先手が▲2六歩から▲2五歩と序盤で決めてしまう形から ちょっと奇妙な
手段と狙いが有ります 本章では、その戦法と正しい応接法を御紹介します
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽3四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲2六飛 ▽3二飛
▲7六歩 ▽4四歩 ▲4六飛 ▽4二飛 ▲3六飛
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=11 ▲3六飛(46) まで
▲2五歩 ▽3三角としてから 5手目に▲2六飛と浮き飛車にします
この▲2六飛は、次に▲3六飛として3四の歩を取りに行くのが狙いです
後手の▽3二飛は▲3六飛には▽2二角を用意して当然と思えるのですが
「図1」まで変化する余地の無い手で いつの間にか3四の歩取りが
受からなくなっていて 思わず狐につままれているような気分になると言う
何とも不思議な戦法です しかしこんな序盤で無条件に歩損して良い訳が
有りません そこで別の受け方を考えて見ます
「図2」までの手順
▲2六歩 ▽3四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲2六飛 ▽8四歩
▲3六飛 ▽8五歩 ▲9六歩 ▽8四飛 ▲9七角 ▽6二銀
▲7五角 ▽7四飛 ▲6六角 ▽同 角 ▲同 飛 ▽7二金
▲6五飛
「図2」
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v玉v金v銀v桂v香|一
| ・ ・v金v銀 ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・v飛 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ 飛 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角
手数=19 ▲6五飛(66) まで
▲2六飛に▽8四歩と突き ▲3六飛にも▽8五歩と更に突いて行きます
これで次に先手が▲3四飛と歩を取れば ▽8六歩と突く狙いです
流石にそれは拙いので▲9六歩とします そこで▽8四飛と飛車で受け
これで無事に受かったように見えますが ▲7五角から▲6六角と捌かれ
以下角交換後の▲8三角を防いで▽7二金としますが ▲6五飛と浮かれた
「図2」では次の▲8五飛が受かりません ▽8四飛と受けようとすると
▲6六角が有る訳です 途中に変化も有りますが思わしくないうえに
どうも▲2六飛を咎める決定的な手段には いずれもなっていません
さあそれでは、どう指すのが良いか 前章までを見て頂いた方には
なぜ本章で、この戦法を紹介したか そう考えて見ると気がついた方も
居るのではないでしょうか
「図3」までの手順
▲2六歩 ▽3四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲2六飛 ▽2二飛
▲3六飛 ▽2四歩 ▲3四飛 ▽2五歩
「図3」
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=10 ▽2五歩(24) まで
そうなのです この戦法を咎める最強の手段が前章まで解説した▽2二飛と
振る向かい飛車なのです 冷静に考えて見れば相手から近づいて来てくれた
訳ですから、願っても無い標的なのです 以下は「図3」まで先手は
予定通り3四の歩を取りましたが、後手も▽2五歩と歩を取り返します
この交換は2筋からの逆襲が有り 明らかに後手が得をしています
手順中▽2四歩に▲同歩と取るのは▽同飛で 3四の歩も取れず▲2八歩と
守らなければならなくなり やはり先手不利となります
▲3六飛とせず このまま駒組みを進めるのも▲2六飛の形が向かい飛車を
相手にするには非常に危険な位置で有る事は 前章までを見て頂ければ
御理解いただける物と思います