本章から角換りの中で主役と言える腰掛け銀戦法について解説して行きます
85章の最後で述べたように 角換りの序盤に変化をもたらした元なのです
「図1」
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角
手数=14 ▽3三銀(22) まで
「図1」は(角換りパターン1)です
「図1」から「図2」までの手順
▲3八銀 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲1六歩 ▽1四歩
▲4六歩 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6三銀 ▲6六歩 ▽5二金
▲5八金 ▽4二玉 ▲6八玉 ▽5四銀 ▲5六銀 ▽3一玉
▲7九玉 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲3七桂 ▽7三桂
▲8八玉 ▽2二玉
「図2」
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金 ・v金v玉 ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩 ・v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角
手数=40 ▽2二玉(31) まで
「図2」が古くから有る形の腰掛け銀先後同型です しかし今は互いに玉が
8八、2二に囲う先後同型は消滅しています その訳を見て頂きます
手順中▽7二銀に▲9六歩と突いていますが、前章までは▲1六歩と
1筋から先に突きました しかし現在では後手の棒銀を牽制する▲9六歩が
最善とされています その詳細はまた後の章で解説します
「図2」から「図3」までの手順
▲4五歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽4四銀 ▲7五歩 ▽同 歩
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2八飛 ▽6三角
▲1五歩 ▽同 歩 ▲1三歩 ▽同 香 ▲2五桂 ▽1四香
▲3四歩 ▽2四歩 ▲3三桂成 ▽同 桂 ▲2四飛 ▽2三金
▲1一角 ▽3二玉 ▲3三歩成 ▽同 銀 ▲4四桂 ▽同 銀
▲2三飛成 ▽同 玉 ▲4四角成 ▽4三金 ▲4五銀 ▽4四金
▲同 銀
「図3」
後手の持駒:飛 角 桂二 歩五
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂v角v歩 ・ ・v玉 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀 銀 ・ ・v香|四
| ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩|五
| 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:金二 銀 歩三
手数=77 ▲同 銀(45) まで
「図3」までで先手勝ちと言うのが木村義雄実力制初代名人(十四世名人)
により確立された先後同型腰掛銀の決定版と言うべき”木村定跡”です
▲7五歩と後手の桂頭を突き捨てて▲7四歩で桂を殺す手を含みに指し進める
と言う現在でも指されている手順は 既にこの時に生み出されています
手順中▲3五歩に▽4四銀の所、▽同歩と取ると▲4五桂で銀取りになり
銀が逃げると▲2四歩や▲3三歩そして▲7四歩を狙われて後手陣は支え切れ
なくなります また▽6三角と桂頭を守る所で▽6三金とするのは▲7四歩
▽同金に▲4一角と打たれ、▽8四金に▲4五銀とされると玉が弱体化して
攻めが厳しくなる上に▲7四歩と打たれる手も残っていて受けた事になって
いないのです 以下は変化は有りますが▲4五歩と開戦した時点で先手優勢と
言う結論が、その後も現在に至るまで変わる事が有りません
この木村定跡によって「図2」の▲8八玉、▽2二玉と入る形は無くなり
▲7九玉、▽3一玉の形で仕掛ける先後同型が現在に至るまで指されています
その先後同型の攻防は後の章で詳しく御紹介します