本章では横歩取りの中では実戦例が少なく 裏定跡とも言える
▽3八歩戦法の狙いとその威力を見て頂く事にします
「図1」
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・v飛 ・ ・v角 飛 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩三
手数=24 ▽7四飛(76) まで
「図1」は前章「図4」と同じ局面で 後手が▽7四飛と下がった所です
「図1」から「図2」までの手順
▲2四飛 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽2四飛
「図2」
後手の持駒:飛 銀 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角二 歩三
手数=28 ▽2四飛(74) まで
「図1」では次に▽2八歩打とする手が有ります これを避ける手としては
▲2四飛 ▲3九金 ▲1六歩などが考えられますが
そのどれを選んでも「図2」までの飛車の素抜きが有って後手が有利と
なるのです これを防ぐ▲3六飛は▽2八歩打で桂を殺され不利なのは
言うまでも有りません この二つの狙いを同時に防ぐ手段が先手に無いのです
実は「図1」までの手順に問題が有るのです この局面に至る前章での手順で
▽4四角に▲8七歩までは拙い点は有りません この手で▲7七角打ですと
▽同角成から▽8九角打で困る事になります 問題は次に後手が▽7六飛と
横歩を取った時▲7七銀と上がったのが 普通は形良く受けて正着なのですが
この局面に限っては悪手となっていたのです
▲7七銀では▲7七歩打が正解です 以下▽7四飛に「図2」までと同じく
▲2四飛 ▽7七角成 ▲同銀 ▽2四飛と飛車を素抜かれても
▲1五角と打ち▽2三歩打 ▲2四角 ▽同歩と飛車角を変えれば
「図2」とは違って、駒の損得が無く形勢は互角です「図3」
「図3」
後手の持駒:飛 角 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:飛 角 歩二
手数=32 ▽同 歩(23) まで
▽3八歩戦法は冒頭に述べた通り実戦例が少なく 参考になる棋譜なども
ほとんど有りません しかしそれだけに面白いとも言えます
この▽3八歩戦法に限らず、これは横歩取り全般に言える事ですが
戦型を知らなければ見事に決まる率が高く 多少棋力の差が有る相手にも
勝つ事が出来る物なのです
特にこの▽3八歩戦法の場合は 相手が知らない可能性が高いので
一度試して見ては如何でしょう