本章では森下卓九段が体系づけ、一時期矢倉は全てこの形と言うほど一世を
風靡した森下システムを御紹介します
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀
▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金
▲7八金 ▽4一玉 ▲6七金右 ▽7四歩 ▲6九玉 ▽5二金
▲7七銀 ▽4四歩 ▲3六歩 ▽3三銀 ▲7九角 ▽3一角
▲6八角
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三
| ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七
| ・ ・ 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=25 ▲6八角(79) まで
「図1」は現代矢倉24手組みから▲6八角と上がった所ですが、飛車側の
形を決めず玉の入城準備をする、この形が森下システムの基本形です
「図1」から「図2」までの手順
▽6四角 ▲3七桂 ▽4三金右 ▲7九玉 ▽8五歩 ▲1六歩
▽1四歩 ▲3八飛 ▽3一玉 ▲8八玉
「図2」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・v金v銀v歩 ・|三
| ・ ・v歩v角v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 桂 歩 ・|七
| ・ 玉 金 角 ・ 銀 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=35 ▲8八玉(79) まで
▽6四角に対して▲3七銀と上がれば矢倉3七銀戦法系の将棋に戻りますが
ここで▲3七桂と上がって銀の動向を決めないのが、この戦型の特徴です
「図2」から「図3」までの手順
▽2二玉 ▲2六歩 ▽9四歩 ▲1七香 ▽5三銀 ▲9六歩
▽7三角 ▲4六歩 ▽4二銀右 ▲4七銀
「図3」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二
| ・ ・v角v歩 ・v金v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 銀 金 ・ 銀 桂 ・ 香|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=45 ▲4七銀(48) まで
「図3」までが後手が▽5三銀から守勢に出た場合の森下システムの対応で
129章で御紹介したスズメ刺し戦法の変化形と言えます
後手の▽2二玉では▽2二銀と引き▽3三桂から▽2一玉と囲う菊水矢倉も
有ります
「図3」から「図4」までの手順
▽2四銀 ▲2五歩 ▽3三銀引 ▲1八飛 ▽6二飛 ▲1五歩
▽同 歩 ▲同 香 ▽1三歩 ▲1七飛 ▽8二飛 ▲5五歩
▽同 歩 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲3五歩
「図4」
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二
| ・ ・v角v歩 ・v金v銀v歩v歩|三
|v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・v歩v歩 歩 歩 香|五
| 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 金 ・ 銀 桂 ・ 飛|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=61 ▲3五歩(36) まで
「図4」までは一例ですが端で一歩を手に入れ、▲5五歩から攻勢に出て
まだ難解では有りますが、先手が指せる形勢と言えます 手順中▲1七飛と
上がったのは3七の桂が後手の角で取られる手を予め防いだ手です
また▲5五歩に▽同角と取れば▲5六金と出て▽7三角に▲6五金と後手の
角を苛めに行く手が有ります 後手の守勢型も他に多数の変化が有り
例えば▲1六歩に後手が、端を受けなければ▲1五歩と突き越し127章で
御紹介した▲4六銀型からの攻撃型を選択するのが先手側の有力策です