ▲7九銀右 ▽6六歩 ▲6八金引
▽2二飛 ▲8六角 ▽6四銀 ▲3三歩成 ▽同 角 ▲5四歩
▽5二歩 ▲3八飛 ▽3二飛 ▲6四角 ▽同 金 ▲4四銀
▽5六角 ▲3三銀成 ▽同 桂 ▲4四角
「図3」
後手の持駒:銀 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v銀 ・v歩 ・v飛 ・ ・|二
|v歩v歩v桂 ・ ・ ・v桂 ・v歩|三
| ・ ・v歩v金 歩 角 ・v歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩v歩v角 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 金 金 ・ ・ 飛 ・ ・|八
| 玉 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=65 ▲4四角 まで
銀が4筋の守備から外れた瞬間を狙った▽5三銀は当然考えられる手段ですが、
角道が開いた所を▲6五歩と決戦されて、やはり危険でした。捌きが軽くなってしまうので
最後は玉の固さが物を言ってしまいます。ここは▽5五歩と仕掛けるのがやはり
一番▽4四銀型を生かした自然な攻めで本筋ですが▲5五同歩に▽同銀と単に出るのは
この形の反撃策の▲2四歩から▲3五歩で、▽4四角に一旦▲7九銀と松尾流穴熊を
完成させ受けてから▲5四歩の垂らしで▽同金なら▲5八飛 ▽5五歩とさせてから
▲3八飛と回ります。▽5二歩と受けても▲3八飛で▲3三飛成から▲3一角を狙い
以下「図3」まで先手が指し易い形勢となります。
「図1」から「図4」までの手順
▽5五歩 ▲同 歩 ▽4六歩 ▲同 歩 ▽5五銀 ▲2四歩
▽同 歩 ▲3五歩 ▽4六飛 ▲3四歩 ▽4四角 ▲2四飛
▽2二歩 ▲2五飛 ▽4五歩 ▲3三歩成 ▽同 角 ▲5六歩
▽同 銀 ▲同 金 ▽同 飛 ▲4五飛 ▽5八飛成 ▲4一飛成
▽8五桂 ▲8六角 ▽5六歩
「図4」
後手の持駒:金 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ 龍 ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・v歩 ・|二
|v歩v歩 ・v金 ・ ・v角 ・v歩|三
| ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ 角 歩 歩v歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|七
| 香 銀 金 銀v龍 ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 歩四
手数=64 △5六歩 まで
▲5五同歩に▽4六歩と飛車を走る筋をつけてから▽5五銀と出るのが正着で▲2五飛と
次に▲4五歩から▲2二飛成を狙って来た時に▽4五歩と打ちその狙いを防ぎ以下変化は
有る物の以下「図4」まで居飛車穴熊側の攻め合い負けとなります。
振り飛車側が、いち早く▽4四銀型を組んだ場合は松尾流穴熊に組み難いと言うのが
現在の結論となっています。