若 葉 亭
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タイトル 【戦法図鑑】31 横歩取り戦法[1]
投稿日: 2005/03/03(Thu) 15:39
投稿者千鳥銀

現在のプロ棋界で最も多く指されている戦型の一つが、序盤の形4として
4章で紹介した”横歩取り戦法”です
26章までの縦歩取り戦法は、この横歩取りに対して命名された物で
実際に歩を取る場面は、実戦でも殆ど無いのですが 横歩取りの場合は
歩を取った所から多数の戦型に分かれて行く事になる激しい戦法です

「図1」までの手順

▲7六歩    ▽3四歩    ▲2六歩    ▽8四歩    ▲2五歩    ▽8五歩
▲7八金    ▽3二金    ▲2四歩    ▽同 歩    ▲同 飛    ▽2三歩
▲3四飛

「図1」
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩二 
手数=13  ▲3四飛(24)  まで

この「図1」の▲3四飛が横歩取りの基本形で 江戸時代から有った戦型です
ただ昔は”横歩取り三年の患い”と言われ ▽2三歩と打たれたら飛車は
2六か2八に下がる物で 3四の歩を取るのは欲張った悪手とされていました

なぜかと言うと「図1」から▽8八角成 ▲同銀 ▽2五角打と角を交換して
飛車取りと4三角成を狙う手が有るからです
▽2五角打で▽4五角打と、こちらから打つのは悪手で後手の不利となります
それでは▽4五角と打つと どうなるか

「図1」から「図2」までの手順

▽8八角成  ▲同 銀    ▽4五角    ▲3五飛    ▽2七角成  ▲1五角
▽4一玉    ▲3六歩    ▽1四歩    ▲4八角

「図2」
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金 ・v玉v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・v馬 歩|七
| ・ 銀 金 ・ ・ 角 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩二 
手数=23  ▲4八角(15)  まで

角を4五から打つと普通に▲3五飛と逃げて▽2七角成に▲1五角と王手で
打つ手が有るのです しかし玉を逃げられ▲3六歩と逃げ道を開けた所では
無意味な角打に見えますが ▽1四歩に▲4八角とした「図2」では次に
▲2八歩打で後手の馬を殺す手が生じています それが分かっていても
防ぐ手が有りません 結局▽4九馬と切らざるを得なくなります

そうなのです▲1五角からの一連の手順は 一見無駄な手のようで
実は後手の馬を動けなくして殺すと言う恐るべき狙いが有ったのです
したがって4五からの角打は無く ▽2五角打が正着と言う事になります

「図1」から「図3」までの手順

▽8八角成  ▲同 銀    ▽2五角    ▲3二飛成  ▽同 銀  ▲3八銀    
▽3三銀

「図3」
後手の持駒:飛 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 金 歩二 
手数=20  ▽3三銀(32)  まで

▽2五角打に▲3二飛成と あっさり飛車を切ってしまいます
そして▲3八銀と角成りを防ぐ これが定跡と知らなければ
これで良いとは、とても思えない手順です 後手側も▲2二角打を防いで
▽3三銀とした「図3」が、この形の基本形です 以下は次章で


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