前章まで後手が▽3三角と上がる空中戦法を解説して来ましたが
後手側にはもう一つ別な指し方が有ります
採用率は低いのですが 意外に有力な戦法なので簡単に御紹介します
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三桂
「図1」
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・v銀 ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩三
手数=16 ▽3三桂(21) まで
前章までは先手が▲3四飛と横歩を取った時 ▽3三角と上がりましたが
ここで▽3三桂と跳ねる手も有り これもまた後手の有力な手段となります
「図1」から「図2」までの手順
▲2四飛 ▽4五桂 ▲2五飛 ▽5七桂成 ▲2二飛成 ▽同 銀
▲2四角
「図2」
後手の持駒:飛 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・v飛 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 ・ ・ 歩v圭 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩三
手数=23 ▲2四角打 まで
▽3三桂に▲2四飛と戻すと▽4五桂と跳ねて決戦に出る手が生じます
▽4五桂に▲4八銀と守ると ▽8八角成から▽3三角と打たれて潰れですし
また▲5八玉だと やはり角交換の後▽3五角と打たれて負けになります
ここでは▲2五飛と 飛車の位置を変えると同時に桂取りに当てる手が有り
以下、飛車を切り▲2四角と王手で成桂を抜ける形になった「図2」では
まだ難しい形勢とは言え やや先手が指しやすいと思います
途中▽5七桂成に▲2二飛成の所 ▲5八歩などと受けたりすると
▽8八角成 ▲同銀 ▽同飛成で ▲同金なら▽6八銀打の詰みになります
先手の▲2四飛に▽4五桂は少し無理が有り▽1四歩と突く事になりますが
以下は難解な将棋になります
「図1」から「図3」までの手順
▲5八玉 ▽1四歩 ▲3六飛 ▽4二銀 ▲2六飛 ▽8四飛
▲3八金 ▽6二玉 ▲4八銀 ▽7二玉 ▲9六歩 ▽6二金
▲7五歩 ▽5四歩 ▲7七桂 ▽5五歩 ▲8五歩 ▽5四飛
▲8六飛 ▽8三歩
「図3」
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀 ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉v金 ・v銀v金v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩v桂 ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v歩|四
| ・ 歩 歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・|五
| 歩 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 金 ・ 玉 銀 金 ・ ・|八
| 香 ・ 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩二
手数=36 ▽8三歩打 まで
「図2」までの進行は先手にとっても恐い手順なので ▽3三桂に▲5八玉と
上がる手も有ります これで▽4五桂跳ねの手は無くなり穏やかな流れに
なります なお▲5八玉で▲4八玉とするのは形を決め過ぎて損です
急戦型では▲5八玉の方が 対応が広く指し手が楽になる事が多いのです
以下は互いの駒組みの一例ですが いずれにしても▽3三桂戦法には
決まった定跡が少なく 手将棋(その場の判断で進行する将棋)となるため
それぞれの構想力が問われる難解な物となります