▲4六銀と出て急戦を狙う戦型には、もう一つ右の銀を使う方法が有ります
本章では左銀型との違いを見て頂く事にします
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛
▲6八玉 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7二銀 ▲7八玉 ▽3二銀
▲5六歩 ▽4三銀 ▲3六歩 ▽6二玉 ▲5八金右 ▽7一玉
▲2五歩 ▽3三角 ▲5七銀 ▽8二玉 ▲4六銀
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=23 ▲4六銀(57) まで
この右銀が出る形は、後の形や仕掛けの手順は現代と違いますが江戸時代の
古典定跡などにも出て来る戦型です
「図1」から「図2」までの手順
▽5四歩 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲5五歩 ▽同 歩 ▲3四歩
▽同 銀 ▲5四歩 ▽5二金左 ▲3八飛 ▽4三銀 ▲5五銀
▽4五歩 ▲3三飛成 ▽同 飛 ▲4四銀 ▽同 銀 ▲同 角
▽3四飛 ▲1一角成
「図2」
後手の持駒:飛 銀 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 馬|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ 歩 ・v飛 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 香 歩
手数=43 ▲1一角成 まで
左銀型には▽5四歩が有効な手段でしたが、この右銀型の場合は▲5七銀左型で
▲6八金直(上)としてから仕掛ける手順から比べると2手早い仕掛けとなる為に
後手が万全の体制に出来ないと言う利点が有ります その代わり右翼が▲5七銀左型より
薄いと言うのは弱点です ただ玉形は固く強い捌きにも応じ易くなるのです
▽5四歩には▲3五歩 ▽3二飛としてから▲5五歩とする手が、後手の左金が出遅れて
いるので成立するのです 以下「図2」まで先手が有利な形勢となります
手順中のポイントとしては▲5四歩と垂らした手と、▽4五歩として次に▽5五角と言う
大技を後手が狙って来た瞬間に▲3三飛成と切って行く手です ▲5四歩の存在が
大きく「図2」の直前銀交換して▲同角に▽3四飛と当てる手で▽3九飛成とすると
▲5三歩成で先手勝勢となります
「図1」から「図3」までの手順
▽3二金 ▲3七桂 ▽5四歩 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲2六飛
▽4五歩 ▲同 桂 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽4四銀 ▲2四歩
▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲3四飛 ▽3三桂 ▲2一角
▽4三金 ▲4四飛 ▽同 金 ▲3三桂成
「図3」
後手の持駒:飛 角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ 角v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・ ・ 圭v歩 ・|三
|v歩 ・ ・ ・v歩v金 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 銀 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 桂 歩三
手数=45 ▲3三桂成 まで
▽3二金とする手も考えられますが、これには▲3七桂とするのが好手となります
端を突き合い▲2六飛と浮き、次に▲3五歩を狙います そうなっては受け難くなるので
▽4五歩と反発します これを▲同銀なら▽3三桂で銀が死にます ▲同桂に▽8八角成
これを▲同銀と取れるのが右銀型の利点です 左銀型だと▲同玉の一手で▽4四角の
王手飛車でそれまでとなります 実は▲4六銀、▲3七桂、▲2六飛と言う形は古典定跡にも
記された攻撃型です ただし古典定跡では後手の左金が5二の形で仕掛けるので「図3」までの
手順中で▲2四歩に手抜きして▽4五銀と強く捌いて後手が優勢となります
「図3」は後手の玉形が薄く飛車取りの先手を握っていて、先手が有利な形勢です
▽3三桂に▲2一角と打った手が、次に▲3二角成 ▽同飛 ▲4四飛を狙った好手です
「図1」から「図4」までの手順
▽5二金左 ▲3五歩 ▽3二飛 ▲3四歩 ▽同 銀 ▲3五歩
▽4三銀 ▲3七銀
「図4」
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ 歩|七
| ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=31 ▲3七銀 まで
▽5二金左とするのが一番普通の手で固い構えです これに▲3四歩 ▽同銀 ▲3八飛と
するのは右翼が薄いので得策では有りません ここは▲3五歩と押さえ▽4三銀に▲3七銀と
するのが有力です 以下は次章で解説します